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2021.9.1

世帯数の減少によって住宅施策も重要な転換期を迎えるのではないか

国土交通省 住宅局 住宅生産課  宿本 尚吾 課長

空き家問題、自然災害への対応、カーボンニュートラル社会の実現、そしてコロナ禍による社会情勢の変化など、住宅業界をとりまく状況は目まぐるしく変化している。こうしたなかで住宅施策も新たな対応を迫られようとしている。今年7月に住宅生産課長に就任した宿本尚吾氏に話を聞いた。

―住宅業界をとりまく状況をどのように捉えていますか。

近年、様々な社会的な課題の解決に向けて、住宅が果たす役割は高まる傾向にあります。そこにコロナ禍が発生し、在宅ワークといった新たな課題も浮上してきています。

国土交通省としても、令和3年度から12年度までを計画期間とする新たな住生活基本計画を策定し、社会環境の変化を踏まえた施策を講じていこうとしています。新たな日常や豪雨災害などに対応した施策や、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた施策などの方向性を示したところです。

その一方で、個人的には世帯数が減少する社会に突入していくという点に着目しています。

国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、わが国の世帯数は2023年の5419万世帯をピークとして、その後は減少に転じていきます。2040年には5076万世帯にまで減少します。しかも「単独」や「夫婦と子」の割合は増加しますが、「ひとり親と子」の割合は減少していきます。つまり、量的な変化だけでなく、世帯の‟中身”も変化していくのです。

戦後の住宅施策は、420万戸もの住宅不足を早急に解消することが最大のテーマでした。様々な取り組みを進め、昭和43年には全国で総住宅数が総世帯数を上回りました。短期間で住宅不足を解消してきた先人の方々には本当に頭が下がります。

その後、徐々に「質から量へ」、「フローからストックへ」という方向へ住宅施策も方向転換を図ってきたわけですが、世帯数が増加していたこともあり、近年まで量の時代だったのかもしれません。昭和43年から平成30年までの50年間で2800万世帯を超える世帯数の増加がありました。人口5000万人~6000万人の国がひとつできるくらいのインパクトがあったわけです。その意味では、世帯数が減少に転じる今後、住宅施策が大きな転換期を迎えるのではないかと考えているのです。

      国土交通省住宅生産課の宿本課長

―世帯数が減少傾向に転じることで、様々な住宅施策の前提も変わりそうですが。

先ほども触れましたが、戦後の住宅施策の大きなテーマは420万戸の住宅不足の解消だったわけです。では、これからの住宅施策を考えるうえでの数値的な根拠はどういうものになるのでしょうか。

2018年時点で人が居住している住宅ストックの総数は約5360万戸でした。これが2040年には約5075万戸にまで減少するとされているわけですが、問題は5075万戸の中身です。

我々の推計によると、5075万戸のうち約2000万戸はバリアフリーもしくは省エネ基準のどちらかを満たしていると予想できます。残りの約3000万戸については、リフォーム・リノベーションによる質向上、もしくは建替えが必要になると見込まれるストックです。

この3000万戸を2040年までに一定以上の質を満たすものにしていくと仮定すると、年間150万戸程度の新築、もしくはリフォームが必要になるのです。 

この数字が見えてくると、150万戸という数字を前提としながら、年間を通じてどのくらいの戸数のリフォームを促し、新築はどのくらいの供給量が妥当なのかを検討していくことで、約3000万戸のストックの質を向上していく道筋が見えてくるのではないでしょうか。

その一方で、空き家を増加させないためには、例えば新築の着工戸数を100万戸と想定すると、115万戸程度除去しなくてはいけない計算になります。

あくまでも粗々で推計したものではあり、細かい数字についてはもう少し精査する必要がありますが、こうやって現在と将来の住宅ストックの状況を分解していくことで、やるべきことが見えてくるのではないかと考えています。

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ハウジング・トリビューンVol.629(2021年20号)

特集:

蓄積されるエビデンスの最前線

住まいの温熱環境が居住者の健康を大きく左右する──そのエビデンスが着実に蓄積されつつある。
断熱性や気密性を高めることは暮らしの快適性につながるだけでなく、健康にも影響することは従前から指摘されてきたが、これらは経験や体験に基づくものであり、医学的なエビデンスに裏打ちされたものではなかった。
しかし、ここ10年間ほどの間に温熱環境と健康に関する研究が進み、その成果がまとまり始めている。
温熱環境と血圧、睡眠、虚弱、皮膚疾患などとの関係が明確になりつつあるのだ。
高性能住宅は、省エネ性や快適性などだけでなく、こうした健康面での価値を持つ。
住まいづくりも大きく変わりそうだ。
それぞれの分野の学識経験者に、研究の最前線、その影響などについて聞いた。

住まいと健康
慶應義塾大学理工学部システムデザイン科 教授 伊香賀俊治氏
温熱環境と睡眠
関西大学環境都市工学部建築学科 教授 都築和代氏
温熱環境と高血圧
自治医科大学循環器内科学部門 教授 苅尾七臣氏
温熱環境と皮膚疾患
岐阜工業高等専門学校建築学科 教授 青木哲氏
温熱環境と虚弱
北九州市立大学国際環境工学部建築デザイン学科 准教授 安藤真太朗氏

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