「新築至上主義」から「ストック活用」の時代へ 建築の「使いこなし」ができる建材が市場をリード
有識者に聞く 特に注目した建材は? 深掘りインタビュー
──「プレミアム住宅建材50」のうち、特に注目する商品を5つ挙げてください。
50商品のラインアップを見てまず感じたのは、断熱材や窓の存在感が格段に増したということです。これは決して偶然ではありません。振り返れば、2025年4月に住宅の省エネ基準適合が全面義務化されました。これに加え、GX志向型住宅や、住宅性能表示制度における断熱等性能等級6・7といった、かつては「とんでもない高水準」だと思われていた基準が、今や本格的に普及し始めています。
我々の研究室でも実証実験を行っていますが、やはり断熱等級4と断熱等級6では、住まいの温熱快適性が劇的に違います。かつては「そんなに変わらないよ」と言う人もいましたが、実際に体験すればその差は歴然です。さらに、先進的窓リノベ事業など、窓の断熱改修に対する補助金制度が継続していることも後押しし、断熱材や高性能サッシへの注目度はかつてないほど高まっています。
ライフサイクルカーボンと建材の「見える化」
── 環境性能への意識が、単なる「省エネ」からさらに一歩進んでいる印象を受けます。
その通りです。私が今、非常に注目しているキーワードが「ライフサイクルカーボン」です。これまでは、住んでいる間のエネルギー消費「オペレーショナルカーボン」を減らすことに注力してきました。しかし今は、建材の製造・輸送・施工、そして解体・リサイクルに至るまで、建物の一生を通じて排出されるCO2を「見える化」し、削減しようという動きが加速しています。
象徴的なのが、2026年1月に国土交通省の「社会資本整備審議会建築分科会」で承認された「今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方(第四次報告書)」です。建築物の資材製造から施工、解体に至るまでの排出量(エンボディドカーボン)は、我が国の総排出量の約1割を占めており、その削減が急務となっています。そこで国は、ライフサイクル思考に基づく設計変革を促すため、ライフサイクルカーボン評価を制度化し、2028年度の制度開始を目指しています。
2028年度から、延べ面積5000㎡以上の事務所の新築・増改築などを対象に、着工前にLCCO2評価結果を国へ届け出ることが建築主に対して義務付けられる方針です。評価が著しく不十分な場合は国による勧告の対象となる可能性があります。さらに、制度開始後、運用状況やデータの蓄積状況を分析し、制度を見直し、2033年度頃までに届出義務の対象建築物の拡大などが検討される予定です。
併せて、建築物のLCCO2評価にあたっては、建築物で使用される建材・設備について、それぞれ製品カテゴリー別のCO2等排出量原単位が必要となるため、建材・設備のCO2等排出量原単位の整備の方向性なども示しています。建材のカーボンフットプリント(CFP)や環境製品宣言(EPD)の取得を、業界全体で積極的に進めていく方針が示されています。
そうしたライフサイクルカーボン削減の観点から、2026年度のプレミアム住宅建材の断熱材の中から選んだのは、デコスの木質繊維系セルロースファイバー断熱材「デコスファイバー」です。カーボンフットプリントを取得し、実質排出量ゼロカーボンを実現しているほか、また、エコファクトリー認定やEPDを取得するなど、環境面で様々な「日本初」の取り組みを行っています。単に断熱性能だけでなく、製造工程での環境負荷が低い製品として高く評価しました。
ワークスタジオ、モリリン、ホクシンのリサイクルボード「PANECO」も面白い事例です。廃棄衣料を建材としてアップサイクルしたもので、製造時の負荷、建設初期段階で発生するアップフロントカーボンを抑えつつ、長期の炭素固定を実現しています。サーキュラーエコノミーの文脈で、こうした「ストックを資源に変える」建材の重要性は増していくでしょう。
以前、映画『ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~』を見ました。2013年のバングラディッシュでの縫製工場崩落事故「ラナプラザの悲劇」を機に、劣悪な労働環境、環境汚染の事実を明らかにし、様々な犠牲の上に成り立つファストファッションの問題を浮き彫りにした映画です。増え続ける廃棄衣料の問題も世界的に深刻化しています。PANECOは、量産体制が整ったことで衣料廃棄物7200tをアップサイクルできるという点でも今後大きな貢献が期待できます。
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