旭化成ホームズ、住まいのノウハウでホテル開発を強化 インバウンド拡大を追い風に住宅大手の参入相次ぐ
インバウンド(訪日外国人)市場拡大の追い風を受けて、住宅関連企業がホテル開発事業を強化している。新築住宅市場が縮小する中、高収益を生む不動産アセットとして注目度が高まっている。
「多人数・中長期滞在」に特化
2025年5月29日、東京駅徒歩1分の立地に中長期滞在型のアパートメントホテル「RHUMB LINE Tokyo(ラムライントウキョウ)」が開業した。全30室の客室は32㎡~58㎡のゆとりのある設計で、最大1室あたり8名まで宿泊可能。宿泊価格は1室あたり8万円~(1泊2日2名利用の場合・税込み)。

また、ホスピタリティ向上の観点から、フロントには2人のスタッフを配置し接客対応を行う。
同事業の企画・運営を行うのはカソク(東京都新宿区、新井恵介代表取締役)、設計・施工を旭化成ホームズが担当した。カソクは2013年の創業以来、住まいに近い長期滞在型ホテルを展開する。
一方、旭化成ホームズはこれまで培ってきた「住生活のノウハウ」と「鉄骨造の施工技術」を結集しホテル開発を強化している。
住宅関連企業がホテル開発を強化する背景には、拡大を続けるインバウンド市場と、そのニーズの多様化がある。現在、訪日観光客の約35%が家族や親族を伴うグループ旅行であり、滞在日数も約半数が1週間以上の「中長期滞在」となっている。
しかし、従来のビジネスホテルやシティホテルは1〜2名利用が前提であり、3〜8名といった多人数が同じ部屋で暮らすように泊まれる施設が不足していた。
カソクと旭化成ホームズは、この「多人数・中長期滞在」の市場に着目し、欧米豪をはじめとするインバウンド層が「暮らしながら旅をする」ための最適な受け皿としてアパートメントホテルを展開する。
旭化成ホームズの強力なアドバンテージは、戸建・集合住宅(ヘーベルハウス、ヘーベルメゾン)で培ってきた「住生活のノウハウ」をホテルへ転換できる点にある。ラムライントウキョウの客室には本格的なキッチン、浴室、洗濯機、独立洗面台などを完備、一般的なホテルにはない「我が家のような快適性」を追求した。客室には随所に、外国人の体格に合わせたキッチンの高さの調整や、多様なデジタルデバイスを同時に充電できるコンセント配置、車椅子にも対応したユニバーサルデザインなど、住まいのプロの空間づくりノウハウを生かした。
また、自社の重量鉄骨システムラーメン構造「ヘーベルビルズ」を導入することで建設コストを抑制できるという強みも持つ。現在、建設業界は労働力不足や建築資材の価格高騰という深刻な課題に直面している。これに対しヘーベルビルズでは徹底した工業化による「システム設計」により、職人の熟練度を問わない施工の合理化と品質の均一化を実現。RC造と比較して建築コストを大幅に抑制しつつ工期を短縮。これにより、現在の高コスト環境下でも高い事業性を維持している。

ヘーベルビルズは、商業テナント、賃貸住宅、企業社屋など多様な用途で採用されているが、近年、顕著に伸びているのがホテルだ。今回のケースも、当初からホテル建設が目的ではなく、土地の有効活用を検討する中で収益性の観点からホテルが最適解として選択された。
さらに、30年間の初期保証や60年点検システムなど、住宅ビジネスで確立された長期メンテナンス体制をホテルにも適用することで、オーナーに対しても「維持管理がしやすく、長期的に安定した資産運用」という強い安心感を提供している。

万一の観光需要激減には賃貸住宅への転換が可能
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