New   2026.9.24

神戸市、〝異次元〟空き家対策で持続可能なまちづくり

全国初の弁護士含む特命チーム、建築家コラボ、解体廃材循環まで

 

兵庫県神戸市は「異次元の空き家・空き地対策」と称し、建築家との協働による空き家活用促進、解体廃材循環施設の運営など独自のユニークな空き家対策に取り組んでいる。

六甲山と瀬戸内海に挟まれた港湾都市である神戸市は、地理的制約から独自の発展を遂げてきた。戦後の高度経済成長期には山の土を削って郊外ニュータウンを建設し、その土砂を海へ運びポートアイランドなどの人工島を築いた。1960年代以降は、鉄道網の整備とともに団塊の世代を中心に人口が急増し、都市が発展した。企画調整局広報戦略部長兼広報官の長尾里津子氏は「当時人口が急激に増えた影響で、現在国内の他の都市より一早く、人口減少、高齢化、空き家といった課題に直面している」と話す。

1995年の阪神・淡路大震災で大きな被害を受け、しばらくはインフラの復旧・復興に多大な財政投資を続けてきたが、2015年ごろからようやく都市計画に着手し、現在は未来へつながる「持続可能なまちづくり」を推進している。都心である三宮周辺では、タワーマンションなどの過度な住宅建設を抑止する条例を全国に先駆けて整備し、商業・業務・にぎわい機能を優先的に誘導。さらに現在は、都心部のマンションにおける「空室税」導入を検討している。一方で、郊外や既存の市街地においては、駅周辺のリノベーションや既存住宅ストックの活用を進め、2030年までに木造戸建てを中心に5000戸以上のアフォーダブル住宅を供給する計画を掲げる。都心の「働く場・にぎわい」と郊外の「質の高い暮らし」をバランスよく配置するまちづくりを進める上で、空き家の解消と再生が、最重要課題となっている。

神戸市全体の活性化計画。都心の「働く場・にぎわいの場」と、郊外の「質の高い暮らし」をバランスよく配置するまちづくりを掲げる

魅力的な空き家活用が連鎖

2023年の住宅・土地統計調査によると、神戸市の空き家数は約11万8000戸、賃貸や売却用を除く「放置された空き家」は約3万9000戸にのぼる。空き家率の13.9%自体は全国平均並みを維持しているものの、所有者不明の土地や空き家は未だ大きな課題となっている。

神戸市の空き家対策の基本方針は「使える空き家・空き地は徹底的に活用し、使えないものは解体して土地利用を促す」と明確だ。活用での窓口となるのが、15年から展開する「空き家等活用相談窓口(すまいるネット)」だ。一般的な不動産市場では資産価値が低く扱いにくい築古の空き家であっても、専門家が伴走し、市内の不動産事業者からの活用提案を引き出す「駆け込み寺」として機能している。さらに、18年からスタートした所有者と地域活動の拠点を探す団体などをつなぐ「空き家・空き地地域利用バンク」も実績を上げている。


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