既存住宅の流通活性化で長期優良住宅の認定基準見直し

Housing Tribune Weekly vol.519

国土交通省の有識者会議は、既存住宅流通を活性化させるための当面の取り組みをとりまとめた。長期優良住宅について、分譲マンションでの住棟単位認定や災害リスクを追加するなどを盛り込んだ。一部は今国会に提出される法案に反映される見通し。
同省社会資本整備審議会 住宅宅地分科会・建築分科会の「既存住宅流通市場活性化のための優良な住宅ストックの形成及び消費者保護の充実に関する小委員会」が28日にとりまとめた。

柱は大きく、①良質なストックの形成②円滑な取引環境の整備③住宅紛争処理などの消費者保護の充実――の3つ。

良質な住宅ストックの形成では、長期優良住宅の見直しを明記。同省によると、認定長期優良制度を取得した住宅は、居住世帯のある住宅ストック約5400万戸のうち約2%にとどまる。特に利用が進んでいない分譲マンションへの申請を促すため認定方法の見直しを明記。これまでの各住戸の区分所有者主体から、管理組合が住棟単位で認定を受けることができるよう見直しを求めた。

登録住宅性能評価機関を活用した認定手続きイメージ(見直し後)

また、長期優良住宅の認定基準に地域の災害リスクの追加を明記。現行の認定基準では耐震性は求められているが、それ以外の災害対策については規定がない。近年、豪雨や台風被害など地震以外の自然災害による住宅への被害も相次いでいる点を反映した。

認定手続きの合理化も提案。現状、長期優良住宅の認定申請を行う7割が住宅性能評価も申請している。こうした審査の重複を排除し、登録住宅性能評価機関による技術審査を法的に位置づけ、審査の合理化・迅速化を図ることを明記した。他にも、一定の性能を有する良質な既存住宅については建築行為を伴わない場合でも認定を取得できるようにする制度の創設や省エネルギー性能の向上のための基準の見直しなどを盛り込んだ。

円滑な取引環境の整備では、安心R住宅制度普及のための利用者へのインセンティブの検討。消費者が安心して既存住宅を購入したりリフォームを実施したりすることができるよう、瑕疵保険(2号保険)の普及・拡大も明記した。

住宅紛争処理などの消費者保護の充実としては、住宅紛争処理の対象に2号保険に加入した既存住宅に係る紛争の追加や、時効の完成猶予効の付与、当事者の希望に応じた訴訟手続の一時的中止を可能にすることなどの検討を、それぞれ求めた。

このとりまとめの一部は、今国会に提出される法案に反映される見通し。会合で、同省の和田信貴住宅局長は、共同住宅での住棟認定や、長期優良住宅の基準に災害リスクを追加、審査手続きの合理化、住宅紛争処理へのリフォームや既存住宅の追加などを挙げ「法案にするべく最終的な詰めを行っている」と明かした。

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