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住宅業界内外をつなぐハブ機能を発揮し、ZEH普及の旗振り役に

(一社)ZEH推進協議会 代表理事 小山貴史 氏

昨年6月に設立された(一社)ZEH推進協議会(以下、ZEH協)。設立から1年以上が経過し、住宅業界内外の関連企業をつなぐハブ機能を発揮しつつあり、ZEH普及の旗振り役としての存在感を強めている。同協会の代表理事である小山貴史氏に話を聞いた。

(一社)ZEH推進協議会 代表理事 小山貴史 氏

──ZEH協設立から1年以上が経過しましたが。

お蔭さまで約200社のZEHビルダーに参加していただくまでになりました。(一社)環境共創イニシアチブによると、現在、約7000社がZEHビルダーとして登録していますが、実際にZEHの供給実績がある企業は2000社程度です。そのうちの1割がZEH協に参加している計算になります。会員全体の年間での住宅供給戸数は約7000戸。ZEH推進の旗振り役としての存在感も強まってきています。今後、まだまだ会員数を増やしていくつもりです。

会員数の拡充に向けた取り組みとして、無料のメールマガジン会員を募集していきます。会員登録すると、ZEHに関する行政情報などを紹介するメールマガジンを無料で読むことができます。ZEH協の会員には、さらにより深く行政の動きなどを解説したメールマガジンを配信します。まずは無料のメールマガジン会員に登録してもらい、そこからZEH協の加盟へとつなげていければと考えているのです。

賛助会員として建材・設備メーカーなどにも参加してもらっており、現在50社が加盟しています。こうした関連するメーカーの方々と、実際にZEHを供給する地域ビルダーをつなぐハブ機能を果たしていくことがZEH協の大切な役割であると捉えています。

日産自動車さんや関西電力さんなどの異業種の方々にも加盟してもらいました。異業種の企業と住宅業界をつなぐことも強く求められるでしょう。

将来的には、産官学が連携してZEHを推進していくためのプラットフォームになっていければと考えています。

──LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅の取り組みも強化されているようですね。

これからZEHに取り組みたいというビルダーの方々を支援するだけでなく、既にZEHに取り組んでおり、さらに高いレベルの住宅を供給したいという方々を支援する活動も推進しています。そのひとつがLCCM住宅です。

昨年度、国土交通省の「第二回サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」に採択されました。これによって、ZEH協に加盟する地域ビルダーが供給するLCCM住宅200棟を対象に、1棟当たり最大180万円の補助を受けることができました。

昨年度は「第一回サステナブル建築物先導事業(次世代型)」の採択も受け、IoT技術などを活用した次世代住宅の供給にも取り組みました。

ZEH協として、こうした補助事業への提案を行うことで、ZEHに取り組む地域ビルダーがさらに高いレベルへと向かっていくことをバックアップしていくつもりです。

太陽光発電がZEH普及の阻害要因に

──新たに委員会も立ち上げたそうですね。

経済産業省では、より高度なZEHとしてZEH+を定義しています。ZEH+では、一次エネルギー消費量を25%以上削減することに加えて、①外皮性能のさらなる強化、②高度エネルギーマネジメント、③電気自動車(EV)を活用した自家消費の拡大措置という3つの要素のうち、2つ以上を採用することを求めています。

ZEH協では、今年度から高度エネマネ委員会を設置し、EVなども含めて、エネルギーの地産地消を実現する住宅のあり方など検討しようとしています。太陽光発電委員会も今年度から設置し、太陽光発電メーカーの方々にも参加してもらいながら、住宅用太陽光発電の普及に向けた方策や課題などについて議論をスタートさせました。

現時点でZEH普及の大きな阻害要因になっているのが太陽光発電です。先進的なビルダーの多くは、外皮性能についてはZEHレベルを達成し、さらにその上を目指そうというビルダーも増えています。しかし、太陽光発電については取り組みが遅れています。なかには太陽光発電に対してアレルギー反応を示すビルダーもいます。

パッシブデザインなどが注目されるなかで、外皮性能の向上に向けたビルダーの意識は高まってきています。ZEHにとって躯体の断熱性向上が最も重要であることは言うまでもありません。

しかし、太陽光発電については、なんとなく自分達の領域ではないという意識が強いのではないでしょうか。太陽光発電を搭載することで、建築部分の予算が減ってしまうと考えている方も多いようですね。

地球環境問題を解決していくためには、太陽光発電によって「自分で使うエネルギーは自分でつくる」という状況をつくり、より多くのCO2排出量を削減することが求められています。

まだまだ太陽光発電に関して誤解されている部分が多いのが実情です。例えば、コストの問題。しっかりとシミュレーションしていけば、ほとんどの場合、太陽光発電を搭載した方がお客さまにより大きな経済的メリットをもたらすことができます。しかし、その点を理解していないので、お客さまに自信を持って太陽光発電を薦めることができない。

そこで、ZEH協では太陽光発電について正しい知識を得るためのテキストを作成しました。このテキストを用いて営業スタッフなどが太陽光発電のメリットを学ぶことで、自信をもって提案できるようになるでしょう。

太陽光発電を搭載することで、お客さまもメリットを享受し、なおかつ地球環境への負荷を大幅に減らし、次の世代が安心して暮らせる環境づくりへとつながる。

しっかりと太陽光発電のメリットをお客さまに伝えることができれば、建築予算を犠牲にすることなく、棟単価が増加することもある。そう考えると、まさに「三方良し」の提案になるのではないでしょうか。

アフターFITの売電価格を11円/kwhとした場合の累計メリット
(経済効果-家計支出額 2019年度福岡県版)

アフターFITや出力制御など正しい情報を伝えることも重要

──固定買取制度(FIT)の今後の動向も気になりますが。

今後、余剰電力の買取価格が低下していくことで、太陽光発電を搭載することで得られる経済的なメリットが少なくなるという声も聞かれますが、ヨーロッパなどと比較しても日本の買取価格はまだまだ高い水準にあります。

電力の買取価格は、太陽光発電のシステム価格の低下に応じて引下げられています。つまり、買取価格は低くなっていきますが、その分だけ太陽光発電のシステム価格も安くなっていくのです。この点も見落とされがちです。

また、10年の買取期間が終了した後のアフターFITのことを心配する声もあります。FIT期間が終了した後も、割安になりますが、引き続き電力会社は余剰電力を買い取ることが見込まれますし、FIT終了後の太陽光発電に注目するエネルギープロバイダーなども登場してきています。

国内外でRE100に参加する企業が増えています。RE100は、事業活動で使用するエネルギーを全て再生可能エネルギーで賄おうというものです。RE100を達成するためには、再生可能エネルギーを調達してくることが求められます。そこで、FIT期間が終了した太陽光発電で発電されたエネルギーが注目されているのです。

加えて、SBT(ScienceBased Target)の動きも加速しています。世界の平均気温の上昇を「2℃未満」に抑えるために、企業に対して科学的な知見に基づいた削減目標を設定することを求めるイニシアチブです。

こうした取り組みが世界中で活発化することで、再生可能エネルギーの需要はこれまで以上に高まるでしょう。

最近では九州電力による出力制御の実施が報道されるなかで、九州エリアでは住宅用太陽光発電の風評被害も出ています。太陽光発電の出力制御は、まず10kW以上の制御を行ったうえで、それでもなお必要な場合、10kW未満の制御を行うことになっており、当分、住宅用は制御されません。しかし、その点が正確に伝わっていない。

ZEH協は、誤解を生んでいる情報を正確に翻訳して、広く発信していくことも重要であると考えています。

太陽光発電の大容量化で真のゼロエネルギーライフを

──太陽光発電に関する正確な情報が伝わることで、ZEH化のスピードも早まりそうですね。

太陽光発電の大容量化も必要だと考えています。「メカメカZEHを推進するのか」といった批判を受けそうですが、これからのゼロエネルギーライフのためには、ZEH化に必要な太陽光発電にプラスして、3~4kWの太陽光発電を搭載するべきです。

3~4kWの太陽光発電をプラスすることで、家電・調理などで使うエネルギーをまかなうことができます。将来、EVを購入した際でも十分な経済的なメリットを生み出します。

我々の試算では、年間に自動車で7000km走行するケースでは、ガソリン車であれば約10万円のコストがかりますが、太陽光発電を使ってEVに充電すれば約1~2万円で済みます。

ヨーロッパなどでは、急速にEV化が進みつつあり、イギリスやフランス、ドイツでは2030~40年までにガソリン車の販売を禁止する方針を打ち出しています。日本でも同じような状況が訪れるでしょう。その時に、自宅がZEHで、なおかつ大容量の太陽光発電が登載されていれば、より多くのメリットを居住者が得られます。

こうした情報まで含めて誤解がないようにお客さまに伝えることができれば、ZEHの価値を充分に理解してもらえるのではないでしょうか。

──そこまで説明することができれば、ZEHを中心とした未来のエコロジーライフ像が見えてきますね。

地球温暖化の解決に向けて、世界中であらゆる仕組みや枠組みが変わろうとしています。その潮流は日本にも確実に押し寄せています。私は、住宅業界が省CO2型の住宅を供給することは、次の世代に地球を引き継ぐうえでの使命だと思っています。

ZEHなどを推進することは、各企業の売上の増加にもつながる。ZEH化を推し進めることで、ビジネスとしての一定の成果を収めながら、社会的な責務も果たすことができるのです。

それだけに、ZEH推進のプラットフォームとしての役割を果たせるようにZEH協の活動を進めていきます。

(聞き手・中山紀文)

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ハウジング・トリビューンVol.631(2021年22号)

特集:

2030年住宅への設置率6割は可能か
初期費用、条件不利地域へのソリューション

国は2030年に住宅での太陽光発電の設置率6割を目標とする考えを示した。
現状の設置率は1~2割とみられ、非常に高い目標と言える。
100万円以上を必要とする「高額な初期費用」や、十分な発電効率を得るのが難しい「条件不利地域」といった課題があるなか、住宅事業者は設置率6割に向けてどのように取り組んでいけば良いのか──。
住宅太陽光発電マーケットの最前線を追う。

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