キッズデザイン賞 住宅業界から大臣賞3社
ガスビルトインコンロとトイレ、男性の育児休業
今年で第13回目を迎えた「キッズデザイン賞」(主催=キッズデザイン協議会)。大臣賞にパロマと大阪ガスが共同開発したガスビルトインコンロとLIXILのトイレ、積水ハウスのイクメン休業が選ばれた。
経済産業大臣賞
新技術を採用した安全設計のコンロ
パロマ・大阪ガス

「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」一般部門で優秀賞を受賞したのが、パロマと大阪ガスが共同で開発したガスビルトインコンロ「AVANCE アバンセ」。業界初となる新技術エリアセンサーを搭載し、着衣着火のリスクを低減させるのが最大の特長だ。コンロ手前の左右中央3箇所に配置された計9つのセンサーにより、手や袖などの異物の進入を見守りより、安心して使える。
コンロの火が衣服に着火しやけどを負う事故は、直近3年の統計でも年50件ほどあるという。センサーで袖などの異物を感知すると火を自動で弱めてくれる画期的な機能が目を引いた。また、グリルのガラス部は調理時に最大で200℃にも及ぶケースがあり、乳幼児のやけど事故につながる恐れも。このコンロは、三重構造にして温度上昇を防いでいる点などが評価された。
経済産業大臣賞
子どもでも安心して使える災害用トイレ
LIXIL
「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」子ども部門で優秀賞を受賞したのが、LIXILが開発したレジリエンストイレ。災害時に避難所となる学校に設置するパブリック向け水洗トイレで、これまでの災害用トイレとの大きな違いは水量だ。平常時は一般的な水洗トイレと同様に使い、災害時には洗浄水量を5リットルから1リットルに切り替え、そのまま使える。使用水量が少ないため子どもたちでも自分で使用後の後始末ができ、かつ、災害時でも衛生環境を守れるのが大きな特徴。
災害時に学校を避難所として使用するケースも多く、その際のトイレ問題は深刻だ。独自の設計により、災害時は便器のタンク内にある弁をハンドルと連動させながら強制的に開閉することで、1リットルの水でも流せる。
使う水はペットボトル2本分という子どもたちが持てる重さであり、学校という場を考えると非常に有効という点などが評価された。
男女共同参画担当大臣賞
男性社員の1ヶ月以上の育児休業制度
積水ハウス
「子どもたちを産み育てやすいデザイン」男女共同参画部門で優秀賞を受賞したのが積水ハウスの男性の育児休業制度「イクメン休業」だ。“わが家を世界一幸せな場所にする”という積水ハウスのビジョン実現のために2018年9月から導入した制度。男性社員1か月以上の育児休業完全取得を宣言。最初の1か月は有給、最大4回まで分割取得も可能。円滑な導入ができるよう社内サポート体制を整備した。
日本の男性の育休取得率は国際的にみて高くない。取得を阻む物理的・心理的なハードルを取り除くための工夫もよく考えられているが、育休経験によって上司・同僚や顧客に対しても好影響があるという調査結果は注目に値する。多くの業種業態で取組むべき先進例という点が評価された。
キッズデザイン協議会会長賞
機械式駐車場の出入庫を安全安心にする空間
中央住宅

「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」一般部門で奨励賞を受賞したのがポラスグループ中央住宅の機械式駐車場での車の出し入れから子どもの安全を守る空間「車の出し入れ まもるんスペース」。機械式駐車場周りのウェイティングスペースを進化させ、より安全な空間を構築した。外側から鍵をかけることで子どもが外に飛び出すことを防ぎ、機械式駐車場に出入庫させる際の安心・安全を守ることが出来る。
都市部の駐車スペース確保策として普及が著しい機械式駐車場だが、作動中の装置への侵入や接触による重大事故も発生している。安全対策ガイドラインもあるが、荷物が多く、子どもから目を離したり、設備内に留まっているのに気づかなかったり、リスクは残る。この課題に社会がより目を向け、本質的な議論と安全対策が進むことを期待させる点が評価された。
キッズデザイン協議会会長賞
ファミリーが長く暮らせる可変式の間取りの賃貸住宅
旭化成ホームズ
「子どもたちを産み育てやすいデザイン」個人・家庭部門で奨励賞を受賞したのが旭化成ホームズの家族の成長に変化できる賃貸住宅「free平方メートル(フリームス)」。家族人数やその就寝スタイルの変化が多い、新婚から子育て期のファミリーを対象とする。こうした時期に、限られた面積の中で子どもの誕生や成長に対応できる賃貸住戸は少ない。フリームスは、入居者自身が間仕切り家具の配置によって間取りを変えることができ、家族の成長や変化に間取りを合わせることができる。
子どもが生まれてからの転居は転園や転校を伴い、住む場所は子育ての過程では大きな問題だ。自らが住空間のレイアウトに参画することで、暮らしぶりの再認識やスペース活用の見直しにつながる点などが評価された。
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ハウジング・トリビューンVol.640(2022年8・9号)
特集:
ハウジング・トリビューンは、住宅事業者の商品開発担当者などを対象に、今後の住宅商品開発の方向性を探るアンケート調査を実施した。
「省エネ」、「再生可能エネルギー活用」、「木材利用」、「リサイクル」、「蓄エネ」、「防災・減災」、「温熱環境」、「空気環境」、「在宅ワーク」、「非接触」、「IoT・IT」、「家事支援」、「高齢者対応」、「子育て支援」、「リフォーム対応」、「長寿命化」、「高意匠」、「省施工」、「DIY」、「その他」という19項目の中から、商品開発を進めていく上で注力したいテーマを3つ選択してもらった。
また、その中でも特に注力したいテーマと、なぜそのテーマを選択したのか理由を聞いた。
アンケート結果から、あるべき未来の住宅像が浮き彫りになった。
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