New   2026.1.13

ひとり親世帯向け居住支援・キャリア形成ファンド   500世帯の自立目標、新たな支援スキームが始動

 

みずほ信託銀行、みずほ不動産投資顧問、シングルズキッズ、(一社)日本シングルマザー支援協会らが、ひとり親世帯の住宅とキャリア形成を同時にサポートする画期的なスキーム「ひとり親家庭居住支援ファンド」を25年10月に立ち上げた。
ビジネスと社会貢献を両立させ、ひとり親とその子どもたちの未来と可能性を広げる。

ひとり親世帯に対し住宅支援とキャリア支援を同時に行う画期的なファンドが生まれた。きっかけは約3年前、当時みずほ信託銀行社長を務めていた梅田圭現会長が、セミナーでひとり親居住支援の実践例に感銘を受けたことに始まる。日本には現在約134万世帯のひとり親家庭(父子、母子世帯合算)がおり、彼らの貧困率はOECD加盟国36カ国でワースト5。中でも母子家庭の平均年収は272万円で、父子家庭の518万円と比べ、低い水準にある。

日本の社会課題の1つであるひとり親世帯への支援に、同銀行が培ってきた不動産投資および金融のノウハウを活かすという着想からプロジェクトが始動した。不動産コンサルティング部 辻一彰部長は、「これまで社内でも社会課題と不動産投資をかけ合わせた取り組みができないかと考えてきたが、なかなか具体的なテーマに出会えなかった。梅田の気づきをきっかけにひとり親世帯に焦点を当て、調査、研究を開始した」と話す。

しかし、企画の段階で壁に直面した。ファンド設立に向けて情報を集めた結果、従来のひとり親世帯支援の多くが年収200万円以下の層に対する福祉的な内容だった。同様の「与える」だけの支援では、投資家からの資金を運用するファンドの性質上、持続が難しく、効果も生まれにくい。投資家の善意に依存せず、経済合理性と社会貢献を両立させるための方法を検討し、支援対象を年収200万〜400万円程度の非正規雇用層と設定。安心保障とキャリアアップを後押しするソフト面を組み合わせる形とした。「当初はハード面の居住支援しか考慮していなかったが、それでは入居者の方々の状況は変わらないと気付いた。意欲がありながらも環境的要因で正規雇用へのステップアップが阻まれている層にターゲットを絞り、ハードとソフトのパッケージにより社会的インパクトを生み出すというアイディアに至った」(辻部長)。

ひとり親家庭居住支援ファンドを担当するみずほ信託銀行不動産コンサルティング部 開発推進チーム 公共班 井上麻理子部長代理(左)、不動産コンサルティング部 辻一彰部長(中央)、不動産コンサルティング部不動産コンサルティング第一チーム 原佑輔部長代理(右)

シングルズキッズの山中真奈代表

(一社)日本シングルマザー支援協会の江成道子代表理事

リターンとして居住者に年収アップを求めるなどの条件はなく、2年間でどれだけ変化したか、前向きになれたかなどをアンケートなどで総合評価し、「社会インパクト評価」として投資者に示す予定だ。ファンドの利回りは非公開だが、通常の不動産投資と比較して低く設定しているという。不動産コンサルティング部 原佑輔氏は「社会にどれだけ貢献できるかという『インパクト投資』という考えがようやく日本で広がり始めたタイミング。このファンドが一つのきっかけとなり、資産の一部を社会に還元することが日本でも当たり前になっていってほしい」と話す。この取り組みに共感し、居住者の伴走支援を担う支援団体シングルズキッズ、(一社)日本シングルマザー支援協会の2者との連携が決まり、さらに出資企業も多数集まったことで、ファンド設立が実現した。

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