国産材の強度を高めたい 原木の特性踏まえ育林技術確立を
強度の高い木が求められる
先日出会った建築士は、地元産の木材を利用した木造物件を手掛ける際に、材料の受入れ幅を広げるために構造材の強度(ヤング係数)をE50に設定して設計を行ったと話してくれた。E50は機械等級区分製材ではもっとも低い等級になる。強度の高い木材を使いたいという話はよく聞くが、それとは真逆の発想で、これなら確かに材料の調達がしやすくなるだろう。
国産材の代表的な樹種であるスギは、全国各地に生育していて入手しやすい。ただし、一般的にはヒノキやカラマツに比べて強度が低くなるケースが多く、強度の高い材を確保しようとすると、調達難易度が高まる。仮に強度をE90に設定してスギ材を調達しようとすると、かなり間口が狭まり、仕分け段階でハネなければならないものが続出することになりかねない。
例外と言えるのは自県産材の強度の高さをセールスポイントにしている和歌山県の場合で、スギならE90以上の強度を持つものの出現率が7割を超えるという。これならある程度の強度が求められる案件でも対応力が高くなる。
だが、他の多くの産地はそうはいかない。特に温暖で木の成長が早く、年輪幅が広くなりがちな地域では、強度が高めに設定された場合には対応に苦慮することになる。木材の中心部から15年輪くらいまでは未成熟材といって強度が低くなる傾向があり、年輪幅が広いということは、それだけ未成熟材の占有率が高くならざるを得ないからだ。
原木の強度を製品づくりに活かす

ただし、もちろん個体差はあり、年輪幅が広くても強度が高くなる場合もある。そこで、あらかじめ強度の高い個体を見分けるために、丸太の段階で強度を測定しようという試みがある。製材してから測定するのでは、強度が低い場合には用途が制限されかねない。丸太の段階で強度が高いことがわかっていれば、その丸太からは高い強度が求められる材料を製材すればいいというわけだ。具体的には、横架材の梁桁への利用を想定して行われる。

私の記憶では、この取り組みを最初に始めたのは、高知県の嶺北地域のある木材業者で、20数年前のことであった。この業者は経営していた原木市場に丸太用の強度測定器を導入し、計測結果を丸太の小口に印字して有利販売を図ろうとした。丸太段階の強度が製材した場合にどの程度になるのかについても実験を重ね、おおむね1割程度強度が低下するということも確かめた。つまり、丸太でE90なら製材した平角の強度はE80程度が見込めることになる。
この業者は自社で木造建築も手掛けており、自社物件にはこのデータを活用して強度が確かめられたスギの平角を使用した。ただ、自社以外ではこのデータは期待したほどは活用されず、高い強度を示した丸太もそれによって高値で売れるということにはならなかった。
当時、スギ平角は一部の地域を除くとほとんど市場性がなく、丸太を購入した製材業者も、その丸太が高い強度を持っていても、平角よりも高値で販売することが期待できる造作材や羽目板を製材することが多かった。目合いが良く、きれいな材面の製材品が取れそうな丸太になると、その傾向は一層顕著になり、構造材の平角を取ることよりも無節の板材を取るための製材が行われることがほとんどだった。
高強度の木の出現率を高めたい
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