循環器疾患リスク、賃貸居住者で高く 断熱性の低さ要因に
東京科学大学などが分析
賃貸集合住宅の居住者は循環器疾患による死亡リスクが高いという研究結果が報告された。
住環境と循環器系の健康に相関があることは、これまでの研究でも示唆されていた。しかし、住環境が循環器系疾患の発症や、疾患による死亡にどこまでの影響を及ぼすのかはあまり明確になっていなかった。
今回の研究結果を報告したのは、東京科学大学、浜松医科大学、日本福祉大学、千葉大学の教授らが参画する研究チームだ。
研究の結果、賃貸集合住宅居住者の循環器疾患による死亡リスクは、持家集合住宅居住者と比較して約1.8倍であることが分かった。また、性別ごとにみると男性の死亡リスクが突出して高く、約2.3倍となっている。

この主な要因として研究チームは、一般的に賃貸住宅の断熱性能が持家と比較して低い傾向にあることを挙げている。賃貸住宅オーナーの中には、コスト面を考慮して建築・設備などへの投資を抑えたいと考える人もいる。そのため、持家よりも断熱性能が低い物件は少なくない。

しかし、断熱性の低い住宅では冬季に室内温度が大きく低下するため、血圧が急激に上昇する。これが循環器の負担を増大させ、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす。世界保健機関(WHO)が2018年に発行したガイドラインによれば、冬場は室温を18℃以上に保つことが健康に良いとされている。
こうした課題に対し、研究チームは「賃貸住宅オーナーによる住宅性能向上への投資を促すことが重要」と指摘する。今後は住宅の環境測定を大規模に実施し、健康データとの照合を行うことで、健康長寿を実現できる客観的な住宅環境基準の確立につなげていきたい考えだ。
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