New   2026.3.12

空き家900万戸時代の新戦略 外国人材の住まいが拓く地方再生モデル

 

2024年に総務省が発表した「住宅土地統計調査」によると、日本の空き家の数は約900万戸にのぼる。
人口減少下で増え続ける空き家をどう活用していくかが大きな課題となる今、そのひとつのアンサーとして、日本に働きに来る外国人材の住居として提供する取り組みが徐々に広がりを見せている。

買取再販のノウハウを生かし群馬から全国へ社宅サービスを展開

空き家活用で社会課題を解決する地域共創スタートアップのクールコネクト(群馬県伊勢崎市、神戸翔太 代表取締役)は、企業向け外国人社宅サービスを昨年よりスタートしている。クールコネクトも農業事業から始まった会社であり、技能実習生など40名程の外国人材を雇用しているという。こうしたなか、「地方では外国人に対してのアレルギーがあり、住居を確保することが難しいために人材が定着しない。周りの外国人を雇用している会社からも同様の声が上がっていた」という神戸社長自身の経験から、外国人材に住居を提供するサービスの立ち上げを決めた。

クールコネクトが提供した社宅で生活する外国人材

以前から買取再販事業を手掛けており、そのノウハウを生かして、遊休不動産を外国人の寮として活用するモデルを構築した。稼働率を高めたうえで投資家に販売することで、空き家問題の解決と外国人労働者の生活支援を両立させる狙いだ。投資家の視点では、仲介会社を介さず、仕入れから販売までを一社で完結できるため、低価格かつ利回りのよい物件を取得できるメリットがある。一方で、同社が購入した空き家を直接的に外国人材に貸し出すケースもあるという。

また、技能実習生を雇用する企業には「適切な住居の確保」といった支援が義務付けられているが、同社のサービスを利用することで、企業側は家具などを用意する負担がなく外国人材を受け入れることができる。

同社が提供する社宅サービスでは、住居の提供からライフラインの契約までワンストップでサポートし、外国人材が安心して暮らせる環境を整える。具体的には、自転車の貸し出しや電気、水道の契約、携帯電話のSIM契約、行政の申請の付き添い、引っ越し代行サポートなど、外国人材が日本で生活するうえで必要なものは一挙に揃えられる。

「群馬県は空き家が多く、アパートなら4000万~5000万円、戸建住宅であれば1000万円程度で売られているものが多い。このような地域は群馬県以外にも多く、全国各地で水平展開できるビジネスモデル」(神戸社長)だとして、この事業を全国的に展開していきたい考えだ。

自治体と連携した空き家活用
茨城県境町での新たな挑戦

一方で、特定技能人材の教育、紹介を行っているONODERA USER RUN(東京都千代田区、加藤順 代表取締役社長CEO、以下OUR)は、2025年1月に茨城県境町と連携し、町有の空き家の有効活用と自社が紹介する特定技能人材による地方創生を目指した取り組みを開始した。

OURが外国人材に貸し出している住宅。使用できる家具や食器類はそのまま活用している

同社はこれまでも、賃貸アパートを借り上げ特定技能人材へ貸与する事業を行っていたが、地方では、賃貸アパートがなく、戸建て住宅を借りることも少なくなかった。こうした中、空き家を外国人材の住居として活用することで、地方が抱えている人材不足や空き家といった課題に寄与できるのではないかと考えたのがきっかけだ。


この記事はプレミアム会員限定記事です

プレミアム会員になると続きをお読みいただけます。
料金・詳細はこちら

新規会員登録

無料会員登録後にプレミアム会員へのアップグレードが可能になります

アカウントをお持ちの方

ご登録いただいた文字列と異なったパスワードが連続で入力された場合、一定時間ログインやご登録の操作ができなくなります。時間をおいて再度お試しください。