新型コロナ |  2020.9.11

ケイアイスター不動産、非接触型営業で受注率が20%増加

成約期間も60%減少

ケイアイスター不動産は、コロナ禍の前から取り組んできた非接触型営業が奏功し、受注率が向上している。

ケイアイスター不動産では、2019年12月に群馬県高崎市にある注文住宅「はなまるハウス」の高崎展示場に無人内覧システム導入し、試験的に「はなまるスマートハウス」としてオープンした。

無人内覧システムを企画した、同社のグループ会社であるケイアイネットクラウドの渡邉翔悟次長は、無人内覧システムの導入の理由について、「人的コストを削減し、その効果を購入者の方々へ還元するため」と説明する。

「はなまるハウス」は、規格型の注文住宅。そのコストパフォーマンスの高さから、主に一次取得者からの支持を得ている。さらにコストパフォーマンスを高めるために、人的コストのための方法を検討するなかで、無人内覧システムのアイデアが浮上したという。

無人内覧システムとチャットを用いた営業活動を企画したケイアイネットクラウドの渡邉翔悟次長

チャットアプリを活用し 気軽に接触頻度を高める

無人の展示場の来場予約は、ホームページ、もしくはチャットアプリから行うことができる。ホームページで予約を行う場合は、ある程度の情報を記入する必要があるが、チャットアプリで予約する場合、モデルハウスに来場するまで顧客情報を入力する必要がない。そのため、より気軽にモデルハウスに来場できるというわけだ。

来場する際にスマートロックの暗証番号を知らせ、来場者自ら玄関のカギをあけて入室できる。

入室後はタブレット端末による文字での案内などで、プランや設備などの説明を受けることができる。また、この時点で簡単な顧客情報を入力することとなる。

コロナ禍の中で、ロボットなどを導入し無人展示場化する動きもあるが、同社の手法であれば「それほど大きなコストはかからない」(渡邉次長)という。

展示場の横には、スタッフが常駐する事務所棟がある。来場者がより詳しい説明を聞きたければ、この事務棟を訪問することになるのだ。ここで初めて、対面での営業活動が始まるが、多くの来場者は事務所棟を訪れた時点で、契約の意向をある程度まで高めている場合が多いそうだ。

その秘密がモデルハウスに訪問する前段階にある。チャットアプリで来場予約をする顧客の多くは、それまでにチャットアプリの機能を用いて、同社のスタッフとコミュニケーションをとっている。

対面では相談し難い資金面での質問や、「本当に住宅を買えるのでしょうか」といった相談を受けることも多いという。「マイホームを諦めていた方々などからの相談も多く、チャットだからこそ気軽にコミュニケーションをとれるのではないか」(渡邉次長)。

相談内容に応じた追客活動も行っている。資金相談があった顧客には、住宅ローンに関するオリジナルの資料を10週間に分けてチャットアプリを通じて送信するといった活動を行っているのだ。

チャットアプリのチャット機能であれば、送信したメッセージが既読状態なのか、読まれていない状態などかが把握できる。あまりメッセージが読まれないようであれば、それ以上の追客活動を自粛することもできる。

こうした前段階を踏んでモデルハウスに来場しているからこそ、受注につながる確率も高くなるというわけだ。

モデルハウスに来場した後の追客活動もチャットアプリをメインに行う。「チャットを使うことで接触頻度を高めスピード対応が可能になる。訪問の場合、お客さまの都合を聞いて、週末に訪問するということが多いが、チャットであればいつでもコミュニケーションがとれ、資料なども送れる。接触ポイントを増やせることは、営業活動を行ううえで非常に重要な要素である」(渡邉次長)。

なお、チャットアプリの公式アカウントには、1カ月で30~40名の登録申請があり、その多くは女性だという。

チャットを用いた営業活動を推進したことで、契約までに顧客と対面する頻度は少なくなっており、多くても3回程度しか対面での営業活動を行わない。コロナ禍で対面営業が難しくなるなか、この点も大きなメリットとなっている。

規格型の平屋住宅でも無人内覧を 新しい選び方・買い方を提示

同社によると、無人内覧システムとチャットアプリを用いた営業活動を推進したことで、成約までの期間が以前に比べると約60%も短縮できたという。さらに、成約率も20%増加した。

こうした成果を得たことを受けて、規格型の注文平屋住宅「IKI(イキ)」の発売に伴い、高崎市に無人内覧システムを搭載したモデルハウスを新たにオープンした。

「IKI」は、シンプルでコンパクトな暮らしを実現する平屋住宅。ユニット設計を取り入れることで生産効率を高め、17坪で590万円(税抜き)からという高いコストパフォーマンスを実現している。

無人内覧システムを導入した規格型注文平屋住宅「IKI」のモデルハウス

この住宅と無人内覧システム、さらにはチャットアプリを用いた営業活動によって、ニューノーマルな住宅の選び方、買い方を提示していきたい考えだ。新たな取り組みとして、無人内覧専用のキャラクラーを設定し、TVや端末を介した内覧サポートなども行っていく。

室内では鳥のキャラクターによるモデルハウスの説明が行われる

渡邉次長は、「全ての住宅がチャットなどを用いた売り方になるわけではないだろうが、買う側にとってもひとつの選択肢になることは間違いないのではないか」と指摘する。

大きなコストをかけることなく、無人内覧システムとチャットアプリを使ったコミュニケーションを軸に、確実に受注につながるリモート営業を具現化したケイアイスター不動産。「オンラインイベントで集客は増えたが、そこから受注につなげるための道筋が見えない」といったDX(デジタルトランスフォーメーション)の真の難しさを痛感する声が高まるなか、同社の取り組みはひとつのモデルケースになりそうだ。

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ハウジング・トリビューンVol.606(2020年18号)

特集:

地に足のついた営業で一足先に受注回復へ

新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言解除から3カ月が過ぎた。
一時は休業停止に追い込まれた数多くの住宅展示場も客足が戻りつつある。
客との対面でのやりとりができなくなる中、住宅メーカー各社が緊急対応として取り入れたオンラインによる打ち合わせやVRなどの導入によるWebの強化策。
2ケタ台の落ち込みが相次ぐ7月に、一足早く前年対比を上回ったメーカーから見えてきたのは、地に足のついた営業姿勢だった。
一部では非対面での住宅営業が進むとの見方もある中、他よりも一足早く受注が回復したにメーカーでは、「地道に丁寧な営業を重ねた結果で、奇をてらった対応はしていない」と口をそろえる。

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