New   2026.1.16

(一社)板硝子協会 板ガラスリサイクルビジョンを制定 30年に11万tのポストカレットリサイクル目指す

 

2050年カーボンニュートラル実現に向けた新たな定量目標を発表した。
委員会での活動などを通して「CO2削減」と「ポストカレットリサイクル」を推し進める。

2022年に公表した「板ガラス産業の2050年カーボンニュートラル実現に向けたビジョン」をアップデートし、「ビジョン2025」を策定。新たな定量目標として、「30年度のCO2排出量を13年度比38%削減(目標排出量:72.6万t-CO2)」、「2050年度ポストカレットリサイクル量30万t/年」の2つを掲げた。

同協会は24年4月よりサステナビリティ特別委員会(委員長:(一社)板硝子協会 森重樹 会長)を設置。傘下に、ホールライフカーボン部会(主査:芝浦工業大学 秋元孝之 教授)、板ガラスリサイクル・再資源化部会(主査:東京大学 清家剛 教授)を置き、板ガラス製品のリサイクル制度(建築、自動車用)確立と、「窓」によるホールライフカーボン削減効果の算出、普及に向けた活動を行っている。
2つの目標のうち、ポストカレットのリサイクルについては「板ガラスリサイクルビジョン」を制定した。カレットのリサイクルにより、ガラス製造時に炭酸塩原料から発生するCO2が削減できるほか、炭酸塩原料、珪砂など天然原料の採掘、精製、輸送に関わるCO2排出も削減できる。これまで工場内の加工工程などで発生する「プレカレット」の活用は進んできたが、製品使用後に発生する「ポストカレット」は現状ほとんどリサイクルが行われていなかった。同協会は、特に建築用分野を、ポストカレットを回収するメインの分野として位置づけ、推定70~80万t/年の資源を見込んでいる。

左から、島村琢哉副会長(AGC 取締役兼会長)、森重樹会長(日本板硝子執行役会長)、清家剛教授、川瀬将昭副会長(セントラル硝子プロダクツ代表取締役社長)

ガラスは製造時にわずかでも異物が混入すると、異物が除去されるまで製品として使えないガラスを製造、破棄することになり、数千万円規模の損害となる。建築分野では、窓ガラスへの単板ガラスの採用が主流だった時代には、ガラス小売業者がポストカレットの回収を行い、リサイクルする体制ができていた。しかし、市場に構造が複雑な合わせガラスや複層ガラスが増えたことで、分離の難しい合わせガラスや複層ガラスは産業廃棄物として扱われ、リサイクルの体制も断絶してしまっていた。こうした課題に対し、ガラスの回収体制の構築や複層ガラス・合わせガラスからスペーサーや中間膜を効率的に分離する技術の開発などを進める。

まずは、現状ほぼゼロに近い数字であるポストカレットリサイクル量を、2030年に年間11万tにすることを目指す。

今回の「板ガラスリサイクルビジョン」の制定について、清家教授は「今回のビジョンを実現するという目標に対しては、板ガラスメーカーはまだよちよち歩きの赤ん坊のようなもの。ビジョンが多くの方の目に触れ、応援していただける方が増えると、元気が出ると思っている。近い将来一人で歩けるようになった板ガラスリサイクルの姿を見守れることを待ち望んでいる」とコメントした。

CO2排出削減に向けた新燃焼技術の開発を進める

「CO2削減」の目標については、新燃料技術の開発も進める。板ガラス製造工程のCO2排出は、ガラス溶解工程での排出が47%を占める。そのため、ガラス溶解時のエネルギー源を重油や天然ガスといった化石燃料から水素やアンモニアに転換することが大幅なCO2排出削減につながるとし、各社で研究を進めている。

板ガラスの溶融窯は、約35年の寿命があるため、2035年ごろの技術開発完了を目指す方針だ。