業界No.1のリーディングカンパニーを目指す 正しい判断ができる情報を提供するプラットフォームへ
健美家 成瀬亮輔 代表取締役社長
LIFULLのグループ会社で、国内最大級の不動産投資と収益物件の情報サイト「健美家」を運営する健美家。
不動産市場が大きく変わりつつある中、着実に事業を拡大している。
2025年10月に同社社長に就任した成瀬氏に今後の展望などについて聞いた。
── 先に不動産投資専門ポータルサイトとして掲載物件数ナンバーワンになったと発表しました。成長のポイントは何ですか。
健美家は2020年にLIFULLがM&A、グループ会社となりました。LIFULLの「LIFULL HOME︐S不動産投資」(以下、不動産投資。現在は健美家が運営)はどちらかというと投資の初心者層がメイン、一方、健美家が運営する「健美家」はセミプロやサラリーマン投資家を中心とサイトの特色が違います。
当初、「不動産投資」と「健美家」は、まったく別の運用でしたから、不動産会社はそれぞれのサイトと契約し物件掲載を行う必要がありました。利便性を高めるため3年前に2つのサイトの統合を図り、一つの登録で「不動産投資」と「健美家」の両サイトに出るなど相互に補完し合うようにしました。さらに昨年4月には不動産・住宅情報のポータルサイト「LIFULL HOME︐S」との連動も開始しました。例えば、住宅所有者が住宅を売ろうと考えた時、売却相手は個人、不動産会社、投資家と出口が非常に多様化しています。また、賃貸住宅の入居者がなかなか決まらないといった場合、所有者は借りる方がいれば貸す、いなければ売ると両方に網を広げています。こうした環境の変化に合わせて、「LIFULL HOME︐S」と「健美家」のシナジーを高め、「LIFULL HOME︐S」に入力すると「不動産投資」や「健美家」にも物件が載るようになりました。

健美家
成瀬 亮輔 代表取締役社長
略歴 2009年にLIFULL(旧ネクスト)入社、2020年LIFULL HOME’S事業本部カスタマーソリューション部東海・九州ユニット長、2024年LIFULL HOME’S 事業本部セールスマーケティング部兼アカウントマネジメント部長兼LIFULL Leadership 取締役、健美家取締役を経て、2025年10月に現職
「健美家」の掲載物件数は、5年前の約4万5000件から3年前に約6万件になり、1年前には約7万5000件となりました。グループのなかで統合を続けてきたことが掲載物件数の増加につながっています。
また、掲載物件数だけではなく、掲載加盟店も安定して増え、ここ3年間は毎年10%程度の増加を続けています。物件数増加もあって反響が一定数出るサイトになってきたので紹介による加盟が増えています。また、関東が最も多いことに変わりはありませんが、郊外の加盟が増えているのが近年の傾向です。
── 不動産投資をめぐる環境が大きく変化するなか、投資家に何か変化はありますか。
「サラリーマン投資家」という言葉が一般的に使われるようになったのは、ここ10~20年のことだと思いますが、その年代の人たちが、資産を次の世代に残すことを考え始める段階に来ています。「相続」という言葉が注目されてきているのもそのためでしょう。
昔は利回りの高さを重視した投資も多く見られましたが、現在は金利環境の変化を背景に利回りも落ちつき、投資の考え方も変化してきています。短期的なインカムゲインだけでなく、中長期の出口戦略まで含めて判断する投資にシフトしており、保有を前提とするのか、売却を見据えるのかなど、複数の選択肢を踏まえて検討する動きが広がっています。それだけに投資家の目利き、慎重な見極めが重要な時代になっていると思います。
ただ、当社サービスにおける投資家の層が変わっているわけではありません。不動産投資が資産形成の一つとして世の中に認知され始めたのは、本当にここ数年のことです。国のNISA(少額投資非課税制度)や小口不動産投資も始まり、一般の方からすると投資のハードルが少し下がった印象があり、投資に興味がある人の総数は増えていると思います。ただ、ボリュームゾーンは40代、50代、30代の順で、その割合には大きな変化はありません。
上昇や物件価格の高騰などにより投資環境は激変していますが、一時的に不動産投資の意欲が削がれることはあっても、そこまで大きな影響はないとみています。資産価値がある物件への投資は安定した市場だと考えています。だからこそ投資家が安心して投資できるようなデータ、腰の重い人たちを後押しするようなデータを提供することが大事だと考えています。
グループシナジーの発揮はまだ途についたばかり
── 社長に就任して半年ほどが経ちましたが、これまで手掛けてきたこと、足元で進めていこうと考えていることは?
「健美家」は良くも悪くも不動産投資が好きな人の集まりで、投資家として知りたい情報、見たい情報を集めて発信してきたからこそ「投資家の気持ちが分かる」と支持されてきました。ただ、その取り組みを世の中に広く発信できていたとは言い切れません。ですから今期からメディアへの発信など世の中へのリーチを強めています。また、「健美家」と「LIFULL」は、思いは同じでも物事を考える、意思決定するプロセスが違い、文化の融合という面で課題がありました。今回、私だけではなく企画職や営業職も本社から出向しており、「健美家」にとって大きな転換点になると考えています。
一方、企業の成長という観点からは、グループシナジーの深化、他社との連携という二つの軸を考えています。
一つめは、グループのアセット、リソースを使って、どのように健美家を伸ばしていくのかという視点です。100%を理想とするならば、まだ20%くらいほどしかシナジーを生かしていないのではないでしょうか。今は単純に、グループでシステムやツールの活用を横展開するという初期の段階にあり、それについても完全に移行できたわけではありません。社員一人ひとりやるべきことがあり、繁忙期には自分の仕事で手一杯になるのも事実です。グループシナジーをしっかりと運用に乗せるのが次のフェーズだと思っています。まだ途についたばかりですが、逆に言えば、可能性は大きく広がっていると考えていいます。
そしてもう一つが、さまざまな方々と組んで事業を進めるということです。例えば、(公財)日本賃貸住宅管理協会や、(一社)全国住宅産業協会に加盟しています。また、不動産に関するコンバートシステムを作っている会社や、投資家を会員とするサイトの運営会社などと情報交換を行い、金融機関との関係も深めつつあります。不動産に関わるさまざまな業界の方と一緒に組んで何ができるか、それが結果として投資家や不動産会社のためになると考えています。
今回、掲載物件数でナンバーワンとなりましたが、あらゆる面で業界のナンバーワンを目指します。私たちは不動産投資業界をより良いものにしていきたい。そのためには発言力、影響力のあるリーディングカンパニーになる必要があると考えています。輝いている業界には色々な人が多く集まります。投資家のため、不動産会社のためにやるべきことに取り組んでいきたいと考えています。
過去データにAIを掛け合わせ
先を予測する情報を提供
── それではもう少し先を見据えてのテーマは何ですか。
AIの活用は大きなテーマです。投資家は過去から現在までの推移のデータを求めていますが、それは今後を推測したいからです。ただ、この「先を予測する」ことは不動産においては難易度が高い。実需のサイトを20年以上続けている「LIFULL HOME︐S」と、収益の専門サイトである「健美家」のデータにAIを掛け合わせ、過去を読み込んで先を予測することができれば、当社にとって競争優位性になり得ると考えています。
まずは、物件情報の正しさ、更新頻度の高さといった質の部分を追求し、量が増えても比較しやすいという環境づくりを進める。その上でAIを導入して先を読みやすくしていきたい。ただ、ほんの数%の違いが投資する・しないの判断につながりますから、システムの導入には慎重さが求められます。色々な業界の方と協力してシステム開発を進めていきたいと考えています。
一方で、「健美家」は長く「コラム」や「ニュース」を通じて情報を提供してきました。「コラム」の著者のファンも多く、「これがあるから健美家を見ている」という人も少なくありません。実体験を伝える文章の温度感、熱量、その言霊はAIでは代替できないものだと思います。これまでも著者を集めての謝恩会やセミナーなどを開催してきましたが、今後もオフラインの機会を大切にしていきたいと考えています。
── これからの健美家が目指すのは?
私たちの会社は、不動産投資に関わる人に価値ある情報を提供して、正しい判断ができるプラットフォームをつくる、その想いが一番強い。価値ある情報というのは物件数の量、コラム・ニュースの内容であり、そこにこだわってきました。正しい判断とは情報の精度や質などで、ここを今後、さらに強めていきたい。数%の違いが投資判断に影響を与えることもあるため、先のAIもそうですが、責任をもって情報発信をしていかなければなりません。情報の鮮度や更新頻度はもとより、判断するうえで新たに見なければいけない情報も出てくるでしょう。正しい判断ができる情報提供こそがプラットフォーマーがやるべきことであり、そこにこだわっていきたい。投資家と不動産会社の双方に価値あるプラットフォームを目指していきたいと考えています。
(聞き手:平澤和弘)
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