New   2025.12.16

返済期間の超長期化が広がる リスク回避に変動型から固定型への切り替えも

2025年の重大NEWS

 

2024年の「異次元の金融緩和」の解除から上昇局面を迎えた住宅ローン金利。
住宅価格高騰などもあり、25年は返済期間の長期化が進み、固定型を選ぶ人が増え始めるなど、住宅ローンをめぐり大きな動きが広がった。


12月1日、日銀の植田和男総裁が18~19日に開催する金融政策決定会合で利上げの是非を判断したいと、1月以来の利上げについて語った。24年3月、日銀は「異次元の金融緩和」を解除し政策金利を0~0.1%に、8月には0.25%に追加利上げを行った。今年1月の決定会合では同金利を0.5%に引き上げることを決めたが、以降、6会合連続で金利を据え置いてきた。

「金利のある世界」が戻るなか、住宅ローン金利も上昇局面に入った。大手5行は4月に金利変動型ローンの基準金利を0.25%前後、また、12月に金利固定型ローンの基準金利を0.09~0.26%引き上げた。
こうしたなか住宅ローンの返済期間が長期化、その選択肢も固定金利タイプを選ぶ人が増えてくるなど、大きな変化が起き始めている。

【フラット35】の申請戸数

住宅ローンの返済期間が長期化
定年後も返済しなければ買えない?

住宅ローンをめぐる2025年の動き

住宅価格高騰、地価上昇、そして住宅ローン金利のアップと、住宅取得環境は悪化の一途をたどっている。こうしたなかで起こっているのが、住宅ローン返済期間の長期化だ。(独)住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査(2025年4月調査)」によると、「20年超~35年以内」が60.9%と前回の24年10月調査から6.2ポイント減となる一方で、「35年超」の合計は同4.6ポイント増25.5%と4分の1を占めた。特に「40年超~50年以内」は年々倍増しており、今回の調査で7.1%に達した。住宅取得価格が上昇するなか、毎月の負担を軽減したい住宅需要者の姿が浮かび上がる。

25年は、民間金融機関が相次いで最長50年の住宅ローンの取り扱いを開始した年となった。1月にauじぶん銀行が、4にイオン銀行が、7月にPayPay銀行が、9月には楽天銀行が取り扱いを開始している。「物件価格が高騰する一方で賃金がなかなか上がらないなか、要望の声が非常に多かった」(PayPay銀行)とニーズは強く、特に20歳代の3人に2人は返済期間50年を選んでいるという。

また、(独)住宅金融支援機構の【フラット50】の申請数も急拡大している。同ローンは、21年に1079件、22年に888件、23年に662件と減少傾向が続いていたが、24年は1985件へと約3倍に増加した。特に20~30歳代の利用が全体の8割弱を占めている。

住宅ローン返済期間の長期化に警鐘を鳴らす声もある。仮に35歳で40年ローンを組むと75歳まで返済が続くことになる。「70歳を超えると年金暮らしになる人が多いが、毎月のローン返済額は減らない。定年後も10年、20年と返済が続く」((一社)移住・住みかえ支援機構・大垣尚司代表理事)というものだ。


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