三井不GがサプライチェーンのGHG排出量算定を義務化
Housing Tribune Weekly vol.653
三井不動産がグループの脱炭素に向けた新たな取り組みを発表、SCOPE3温室効果ガス(GHG)排出量の削減を強化、サプライチェーンに対してGHG排出量算出を義務化した。大きな課題であるSCOPE3の排出量削減に向けて、その取り組みが広がりそうだ。
国を挙げての脱炭素に向けた取り組みが加速しているが、企業活動におけるGHG排出量削減の大きな課題となっているのがSCOPE3に区分される分野からのGHG排出だ。国際的なデファクトスタンダードであるGHGプロトコルでは企業の事業活動に起因する排出量をSCOPE1、2、3に分類、SCOPE3とは「事業者の活動に関連する他者の排出」を指す。具体的には、住宅・建築分野で言えば川上側が資材や輸送、工事など、川下側が入居者やテナントなどによるGHG排出となる。自社では直接手を下しにくい部分であるにもかかわらず、業種にかかわらず全排出量のなかで大きな比率を占めており、カーボンニュートラルの実現に向けて、このSCOPE3の排出量削減が大きな鍵と指摘されている。
三井不動産グループは、「脱炭素社会実現に向けたグループ行動計画」でグループ全体のGHG排出量を「2030年度までに40%削減(19年度比)」という目標を掲げる。同グループのGHG排出量(22年度)は550.3万t-CO₂であるが、このうち「建設時排出」が65%、「売却時排出(他者)」が11%、「運用時排出(他者)」が9%など、90%がSCOPE3に該当する他者排出分。この排出量削減が大きな課題であり、「サプライチェーン全体を巻き込む排出量削減や、新たな排出削減手法の挑戦、提案に取り組み、まちづくりに係るあらゆる人々への意識へ働きかけ、行動変容へとつなげていくことが重要」(植田俊代表取締役社長)となっている。
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