本格的に社会インフラ化 〝スマートホーム〟を超えてAIと暮らす時代へ

 

大手テック企業などが参加し策定を進めるスマートホームの国際標準規格Matter(マター)が普及し始め、繋ぎたいものが当たり前に繋がる『スマートホーム2.0』への過渡期にある。なぜ世界はスマートホームを求めるのか。日本の住宅業界にどのような変革をもたらすのか。スマートホームのプロ集団、X‒HEMISTRYのCEO、新貝文将氏に、スマートホーム最前線を10回の連載で伝えてもらう。

早いもので、この連載もいよいよ最終回を迎えることとなった。この1年あまり、エネルギー、防犯、物流、見守り、子育てなど、さまざまな切り口からスマートホームの可能性を探ってきたが、振り返れば、まさにAIの進化とともに暮らしのテクノロジーが大きく加速した一年だったと実感している。

いまや「AIのない生活」は想像しがたい時代になりつつある。そしてこの変化は、住宅という〝空間〟においても例外ではない。私自身、スマートホームというテーマに本格的に関わり始めてから、もう10年以上になる。2014年からCES(世界最大級のテック見本市)を中心に、スマートホームのトレンドを定点観測してきたが、特に印象的だったのが2019年の年末に発表された「Connected Home over IP」プロジェクト。後に「Matter」と呼ばれる世界標準の出発点だった。当時、日本でスマートホーム事業に取り組んでいた立場として、「これぞ業界が、そしてユーザーがずっと求めていた仕組みだ!」と心から興奮したのを覚えている。そこからMatterを自主的に勉強し、気がつけばMatterを策定するConnectivity Standards Allianceの日本支部の代表という立場になっていた。

あくまで一人のサービス提供者として、一人のユーザーとして、スマートホームの〝使いづらさ〟を感じていた中で、「これは変えてくれる」と心から思ったからこそ、勝手に発信を続けていた。

Matterは今もなお進化を続けている。Apple、Google、Amazon、Samsungなどに所属する世界中の天才たちが企業の壁を超えてワンチームとなり、よりよいスマートホームの未来を作ろうと情熱をかけ、時には真剣に声を荒らげて議論しながら取り組んでいる。その現場に身を置けていることが、心から楽しく、誇らしい。

一方、日本でもようやくスマートホーム市場の立ち上がりを実感できるようになってきた。住宅業界でも「そろそろ本腰を入れるべきでは」という声を聞く機会が増えている。今後さらに暮らしの課題を解決する存在として、スマートホームは本格的に社会インフラ化していくだろう。


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