New   2025.12.4

国交省、次期「住生活基本計画」の素案公表

空き家サブリース事業促進など追記

 

国土交通省は、先に公表した中間とりまとめや各委員からの意見を踏まえて、このほど新たな住生活基本計画の素案を作成した。

住生活基本計画とは、国民の住生活の安定化や向上を図ることを目的とし、住生活基本法に基づいて策定するもの。概ね5年ごとに改定することになっている。

今回の素案では、既存住宅ストックの本格的な活用と、若年・子育て世帯などが過度な負担なく必要な住まいを確保できる市場の構築に重点を置いている。

中間とりまとめからの主な変更点として、アフォーダブル住宅の供給促進の観点から、空き家のサブリース事業を促進することが追記された。加えて、比較的状態の良い空き家を賃貸流通させる取り組みの構築も目指す。これにより、公営住宅の空き住戸活用や買取再販なども含め、多様で手頃な住まいの選択肢を提供するとしている。

また、頻発・激甚化する災害への対応として、住宅地における浸水対策を強化する方針も示した。敷地のかさ上げや高床化、止水板の設置などによる浸水対策と、共同住宅等を活用した避難や一時滞在対策を促進する。

さらに、「大都市圏における住宅の供給等及び住宅地の供給の促進」という項目も新たに設けた。この項目では、大都市圏に属する都府県の今後の住宅供給方針に言及。人口減少の動向を踏まえながら通勤・通学者の居住想定地域や高齢者増加地域を見据え、住宅供給を重点的に図るべき地域を設定することなどを盛り込んだ。

なお、新計画では具体的な成果指標も設定。住宅ストック平均の省エネ性能を示すBEIについては、2023年に1.3だったものを2035年に1.0へ引き上げる方針だ。さらに、災害対策の指標では、浸水想定区域を有する市区町村のうち、具体的な住まいの浸水対策に取り組む自治体の割合を2035年に100%にするとした。そのほか、既存住宅取引やリフォームの市場規模は、23年の16.9兆円から35年に19.7兆円に成長させる。

今後、来年2月16日の会議で本格的な案を審議し、3月の閣議決定を目指す。