関西ペイント、「漆喰塗料」による新型コロナの感染抑止効果を実証
5分で99.9%以上のウイルスを不活化
関西ペイントは長崎大学との共同実証試験で、「漆喰塗料」が新型コロナウイルスを不活化させる効果を実証した。今後、同社は漆喰塗料をこれまでの建築分野だけでなく、医療・介護などの分野にも広げ、将来的に売上高30億円を目指したい考えだ。
関西ペイント(大阪府、毛利訓士社長)は、2007年に消石灰塗料化技術を活用した「漆喰塗料」を開発。2016年には、ウイルス研究分野の第一人者である長崎大学 感染症共同研究拠点 安田二朗教授との共同実証試験を通じ、漆喰塗料がインフルエンザなどの4種類のウイルスにおいて、99%以上の不活化効果があることを確認した。
ウイルスは、アルカリ性のものに触れると不活化される性質がある。漆喰塗料の原料である消石灰(水産カルシウム)は強いアルカリ性であるため、ウイルスが不活性化する効果があるという。
今回、こうした漆喰塗料の抗ウイルス効果を新型コロナウイルスでも検証するため、関西ペイントは安田教授と共同実証試験を実施、その結果、漆喰塗料が新型コロナウイルスでも99%以上を不活化する効果を確認した。
建築業界以外へも提案を拡大
関西ペイントでは、「ウイルス対策ビジネスは拡大期にある」(中野上席執行役員)として、漆喰塗料の提案を強化していきたい考えだ。
これまでは、建築業界を対象に訴求を行ってきたが、今後は建設業界以外にも提案の範囲を広げていく。例えば、商業、飲食、医療、介護、保育、教育、観光関連の施設や、工場、オフィス、一般家庭への提案を行う。
商品開発も推進する。これまで同社は壁に塗る漆喰塗料に加え、漆喰をコーティングした「接触感染対策テープ・シート」の提案を行ってきたが、こうした動きを進め、今年11月にはマットに漆喰をコーティングした「ウイルス対策マット」を発売する予定だ。さらに、漆喰を紙やダンボール製の簡易トイレ・ベッド、フェイスシールド、マスクなどにコーティングした製品も開発中だ。
関西ペイントでは、提案する業界の拡大と新商品の販売で、将来的に売上高を年間2億円から30億円へ拡大させていきたい考えだ。
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