壁材から床材・カーテンまで 内装建材が住まいの空気をきれいにする

アレルギー性鼻炎などの対策に効果を発揮する床材の提案も

  


高気密・高断熱住宅が増えてきたことにより、夏の湿気や冬の乾燥など、湿度の調整が重要になってきている。また、アレルギー性鼻炎に悩む人も近年増加しており、アレル物質の分解やダニの働きを抑制する機能など、ユーザーの内装建材への要求は多様化し、壁紙や左官材料、塗料といったものから、最近では床材、カーテンなど製品提案が活発化している。メーカー各社が提案する高い機能を確保した内装建材を見ながら市場の動向を探る一方で、空気ソムリエのごとうひろ美氏に、建材が住空間づくりにもたらす効果ついて話を聞いた。

住宅は断熱化・気密化が進んだことや冷暖房機の発達によって、以前に比べ格段に過ごしやすくなっているが、その反面、カビやダニの発生、過乾燥などが起こりやすく、湿度の調整がこれまで以上に重要視されている。日本人の65%はダニによるアレルギー性鼻炎に悩まされている可能性があるとの研究報告もあり、室内の空気環境を整えることは健康を保つための重要なポイントのひとつとして注目度は高まっている。

内装壁材には調湿や抗菌など高機能を持った製品が多数存在

住宅づくりで長年注目を集めているのが空気環境を整える建材だ。なかでも調湿、消臭、ダニの発生を抑制する機能を持つ、多彩な壁材が市場を活気づけている。

たとえばLIXILでは、内装壁材として調湿・消臭・VOC吸着機能をもつ「エコカラット」を提案している。エコカラットは、優れた調湿機能に加え、ニオイやホルムアルデヒドなどの有害物質の吸着・低減機能を保有することで室内を快適な空気環境に整えるとして発売以来、ユーザーから高い支持を得ている製品だ。多孔質セラミックスの使用により吸放湿量は珪藻土の約5~6倍以上と高い調湿性能を発揮。エコカラットの細孔は、トイレ臭、タバコ臭、ペット臭など、普段の暮らしの中で人が不快と感じる臭いも吸着、快適な暮らしをサポートするとして発売から20年近く経った今でも売り上げを伸ばしている。

ルノンが提供する「空気を洗う壁紙」は、空気触媒を用いて悪臭を半永久的に吸着・吸収するというもの。壁紙の表面に匂いの原因物質を吸着・分解する消臭剤「トリプルフレッシュ」を採用、悪臭の原因物質に触れると吸着する仕組みだ。吸着した物質は触媒作用により水と二酸化炭素に分解後、壁紙から放出する。放出後、トリプルフレッシュは元の状態に戻り、機能が損なわれることがないため、24時間、常に吸着、分解、再生のサイクル消臭が可能だ。壁紙を貼るだけで悪臭の原因物質を半永久的に分解・消臭し続けるとして、ユーザーからも高い評価を得ているという。主に硫化水素やアンモニアなどのトイレの臭い、ニコチンなどのたばこの臭い、シックハウスの原因のホルムアルデヒドなど全部で8つの原因物質に効果的だ。

空気を洗う壁紙にはデザイン性の高い「CRAFT LINE」も用意。「機能性壁紙でもデザイン性の高いものを」というニーズに応え、トリプルフレッシュの高い機能を保持しつつ滝の流れを表現した石目調など幅広いデザインをラインナップした。

リリカラは消臭と汚れ防止の2つの機能「ダブルクリーン」を付与した壁紙を販売している。表面に消臭と汚れ防止フィルムをラミネートすることで、悪臭の消臭と汚れ防止の2つの効果を同時に発揮。トイレ、生ゴミ、ペット、タバコ、汗などに含まれる悪臭成分を消臭しながら、コーヒーなどの飲食物やクレヨンなどの汚れを水や中性洗剤で簡単に落とすことができる。ペットを飼う家庭やトイレなどで多く使用されているという。

LIXILの「エコカラット」は、優れた調湿機能に加え、ニオイやホルムアルデヒドなどの有害物質の吸着・低減機能を保有することで室内を快適な空気環境に整える
ルノンは空気を洗う壁紙にデザイン性の高い「CRAFT LINE」を用意。トリプルフレッシュの高い機能を保持しつつ幅広いデザインをラインナップした
関西ペイントの内装塗料「アレスシックイモンティアート」は、抗ウイルス、抗菌、消臭、調湿機能を備えた新型漆喰塗料としてインフルエンザウイルスH3N2などに高い効果を発揮する

不織布などにも対応する高性能な漆喰塗料も

調湿や消臭などの機能を壁材に付与した製品が多数存在するなか、関西ペイントは内装塗料の「アレスシックイモンティアート」を提案している。アレスシックイモンティアートは、抗ウイルス、抗菌、消臭、調湿機能を備えた新型漆喰塗料だ。従来、同社が提供していた「アレスシックイ」はモルタルやコンクリート、石膏ボードなどに塗布するといった建築用途に限られていたが、アレスシックイモンティアートは各種繊維や紙、不織布、塩ビシート、PEFフィルムなどにも塗布できる。同社の抗ウイルス機能実証試験でアルコール消毒が効かないイヌパルボウイルス、人に感染する最も身近なウイルスであるインフルエンザウイルスH3N2、感染力が強い水疱性口内炎ウイルスなどに高い効果を発揮することがわかっているという。

カラーバリエーションも豊富で、漆喰独特の質感を活かした「デザイン仕上げ」や、福井県の越前和紙とのコラボによる「和」を前面に押し出したデザインも展開する。

サンゲツのPENTAGONは「光触媒チタンアパタイト」と呼ばれる糸を採用することで、カーペットに付着したウイルスなどの有害物質を太陽光によって二酸化炭素と水に分解する

アレルギー性鼻炎などの対策に効果を発揮する床材の提案も

空気をきれいにする内装材としては壁材が市場に多く出回っているが、近年では床材やカーテンなどに住宅の空気環境を整える機能を付与した製品も多く開発されている。

たとえばLIXILは環境アレルゲンの働きを抑制する床タイル「アレルピュアウォール」を提供している。アレルピュアウォールはタイルの表面に付着したスギ花粉やダニのフン・死がいが持つ環境アレルゲンの働きを抑制する機能を持ったタイルである。環境アレルゲンとは、たんぱく質の一種で、アレルギー症状を引き起こす原因となるもの。アレルピュアウォールの表面を抗アレルゲン剤でコーティングすることで、スギ花粉やダニのフン・死がいが付着した際に、それらが持つ環境アレルゲンの働きを抑制する。抗アレルゲン剤はタイルの表面に数ミクロンという非常に薄いコーティングを施すことで効果を発揮する。見た目は普通のタイルと変わらないが、一度コーティングすると約30年間はその効果を維持することが同社の試験で実証されている。

またサンゲツはアレルギー性鼻炎の対策に力を発揮するとして「PENTAGON」を提供している。PENTAGONは「光触媒チタンアパタイト」と呼ばれる糸を採用することで、カーペットに付着したウイルスなどの有害物質を太陽光によって二酸化炭素と水に分解する機能を持ったもの。アレルギーの原因となるアレル物質を減少・分解するほか、ダニの増殖を防ぐなどの効果を発揮する。

洗濯しても機能は継続
快適な空気づくりにはカーテンも

リリカラはレースカーテンに24 時間消臭や抗菌効果を持たせた糸を採用することで、住宅のきれいな空気づくりをサポートする。光触媒と消臭剤の2つで半永久的に空気中のアセトアルデヒドやホルムアルデヒドなどの悪臭の原因となる成分をレースカーテンが吸収し消臭する。

サンゲツもレースカーテンに花粉やホコリの侵入を抑える機能「FCOT(エフコット)」を採用したカーテンを提供している。カーテンの繊維自体を花粉やホコリがキャッチしやすい構造にしているため、洗濯しても花粉やホコリが落ちるだけで機能は持続。半永久的に高い性能を維持する。

住まいの快適な空気環境づくりをサポートする建材は、メーカーの開発努力により従来に比べ選択肢が増えつつある。多様な製品の提供に伴いユーザーの採用も益々増えていきそうだ。

リリカラはレースカーテンに24時間消臭や抗菌効果を持たせた糸を採用することで、住宅のきれいな空気づくりをサポートする

“なんか心地よい”という感覚が空気をきれいにする建材の潜在力を最大限引き出す

ごとうひろ美氏
アトピー性皮膚炎に悩まされた経験から、住宅づくりの重要性について考えはじめアトピッコハウスを設立、空気ソムリエとしても活動している

私たち人間は日々の生活の中で最も多く空気を摂取しています。空気を吸い込むことで全身に血が運ばれるため、成人した人で1日に15 ~20㎏もの空気を摂取していると言われています。そのなかで空気を一番多く吸う場所が住宅です。NHK放送文化研究所が以前行った調査によると、人は1日平均で15 時間13 分(全ての年代・性別の平均数値)家に滞在しているそうです。

そうしたなかで、住まいの空気環境を整えるものとして注目度が高まってきているのが調湿や消臭などの機能を持つ建材です。約20 年前、私はリフォーム業を営んでいたのですが、当時は住まいの空気をきれいにする建材としては無垢材が有効であるとされていました。無垢材は湿気が多くなれば水分を吸収し、乾燥すると内部の水分を水蒸気として空気中に放出するため、人が過ごしやすい空気環境をつくるとして、多くの改修依頼が寄せられました。

ではなぜこのような空気環境を整える建材が求められるのか。たとえば、森にハイキングに行ったときに多くの人が気持ちいいと感じるのは、植物から出るフィトンチッドと呼ばれる揮発成分に殺菌作用や消臭効果があるためと言われています。リラックス効果の元となる物質で、すでに森林浴を行うことで人体にリラックス効果があると証明されていますが、私はそれだけではない“何か”が重なることによって人は「気持ちいい」、「快適」と感じるのではないかと考えています。

その“何か”とは、木々が風に揺れてざわざわとする音や小鳥のさえずりなど聴覚的な要素、木の香りなどの嗅覚的な要素なのかもしれません。そうした様々な要素が重なりあって生まれる相乗効果で、より気持ちいいという感覚が引き出される。住まい手も、機能建材の性能だけではない“何か”を察知し、「なんか心地よい」と感じているのではないでしょうか。

空気をきれいにする建材を使いつつ、そうしたロジックでは説明しきれない要素も考慮しながら住まいづくりを行うことで、空気をきれいにする建材の潜在力が最大限に引き出されるのではないでしょうか。

    

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