効く制振の見分け方
東京工業大学 未来産業技術研究所 笠井和彦 特任教授
戸建住宅向けの制振設計指針を整備 様々な制振を統一的に評価可能に
建築研究開発コンソーシアムで組織された住宅制振構造研究会(笠井和彦ら委員長:東京工業大学特任教授)は、木造戸建住宅向けの制振ダンパー、それを組み込んだ架構(制振壁)、更にそれと通常の架構を併せた住宅構造全体(制振システム)の評価方法を示す「小規模住宅制振設計指針」の取りまとめを進めている。2017年秋には公表できる見込みだ。 制振 システムを選ぶ際にどのような点に留意しなければならないのか。笠井教授に聞いた。
──小規模住宅制振設計指針づくりに取り組まれている背景、狙いについて教えてください。
通常の住宅構造の耐震性を高めても、巨大地震の被害を受けた後には、接合部やビスなどがダメージを受けて、躯体が変形、損傷し、新築時の耐震性能が維持されるとは言えません。こうしたリスクを回避するために、接合部やビスなどが犠牲になる前に代わりに地震エネルギーを吸収し、建物の変形および損傷を抑制するのが制振という考え方です。躯体へのダメージが少なければ、地震後もそのまま住み続けられます。地震被害が全国で相次ぐなかで、制振へのニーズは高まっていると言えるでしょう。
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