クラウドファンディング不動産投資への期待高まる

地方の中小不動産の空き家再生や賃貸、民泊への投資需要開拓へ

  


クラウドファンディングを活用した不動産投資への期待が高まってきている。少額から融資できるメリットを活かして、これまで不動産投資の対象とされてこなかった地方の中小不動産の空き家再生や、賃貸住宅などへの投資需要の開拓を図って行こうとする動きが出てきている。

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海外に比べると、日本の不動産投資市場はまだ発展途上というのが実情だ。主に投資を行っているのはプロの投資家で、一般の個人にとって、不動産投資のハードルは高い。このため、ネットを通じて少額で投資できるクラウドファンディングのメリットを活かして、不動産投資市場の開拓を図る動きが活発化している。

例えば、クラウドリアルティ(東京都千代田区・代表取締役 Founder&CEO:鬼頭武嗣氏)は、金銭でのリターンを伴う〝投資タイプ〟の不動産クラウドファンディングサービス「Crowd Realty」の運営を今年6月から本格的にスタートさせた。「Crowd Realty」では、これまで不動産投資の対象とされてこなかった取り組みを投資対象としている。例えば、地方の中小の住宅・不動産事業者などが、空き家などの遊休不動産をリノベーションして宿泊施設やシェアハウスにするといった取り組みだ。

第1号のファンドは、不動産管理・宿泊施設事業を行うトマルバ(京都府京都市・代表取締役社長 兼 CEO:芦野貴大氏)と設計事務所STUDIO MONAKA(京都府京都市)が、京都市東山区の町家をリノベーションして一棟貸しの宿泊施設にするプロジェクトに対して投資するもの。ひと口5万円から投資でき、想定利回りは10%と高い。Jリートの場合、不動産会社、金融機関などの手数料により、最終的には利回りは3~4%程度になってしまうが、クラウドファンディングを利用することで、手数料などを抑えられ高い利回りを実現できる。7200万円を目標とする資金募集を行ったが、締め切りまでに募集金額を集めることに成功している。

クラウドリアルティ代表の鬼頭武嗣氏は「もともと投資銀行にいたが、地域の活性化を図るために、空き家などの遊休不動産を活用して事業を行いたい人が増えている事実を目の当たりにしていた。だが、そういった人は20代、30代といった若い人が多く、信用力を担保にした資金集めは難しい。このため、クラウドファンディングという手法を使うことで不動産を小口化し、ネットを利用することで集めやすくしたいと考えた」と「Crowd Realty」を立ち上げた経緯を話す。

第一号の京町屋の宿泊施設化プロジェクトを見て、他の事業者からも「Crowd Realty」を通じて、空き家を宿泊施設やシェアオフィスなどにするための資金調達を行いたいという反響がきているという。第二号のプロジェクトも近々、募集を開始する予定。再来年には、「Crowd Realty」を通じた資金の募集総額を100億円までにしていきたい考えだ。

投資向け賃貸などの資金調達に募集金額の9倍の応募

クラウドファンディングを通じて、賃貸住宅や民泊などへの投資需要の開拓を図って行こうとする動きも出てきている。投資向けアパートの提案・建築・賃貸管理をワンストップで提供するアパート経営プラットフォーム「TATERU(タテル)」の運用を行っているインベスターズクラウド(東京都港区・古木大咲社長)は、昨年から投資タイプの不動産クラウドファンディングサービス「TATERU FUNDING」を開始している。今年6月には、第6号のファンドの募集を開始しており、着実に実績を積み重ねている。

「TATERU FUNDING」では、ウェブ上で賃貸住宅や民泊施設などの物件に対してひと口1万円で出資を募り、インベスターズクラウドが運用して得た利益を出資者に分配する。投資対象物件はインベスターズクラウドが自社で開発、施工、管理を行うアパートや民泊施設だ。同社が施工したアパートの累計数は1700件を突破しており、こういった実績を活かしてクラウドファンディングでも不動産投資を呼び込む。投資対象の物件については、インベスターズクラウドも3割の出資を行う。これにより、仮に賃貸アパートの収益が目減りしてもその分を同社が負担し、投資家の元本を保証することで、元本に対する予想分配率の年5%(税引前)を確保する。「TATERU FUNDING」の反響は高い。第6号のファンドにおける募集総額3570万円だったが、実際にはその約9.4倍となる3億3870万円の応募があった。

クラウドファンディング不動産投資への期待高まる
クラウドリアルティは不動産クラウドファンディングサービス「Crowd Realty」の運営を今年6月から本格的にスタート。第1号のファンドについては、7200万円を目標とする資金募集を
行ったが、締め切りまでに募集金額を集めることに成功している
クラウドファンディング不動産投資への期待高まる
インベスターズクラウドは昨年から投資タイプの不動産クラウドファンディングサービス「TATERU FUNDING」を開始。募集額を超える応募を実現している
クラウドファンディング不動産投資への期待高まる
ロードスターキャピタルは不動産クラウドファンディングサービス「Owners Book」を通じて、一般の個人投資家の需要を開拓していこうとしている

SNSで情報交換も不動産投資のハードル下げる

不動産の投資、仲介、コンサルティング、アセットマネジメント業務などを手掛けるロードスターキャピタル(東京都中央区・岩野達志社長)も投資タイプの不動産クラウドファンディングサービス「OwnersBook」を通じて、一般の個人投資家の需要を喚起していこうとしている。

「OwnersBook」では、マンションやオフィスビルなどを対象としており、一住戸から一棟まで幅広く投資できる。投資物件については、ロードスターキャピタルが厳選し集めている。それぞれの投資案件ごとに、会員用のSNSページがあり、会員同士で情報交換をすることが可能。不動産投資の初心者でも取組みやすくしている。また、投資金額についても、ひと口1万円からと一般の個人でも手軽に投資できる少額に設定。少額なので、複数の物件にも投資しやすい。利回りについては、平均で8%程度を実現している。

空き家活用や投資向け賃貸住宅、マンションなどの様々な場面で、クラウドファンディングの活用が広がってきている。なかでも、空き家活用については、今年5月末に「不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案」が国会で成立したことで、クラウドファンディングが活用しやすくなる。

現行の法制度では投資タイプのクラウドファンディングを利用して不動産投資を行おうとすると、事業者は投資家に契約内容などを書面で交付することが義務付けられている。だが、これではネットで取引が完結せず、クラウドファンディングのメリットが半減する。

このため、投資タイプのクラウドファンディグを行う場合には、ネット上だけで取引を簡潔できるようにする。法改正でクラウドファンディングへの期待感が高まっているだけに、不動産投資市場へのクラウドファンディングの活用が今後一層広がっていきそうだ。

 

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