一次エネ削減の鍵 給湯器の高効率化が加速

ハイブリッド、エコジョーズ、エコキュートで相次ぐ価値提案

 

高効率給湯器をめぐる動きが活発だ。新商品開発が相次ぎ、省エネ性・環境性をベースとして生活価値、施工性などの価値提案が進む。販売においては、戸建や集合、持家・賃貸といった市場特性にあわせた動きが加速する。家庭部門の消費エネルギー削減の鍵となる給湯器をめぐる動きを追った。

国、業界をあげて給湯器の高効率化の取り組みが進む。

資源エネルギー庁の「エネルギー動向(2025年6月版)」によると、23年度の家庭部門のエネルギー消費に占める給湯の割合は27.7%と約3割を占める。「2030年に温室効果ガス46%削減」「2050年にカーボンニュートラル実現」という目標のため家庭部門の対策が必須。この家庭の省エネ化、CO2排出量削減を進めるうえで、高効率給湯器への切り替えは非常に効果が高い。

仕事や職業キャリアに関する学び直しへ住宅省エネ2026事業における高効率給湯器に対する補助

「住宅省エネキャンペーン」において「給湯省エネ事業」が23年度から、「賃貸集合給湯省エネ事業」が24年度から継続実施され、新築住宅への高効率給湯器の導入、既存住宅における高効率給湯器への置き換えが強く進められてきた。また、先には「ガス石油省エネ給湯機普及促進会議=スマいる給湯プロジェクト」が発足、業界の領域を超え、関係行政機関も参画して高効率給湯器の普及拡大を加速させる。

給湯器をめぐる新たな方針も示された。今年5月、経済産業省は有識者会議の検討を踏まえ「家庭用給湯器の省エネ・非化石エネルギー転換に向けた新しい制度に関する報告書」を取りまとめ発表した。これまでの「省エネ」から一歩踏み込み、使うエネルギーを「化石燃料」から「非化石エネルギー」へとシフトさせるもので、「非化石化」の達成に向け、国は高効率給湯器の導入比率の大幅拡大を想定している。

さらに言えば、再生可能エネルギー拡大に向けて出力抑制が課題になるなか、ヒートポンプを使うエコキュートやハイブリッド給湯機にはデマンドレスポンスによる調整力としても期待がかかる。

高効率給湯器をめぐる施策が加速、市場環境が大きく変わりつつあるなか、給湯器メーカー各社は新商品開発を加速、その導入拡大に向けてさまざまな販売戦略を展開している。

[ハイブリッド給湯機]
GXの流れで存在感高まる
給湯新時代を切り拓く

ハイブリッド給湯機は、まだ歴史が浅いこともあり給湯器市場全体に占めるシェアは数%程度とみられる。ただ、住宅の一次エネルギー消費量削減が強く求められ、国の補助金の後押しもあるなか、近年、急速に販売台数を伸ばしている。住宅の省エネ性が大きく高まるなかで大手ハウスメーカーや高性能住宅を手掛ける工務店の仕様化が進み、また、初期に設置されたハイブリッド給湯機が交換時期を迎え始めたことも底上げにつながっている。

ハイブリッド給湯機は、電気ヒートポンプと潜熱回収型ガス給湯器を組み合わせた高効率給湯器で、高い省エネ性、環境性が大きな特徴。ガス給湯器メーカーは、需要に応えるためハイブリッド給湯機のラインアップ拡充に取り組み、特に昨年後半から新商品発売が相次いでいる。現在の給湯器市場のなかで省エネ性、環境性においてトップレベルにあるハイブリッド給湯機をめぐる動きは活発だ。

ハイブリッド給湯機の市場拡大を牽引してきたリンナイは「昨年末までの販売は計画を達成、市場は間違いなく拡大している。ただ、昨年は前年同期比で大きく伸長しているが、他社の参入もあり市場の競争が激しくなっている」(営業本部 営業企画部 商品推進室・芦塚裕介主事)と話す。また、ノーリツも足元の出荷は前年同月比70~80%増という大幅増加を続けている。昨年9月に、ハイブリッド給湯機を上市、急速に販売台数を伸ばしたパロマは、昨年中は月間数百台のペースで販売、今年に入りペースが落ちたものの、シェアは発売時に目標に掲げた10%に達しているという。

省エネ性は当たり前
価値を高めるモデル続々

リンナイは既設コンセントに接続可能な「ECO ONE プラグインモデル」もラインナップ

2010年に世界初の家庭用ハイブリッド給湯機を発売、26年1月には累計出荷台数20万台を突破と、市場拡大を牽引してきたのがリンナイである。

同社の大きな特徴が、長い実績を踏まえた豊富なバリエーションと、付加価値提案で差別化につながるエアバブルテクノロジーだ。
商品バリエーションは、新築向けの「ECO ONE」(160ℓ)がフラッグシップモデル「ダブルハイブリッド(給湯+暖房)」、スタンダードモデルの「シングルハイブリッド(給湯+暖房)」、ふろ給湯モデルをラインアップするスタンダードモデル「シングルハイブリッド(ふろ給湯)」の3機種。「ECO ONE X5」(70ℓ)は、「シングルハイブリッド」(給湯+暖房)と「シングルハイブリッド」(ふろ給湯)をラインアップ、住宅密集地でも設置しやすいコンパクトモデルで、既設コンセントに接続可能なプラグインモデルも揃える。また、集合住宅向けにバルコニーやパイプシャフトにも設置可能な「ECO ONE X5 集合住宅専用モデル」、寒冷地向けの「ECO ONE屋内設置タイプ」、北海道向けの「ハイブリッド冷暖房・給湯システム」と設置条件別ラインアップも豊富だ。

給湯器と貯湯タンク組み合わせの種類、また、機種ごとのふろ給湯と給湯暖房のラインアップなど、戸建・集合、新築・既築、ニーズにあわせた提案が可能だ。

もう一つ、同社の特徴となっているのが微細な泡を水に溶け込ませるエアバブルテクノロジーだ。お湯に微細な気泡を発生させ白濁のお湯を楽しめるマイクロバブル(1㏄当たりの含有バブル数約3万個)、洗浄効果が高く肌の潤いも持続するウルトラファインバブル(同約2730万個)を発生するユニットを組み込み、快適性などの新たな生活体験を提案する。機種により異なるが、マイクロバブルユニット内蔵+ウルトラファインバブル搭載、マイクロバブル搭載、ウルトラファインバブル搭載、標準モデルをラインアップする。「特にハイブリッド給湯機は高価格帯商品であり、エアバブルテクノロジーが差別化につながっている」(芦塚氏)ことが大きな武器となっている。

ノーリツは自然冷媒ハイブリッド給湯機「HPHB R290」が販売拡大を牽引

ノーリツのハイブリッドの販売拡大を牽引するのが、昨年11月に発売した自然冷媒ハイブリッド給湯機「HPHB R290」だ。従来のハイブリッド給湯機「ユコア HYBRID」シリーズに新たな機能を追加し、機能性と施工性を高めた。環境負荷の低い自然冷媒「R290」を採用したことで業界ナンバーワンの環境性を実現、年間給湯保温光熱費約67%削減、給湯・保温一次エネルギー消費量約49%削減(ともに145ℓモデル)と業界トップクラスの省エネ性を実現した。一次エネルギー消費量が少ないフラッグシップモデル(貯湯量145ℓ)と、設置性の自由度を増したコンパクトモデル(同70ℓ)をラインアップ、70ℓモデルにはプラグインモデルも揃えた。

もともと高い省エネ性能が評価されていたが、今年4月にエネルギー消費性能計算プログラム住宅版(webプログラム)に業界トップの省エネ数値で登録されたことが、新築住宅・既存住宅ともに採用の拡大につながっている。さらに環境性の観点からも「自然冷媒」を強調して環境負荷低減や、取替時の自然冷媒回収なども評価につながっているという。

パロマが昨年発売した「HYBRID PLUS(ハイブリッドプラス)」は、高い省エネ性と環境負荷の低減のみならず、設置スペースの問題にも配慮した。

タンクにオリジナルの23ℓの「エコロジカルタンク」を採用、熱エネルギーの放熱ロスを最小限にするとともに、ヒートポンプユニットと一体型として高さ95㎝×奥行42㎝×幅61㎝、設置面積0・45㎡の省スペース設計を実現した。熱源機(ガスふろ給湯器)も高さ60㎝×奥行24㎝×幅47㎝で、この2ユニット構成で柔軟な設置レイアウトが可能だ。熱源機は壁掛け、据置き、据置台、角、縦列など多彩な設置方法に対応する。さらにヒートポンプタンクユニットと熱源機をつなぐ連結配管は1本のみ、戸建住宅は基礎工事を省略可能、プラグイン仕様の採用で専用電源工事も不要と、約3時間での施工が可能だ。このコンパクトサイズ、施工性の高さが販売店から高く評価されたことが販売の好調につながった。

これまでは新築の戸建住宅を中心に販売活動を行ってきたが、今後、集合住宅での拡大にも力を入れる。27年度からのGX ZEH導入をにらみ拡販に注力、今年度の業界シェア15%を目標に掲げる。

GXがハイブリッド化を加速
新築分野で高まる期待

ハイブリッド給湯機は、新築分野において来年度に導入されるGX ZEHにより需要がさらに加速するとの期待が高い。GX ZEHは、再生可能エネルギーを除き一次エネルギー消費量削減率35%以上が求められる。家庭でのエネルギー消費量のうち3~4割を占めると言われる給湯においては、エネルギー効率がより高いハイブリッド給湯機などが求められる。「GX ZEHと非常に相性が良いのがハイブリッド給湯機、その部分を強く提案していく」(リンナイ・芦塚氏)と、ハイブリッド給湯機の普及拡大を強く後押ししそうだ。

ノーリツでは「足元の販売拡大は言うまでもないが、来年度以降の拡大を視野に入れた取り組み」(国内事業統括本部 営業本部 営業企画部 販売推進室 温水グループリーダー 市原拓氏)に注力する。具体的には、新築営業に特化した組織によるビルダー営業においてハイブリッド給湯機を中心とする採用提案を進める。また、ガス会社や設備・管材ルートの担当者も流通店と協業してビルダーへの営業訪問を行い、高い省エネ性を踏まえたBEI低減を強く訴えている。

今後、GX ZEHのような高い省エネ性を目指す住宅において、ハイブリッド給湯機の持つ省エネ性能は不可欠となろう。その意味で、採用は自ずと広がっていくと考えられる。ただ、その一方で、そこまでの性能を求めないビルダーにとっては、省エネ性能とコストとのバランスが大きなポイントになろう。「エコジョーズかハイブリッドかという選択において、やはりコストを非常に気にされる」(ノーリツ・市原氏)と、コスト低減の重要性を指摘する。

そこで大きな役割を果たしているのが国の補助金だ。「みらいエコ住宅2026事業」の「GX志向型住宅」では戸建住宅、集合住宅ともに再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量削減率35%以上が求められ、省エネ性能の高いハイブリッド給湯機採用のモチベーションが高まっている。

既存住宅でも存在感高まる
取り替えが順調に拡大

一方、既存住宅の取り替えにおいてもハイブリッド給湯機は存在感を高めている。リンナイでは昨年、既存住宅の取り替え向けの販売は約3割程度であったが、足元では5割に迫ると順調に拡大している。ノーリツは、これまでハイブリッドの出荷は新築向けの割合が大きかったものの、特に「HPHB R290」の発売以降、プラグインハイブリッドタイプをラインアップに加えたこともあり既築向けが拡大、現在、既築向けが55%程度と新築向けを上回った。

取り替えの場合、元々設置されているエコジョーズなど既存の給湯器からのグレードアップとなるケースが多い。それだけに価格は大きなポイントだ。リンナイでは「普通の給湯器を使ってきたユーザーには『別にお湯が出ればよい』という感覚の人も少なくない。価格が上がるハイブリッド給湯機の魅力をどれだけユーザーに伝えることができるかがポイント。エアバブルテクノロジー、省エネ性、ランニングコストなど、ユーザーにあわせての提案が重要」(芦塚氏)と指摘する。

また、既存住宅の取り替え需要拡大において、まだ売り慣れていない販売店にいかに取り扱ってもらうかも重要だ。その大きなきっかけの一つになるのが国の補助事業であるが、ノーリツでは「給湯省エネ2026事業の活用は、まだまだ活用が不十分であり、その活用による販売拡大は大きな課題」(市原氏)と認識。そこで提案しているのが補助金活用のサポートだ。契約する行政書士事務所が補助金の申請に関して書類のチェックと申請の代行を行い、補助制度をより活用しやすくするものである。また、光熱費メリットの訴求も大きなポイント。ビジネス会員向けサイト「お湯ネット」のなかでハイブリッド給湯機の光熱費の試算シミュレーションを展開、販売活動につなげている。今年7月から同シミュレーションのスマートフォン対応も始め、よりタイムリーな提案を可能とした。

集合や狭小などの対応が加速
設置場所の制約も解消へ

ハイブリッド給湯機に限る話ではないが、貯湯タンクを持つ給湯器は設置場所という課題もある。住宅の狭小化が進むなか、特に都市部では戸建住宅でさえ十分な設置場所を確保できない懸念がある。既存住宅、集合住宅であればなおさらだ。例えば、新築マンションでGX ZEH︲Mの取り組みが進みつつあるが、やはり貯湯タンクの設置は頭を悩ますところだろう。

リンナイは、ハイブリッド給湯機の拡販において力を入れるべき分野として集合住宅をあげる。そもそもハイブリッド給湯機は新築戸建住宅を中心に導入が進んできたためだ。集合住宅は設置上の制約があるケースもあり、戸建住宅に比べて広がりが遅れていた。こうしたなか同社は23年9月に「ECO ONE X5 集合住宅専用モデル」を発売するなど、特に関東を中心に採用物件を増やす取り組みを進めている。

ノーリツの「HPHB R290」は145ℓの大容量モデルでも分離設置を可能としたことが大きな特徴だ。貯湯タンク、給湯器、ヒートポンプの3ピース構造とした。一体設置ではこれら3つの面積分だけの設置場所が必要となるが、分離設置をすれば、貯湯タンクと給湯器は最大3ⅿ、貯湯タンクとヒートポンプは最大15m離して設置できる。設置場所に制約がある場合でも、現場にあわせた柔軟な配置が可能だ。さらに145ℓモデルでもバルコニー設置が可能、隣地との境界500㎜に納まる設置も実現した。「エコジョーズに比べて貯湯タンクとヒートポンプの分だけ設置スペースは必要となるが、ある程度汎用的に設置ができることは大きなメリット。ハイブリッドの採用のしやすさを新築向け、取り換え向けにもしっかりと提案し、販売拡大につなげたい」(市原氏)と、そのメリット訴求に力を入れる。

レジリエンス、調整力でも価値
ハイブリッドのポテンシャル

ノーリツは現在全国16会場で流通事業者向け展示会「NORITZ EXPO 2026」を展開しているが、「ハイブリッド給湯機の実機を初めて見た」という来場者も多いという。逆に言えば、ハイブリッド給湯機が持つポテンシャルはまだまだ大きい。

ハイブリッド給湯機の魅力は環境性能だけではない。ガスと電気の両方を使うため、どちらかのインフラが停止した時でもお湯を作ることができる。地震の頻発化、台風の大型化など自然災害が増えるなか、そのレジリエンス性は大きなポイントだ。

もう一つ、国の方針として再生可能エネルギーの導入拡大が進められるなか、エネルギー調整力の確保が課題となっている。デマンドレスポンスへの対応だ。リンナイは昨年、ハイブリッド給湯機のDR Ready実証を、また、26年度中にデマンドレスポンスの有効性を検証する実証を行う予定だ。「市場の変化のなかで、現在のECO ONEも今のままで良いとは考えていない。GX ZEHやDR Readyに最適なラインアップを企画、販売していく」(リンナイ・芦塚氏)考えだ。

市場環境が大きく変化しつつあるなか、ハイブリッド給湯機の市場での構成比率はまだまだ高まっていきそうだ。

[エコジョーズ]
ガス給湯高効率化のベース
業界をあげた取り組みが加速

ガス給湯器の高効率化のベースとなるのがエコジョーズだ。ハイブリッド給湯機の急成長が目立つが、まだまだ絶対数は少ないのが現実。やはりベースの部分をエコジョーズに置き換えていくかが高効率化の鍵となる。

潜熱回収型ガス給湯器(エコジョーズ)の出荷台数

(一社)日本ガス石油機器工業会によると、2025年度のエコジョーズの国内出荷は、「ガス瞬間湯沸器」が13万6000台(前年度比30.0%増)、「ガスふろがま」が70万5000台(同3.3%増)、「ガス温水給湯暖房機」が26万台(同4.3%増)だ。

全体的には、業界をあげて高効率化に取り組むなかでエコジョーズ化率は高まってはきたものの、分野ごとにばらつきがあるのも事実だ。例えば、高価格帯商品であるガス温水給湯暖房機におけるエコジョーズ化率は高まってはいるものの、比較的価格の安く賃貸住宅などに採用されるガス瞬間湯沸器はコストが優先される市場性もあり高効率化はなかなか進んでいない。

こうしたなかで給湯器各社はさまざまな戦略を進めている。新築需要の減退もありエコジョーズの出荷は新築の設置よりも既存住宅の取替えが多くを占める。非エコジョーズからエコジョーズへの買い替えを促すため、機能の向上や付加価値の提案が積極的に続けられている。

リンナイは付加価値戦略により他社との差別化を図る。一つはエアバブル戦略で、マイクロバブル、ウルトラファインバブルという二つの価値を訴求する。現在力を入れているのが、それぞれがどのような体験価値を持つかの改めての提案だ。マイクロバブルはウルトラファインバブルに比べて高額となることもあり、その導入はウルトラファインバブルに比べて低い。そのため、お風呂の価値提案のなかでそれぞれの魅力をしっかりと提案し販売へとつなげていく。

もう一つがアプリと連動するリモコンによる価値提案である。外出先からの機器の操作や利用確認にとどまらず、新たな機能を訴求する。その一つがレジリエンス性を高める気象情報連動機能。ウェザーニューズ社と連携し、警報・注意報が発令されると断水に備えた湯はりによる生活用水の確保を通知する。もう一つが製品寿命お知らせ機能。給湯器の急な故障は日常生活を大きく損なうため、ユーザーの大きな困りごとの一つだ。同機能は、独自のアルゴリズムで経年劣化を検知し、故障の可能性が高まるとリモコンから通知を行い、点検や買い替えを促す。ユーザーに買い替えに対する時間的な余裕を与えるとともに、高効率化や付加価値商品の提案にもつなげやすい。

ノーリツは今年11月にエコジョーズの新商品「GQ︲C47シリーズ」を発売予定。新制御「ハイブリッドバルブ」で出湯性能を向上、全温度域で冷水サンドイッチ現象を防止する。また、WXシリーズは給湯最小号数0・4号、最低作動流量2ℓ/minと、節水シャワーヘッドでも安定して設定温度のお湯を提供できる。耐食性外装プレシャスシルバーカラー鋼板の採用で、デザイン性と耐久性をアップさせたこともポイントだ。

パロマはウルトラファインバブル給湯器「ブライツグランド」でエコジョーズ化を加速

パロマは昨年9月にウルトラファインバブル給湯器「BRIGHTS GRAND(ブライツグランド)」シリーズを発売した。従来の「ブライツ」の機器本体の大きさはそのままに、落としにくい水垢や油汚れの付着を抑える効果が確認されているウルトラファインバブル発生装置を内蔵した。水まわりの家事負担の軽減を前面に打ち出したのがポイントだ。この商品が寄与し、追い焚き機能付き、ふろ給湯のシェアが高まりつつあり、引き続きウルトラファインバブルでエコジョーズ化を進めていきたい考えだ。

大きな課題の賃貸の高効率化

エコジョーズの出荷のなかでも特に伸び率が大きいのが「ガス瞬間湯沸器」=給湯専用給湯器の増加だ。ただ、出荷台数は「ガスふろがま」や「ガス温水給湯暖房機」に比べてまだまだ小さい。これは給湯専用給湯器は古い集合住宅に採用されているケースが多く、そのエコジョーズ化が進んでいないことの表れでもある。賃貸集合における給湯器の高効率化は大きな課題だ。

ノーリツは「給湯専用の需要はかなり伸びているが、その需要拡大に対してまだまだ取り組みが浅い」(市原氏)と販売強化に取り組む。その肝となるのが「賃貸集合給湯省エネ2026事業」の活用だ。賃貸集合住宅はオーナーが経営している住宅であり、給湯器の高効率化の提案先が持家とは異なる。オーナーや賃貸管理会社のメリットが提案できなければエコジョーズへの取り替えのモチベーションは上がらない。「成り行きではエコジョーズ化率は高まらない」(市原氏)と危機感を高める。

メリットの一つが補助金である。同社はハイブリッド給湯器の普及拡大に向けて補助金の申請サポートを行っているが、「賃貸集合給湯省エネ2026事業」の活用に向けてさらに手厚い「手続き代行サービス」を今年から始めた。施工前後の写真、売買契約書、申請者の証明書の3点を提携する行政書士事務所に提出すれば、すべて手続きを代行して申請を行ってくれる。できるだけ管理会社や販売請負事業者から申請の手間をなくし活用しやすい環境を整えるものだ。

賃貸集合住宅における大きな課題がドレン水の処理だ。エコジョーズやエコフィールは潜熱回収型であり、排熱を利用して水を温める段階で大量の水を発生する。集合住宅の場合、このドレン水をどのように排水するかが大きな問題となる。国は「中和されたドレン水であればベランダなどの雨水系統に流しても環境への影響がない」とガイドラインで示し、メーカーもドレンアップ方式や三本管方式などドレン水を浴室に流す工法を開発している。

「賃貸集合給湯省エネ2026事業」では、追い焚き機能「なし」の場合は共用廊下を横断するドレン排水ガイドの設置工事に、「あり」の場合は浴室へのドレン水排水工事に対して加算を設定している。ただ、こうした対応、対策が広く周知されているとはいい難く、自治体ごとに取り扱いが異なったり、工事が可能であることを知らずに高効率化を諦めているケースもあるという。

例えば、「給湯専用給湯器」の場合、追い焚き配管を使ったドレン排水処理ができないため、共用廊下を挟んだ側溝に排水を流すためのドレン水排水ガイドを設置する必要があるが、「賃貸集合給湯省エネ2026事業」の追い焚き機能なしの補助活用の半数近くはドレン排水ガイドを活用した申請であるという。とはいうものの、実際、こうしたドレン水排水の対策を手掛けたことがない事業者も多い。
ノーリツは「NORITZ EXPO 2026」において、パイプシャフトのモデルを置いてドレン水排水ガイドを通すために必要な加工寸法や、ドレン水排水ガイドを廊下に置いたときの段差などを実際に見ることができる展示を行っている。エコジョーズの排水処理について十分認知されていないがゆえに、採用が進まないケースがまだまだ多いことから、「実際に体験いただき、これなら提案できそうだと補助金申請に活用してもらいたい」(市原氏)というのが目的だ。

業界全体の取り組みもあり、ドレン水排水の対策についての認知も広がりだしている。「一部エリアで、意外と簡単にできると理解が深まり、補助金を活用した取り組み事例が増え始めた」(リンナイ・芦塚氏)との声もある。リンナイは、さらに周知を高める取り組みに力を入れている。

スマいる給湯PJ発足
高効率給湯を1.5倍に

先に、ガス石油の給湯機器、住宅、リフォーム、消費者の関連団体、さらに関連行政機関も参画した「ガス石油省エネ給湯機普及促進会議(通称:スマいる給湯プロジェクト)」が発足した。

家庭部門におけるCO2排出量削減に向けて給湯器の徹底的な省エネ化が不可欠と、ハイブリッド給湯器、エネファーム、エコジョーズ、エコフィールの普及を促進していく。

同会議では、高効率化の普及を妨げている要因として、認知度不足、オーナーテナント問題、ドレン水処理の判断の不統一、ドレン水排水工事のハードルという4つを上げ、ステークホルダーの横断的な取り組みを進める。パロマでも「普及の最大要因はドレン処理に関するもの。補助金活用によりドレンレール設置が一般的となれば普及は広がる」と、スマいる給湯プロジェクトを一緒に取り組んでいきたいとしている。

同会議では35年度における4製品の出荷比率75%と、約10年間で1.5倍に高めたい考えだ。

[エコキュート]
買い替え需要の更なる拡大に期待
新築需要は省エネ性が大きな武器に

(一社)日本冷凍空調工業会の自主統計によると、家庭用ヒートポンプ給湯機(エコキュート)の2025年度の国内出荷実績は、64万384台、前年比3.6%減であった。16年度の同4.1%増から7年連続の増加、22年度は同15.9%増の70万4404台と過去最高の出荷台数を記録した。23、24、25年度は前年比増減を繰り返しているが、60万台の推移をキープしている。

家庭用ヒートポンプ給湯器の出荷台数

エコキュートは省エネ性が高いこと、CO2発生量が少ないことが大きな特徴。特に近年は、カーボンニュートラル実現に向けた脱炭素施策が大きな追い風になって、その拡大が続いている。

新築住宅での採用については、やはりGX志向型住宅やGX ZEHを見据えた高性能住宅の採用が増えている。ただ、まだ市場全体のなかで絶対数が多いわけではない。一般的な新築住宅については、注文住宅に比べて分譲住宅市場が好調であるなか、イニシャルコストが安いガス給湯器との競争もある。

「中小工務店を含めZEHやGX ZEHの割合が高まることでエコキュートの採用も増えていくのではないか」(パナソニック HVAC & CC A2W&水ソリューション事業部 水ソリューションズビジネスユニット 電化マーケティング統括部 給湯企画推進部 営業企画課長・美馬秀夫氏)とみられる。

一方で、エコキュート需要は新築向けよりも買い替え中心になりつつある。新築需要の縮小もあるが、累計出荷1000万台超のボリュームは大きい。

買い替えサイクルは10~15年程度と言われる。現在の買い替え需要は2011年頃ということになるが、当時は、東日本大震災の影響で需要が減退した時期。出荷は16年に反転し、以降、増加傾向が続いてきたため、今後、これらの買い替え需要により市場は大きく拡大していきそうだ。

入浴提案を前面に生活価値を訴求

パナソニックの技術情報検索システム「P-SPEC」・「給湯機器買い替え提案システム」のイメージ

こうしたエコキュート市場の変化のなか、メーカーはさまざまな販売戦略を展開する。

パナソニックグループは26年4月に組織変更を行い、持株会社のパナソニック ホールディングスと6つの事業会社に再編、現在はパナソニック HVAC & CCがエコキュートを取り扱っている。同社は23年にエコキュートの生産体制を強化、20万台/年の生産力を確保し事業に注力、24年には累計出荷台数250万台を突破している。

先にエコキュート53機種のフルモデルチェンジを行い、今年6月から順次発売した。「ウルトラファインバブル」を16機種に搭載、そのうち4機種には「マイクロバブル」による「美泡湯eco」を搭載、毎日の家事負担、上質な入浴提案に力を入れた。特に「ウルトラファインバブル」をスタンダードとして位置づけたことが大きなポイントだ。

また、ヒートポンプユニットの圧縮機を高性能化することなどで年間給湯保温効率を向上、すべての新製品が補助金制度「給湯省エネ2026事業」の対象となる。さらに、電力会社の「出力制御」が社会課題となるなか、電力会社の新しい電気料金メニューの展開が広がりつつあるが、こうした多様な電気料金メニューにも対応できる。

買替え需要が下支え
新築は〝おひさま〟を突破口

エコキュートの市場全体が前年から減少したものの、パナソニック HVAC & CCは計画を上回る実績になったという。その拡大を牽引したのが全体の7割を占める買い替え需要だ。特にリフォーム店や水道店、設備店の販売が好調に推移、給湯の買い替え専門店が業績を伸ばしていることも貢献したようだ。さらに電化を推進したい電力会社、電力販社を重点パートナーと位置づけ共同で電化推進に取り組んできたことも販売増につながった。

戸建住宅の買い替え需要に応えるため、昨年末に技術情報検索システム「P︲SPEC」のなかに「給湯機器買い替え提案システム」を立ち上げた。既設の給湯器を選択するだけで、買い替えに最適なパナソニック最新エコキュートを示す買い替え提案システムで、エコキュート主要メーカー3社やガス給湯器といった熱源が異なる給湯器からの買い替えも検索できるのが大きな特長だ。加えて光熱費の試算や販売店などがユーザーにすぐに渡せる提案書を作成できる機能もあり、現場で手間をかけずに素早く提案を行うことができる。

一方、新築需要については、GX志向型住宅・GX ZEHといったさらなる省エネ化の流れのなかで採用を促していく。そのポイントの一つとなる商品が「おひさまエコキュート」だ。同社では、角型タイプ、薄型タイプ、寒冷地タイプを揃えている。

「おひさまエコキュート」は、通常のエコキュートよりも、太陽光発電の余剰電力を有効活用して主に昼間に沸き上げるのが特徴。エネルギー消費性能計算プログラム上で優位な数値となることから、GX志向型住宅などを手掛ける大手ハウスメーカーや大手ビルダーへの提案を進めている。

さらに今年秋には、「エコキュートを設置したお客様が、どのような快適な生活を送っているか、そうした声を拾い、共感を促していきたい」(給湯企画推進部 販促企画課長・渡邊栄二氏)として、エコキュートの中高級機種を対象としたキャンペーンを実施する予定。買い替えも含め、中高級機の普及率を高めたい考えだ。

給湯器の高効率化に向け
住宅産業界あげて取り組みを

先の(一社) 日本冷凍空調工業会の統計によると、今年度に入ってからの出荷は4月が14.0%増、5月が10.1%増と2桁の増加を続けるが、見通しは楽観視できない。中東情勢の影響も含め原材料高騰が続き、新築着工も決して良い状況ではない。

ただ、国全体のカーボンニュートラルの実現に向けた動きはさらに加速していくことは間違いなく、住宅の断熱化とともに一次エネルギー使用量の削減が強く求められる。家庭消費エネルギーに占める割合の高い給湯器を、いかにハイブリッド、エコジョーズ、エコキュートといった高効率給湯器へと置き換えていくか―。

給湯器機メーカーは言うまでもなく、ガスや電気といったエネルギー業界、流通、販売だけでなく、住宅事業者やデベロッパーも含めて住宅業界全体での取り組みが強く求められている。