2026.1.8

パナソニック ホームズ 地域商品 「近江の家」 モデルハウスを公開

発酵パントリーや屋根付き自転車置き場など滋賀特有の提案

 

パナソニック ホームズが地域の特性や多様なライフスタイルに合わせた住宅を推進する「日本の家」プロジェクトの第1弾として、滋賀県草津市に平屋の「近江の家」街かどモデルハウスを完成させた。
モデルハウスを拠点に県内で高まる平屋ニーズに応える。

26年度までに全国15カ所で展開予定

「日本の家」プロジェクトは、地域ごとの気候風土、暮らしの文化を盛り込んだ地域商品を提案するもので、2024年の藤井孝社長の就任とともに立ち上がった。創業者・松下幸之助氏による「日本の自然と風土に適した、人々に喜ばれる住まいを提供したい」という言葉に立ち返り、各エリア社員が地域の暮らしや文化に深く寄り添った住まいを提案している。

このプロジェクト推進の背景には、住宅メーカーを取り巻く建築価格の高騰、購入層の価値観変化、購買行動の変化といった環境変化がある。いかにコストを抑えて良質な住宅を届けるか、現在のメインターゲットであり、「モノよりコト」、「タイパ」に重きを置く20代後半から40代のデジタルネイティブ世代をいかに捉えるか、従来の「見せるためだけの展示場」からどう脱却するか。こうした課題への回答として「エリア商品戦略」を打ち出した。これまでは本社主導の全国共通モデルを展開していたが、本社が用意する平屋、1・5階、2階のベース商品に各地域の提案を組み合わせるシステムとした。また、このプロジェクトでは「街かどモデルハウス」を展開し、一定期間モデルハウスとして活用した後に建売住宅として販売する。

「日本の家」プロジェクト
展開予定のエリア

現在、「街かどモデルハウス」は滋賀、大分で完成しており、25年度内に宮城、沖縄、26年度内に茨城、埼玉、新潟、富山、長野、岐阜、奈良、岡山、愛媛、福岡(2カ所)で展開を予定する。同社の奥田弘之商品・デザイン企画室長は「戸建住宅市場が厳しさを増していく中で、従来型のビジネスモデルに加えて、今回の街かどモデル、エリア商品を展開していく。より我々の理念に沿った各地域での暮らしに寄り添う提案をし、地域密着を深めながら一番に頼られる真の暮らしのパートナーを目指す」とあらためて狙いを語った。

滋賀県内で平屋ニーズ拡大
地域商品で競争力アップへ

「近江の家」街かどモデルハウスの外観

滋賀県の地域商品「近江の家」は平屋で、9月にモデルハウスを完成させ、販売を開始した。平屋にした理由は、滋賀県内の持家市場において全体的な着工件数が減少する中でも「平屋」の需要が右肩上がりで成長しているため。持家販売全体の数が22年度の4234件から24年度の3736件へと減少しているのに対し、そのうちの平屋の数は600件から735件へと伸びている。パナソニック ホームズ滋賀の武田悟代表取締役社長は「昨年度は平屋を14棟受注したが、棟数で他社に後れを取っている。伸びている平屋市場でいち早く戦略を取りたい」と説明した。

滋賀県草津市の大型分譲地「南草津プリムタウン」内に建築された延床面積約32.87坪(約108㎡)の街かどモデルハウスは、「豊かな自然を満喫し、家族とアクティブに、健康的に暮らす平屋の住まい」をコンセプトに掲げ、地域ならではの様々な工夫を盛り込んだ。

モデルハウス内の「スキップスタディ」と、その下の空間を生かした「かくれがライブラリー」
玄関に採用した「うみのこパネル」。琵琶湖のさざ波を木で表現した 

フルオプションで約5200万円

玄関横に設置したサイクルポート(ビワイチポート)

「ビワイチ(琵琶湖一周サイクリング)」に象徴されるように自転車利用が非常に盛んな地域性を考慮し、玄関横にサイクルポート(ビワイチポート)を設け、シューズインクローゼット内には電動アシスト自転車のバッテリーをスマートに充電できる専用コンセントを設置した。玄関ホールには、琵琶湖のさざ波をイメージしたウッドパネルを配置。名称は、滋賀県の小学5年生が体験する湖上学習船「うみのこ」に由来しており、滋賀県民なら誰もが持つ原体験を住まいに取り入れることで、地域への愛着と温かな出迎えを演出している。

また、健康意識が高く、鮒ずしに代表される伝統的な「発酵文化」が根付く文化に合わせ、発酵食品や保存食を適切に保管できる「発酵パントリー」、パナソニック ホームズ独自の全館空調システム「エアロハス」による快適空間を提案する。滋賀特有の「びわこ虫(ユスリカ)」対策として、室内で効率よく洗濯物を干せる「家事楽ドライピット」をキッチンの隣に配置するなど、地域特有の悩みにも応えている。

滋賀県民は読書家が多く、県立図書館の個人貸出冊数は全国でも上位というデータをもとに、リビングを見渡せる中2階のようなスキップフロアにワークスペースを設置し、共働き世帯の在宅勤務や読書スペースとして対応。その下は低天井空間を活用し、子供の読書や遊び場になる「かくれがライブラリー」として活用できるようにした。

こうした「近江の家」で提案するオプションは、平屋でも2階建てでも対応可能。オプションをフルに採用すると1棟あたり5200万円程度となるが、ミレニアル世代が検討しやすい3500万円前後からの平屋提案まで幅広く対応する。パナソニック ホームズ滋賀では26年度に年間100棟の新築販売を計画するが、その3割程度を「近江の家」のコンセプト導入の住宅にしたい考えだ。