New   2025.12.16

省エネ基準の義務化、4号特例縮小がスタート 新築の質誘導の環境整備は一つの到達点

2025年の重大NEWS

 

2025年4月、改正建築物省エネ法、改正建築基準法が全面施行された。
また、5月には改正マンション再生円滑化法が公布、10月には改正住宅セーフティネット法が施行された。
時代や社会環境の変化に対応する法改正が相次ぎ、住宅行政が大きく転換する1年となった。


25年4月、改正建築物省エネ法、改正建築基準法が全面施行され、省エネ基準への適合義務化、また、4号特例の対象縮小がスタートした。

省エネ基準(断熱等級4)への適合義務化は、脱炭素社会の実現、居住者の健康性・快適性の向上、良質な住宅ストックの形成などを目的とした重要な政策の一つだ。建築物の省エネ性能の底上げ・標準化が進み、将来的な基準水準への段階的な引き上げも進めやすくなる。2030年までにZEH水準の断熱級5まで引き上げられる予定となっている。

一方、4号特例の対象縮小は、住宅の高性能化に伴い、樹脂複層窓など、開口部が重くなり、また太陽光発電パネルなども載るようになり、建物の重量が増えていることに対応しての措置だ。4号特例では、木造住宅の小規模建築物(4号建築物)の建築確認において、建築士が設計を行う場合には、構造関連規定などについては審査が省略されていた。法改正により新たに規定された「新2号建築物」(木造2階建て、200㎡超の木造平屋建てなど)では、確認申請の際に新たに基礎伏図、各階床伏図、小屋伏図、軸組図などの構造関係規定の図書の提出が必要となる。

国土交通省の宿本尚吾住宅局長は、「もしも2000年に施行された『住宅の品質確保の促進等に関する法律』が制定されておらず、建築確認の民間開放も行われていなかったら、省エネ基準の適合義務化と4号特例の対象縮小に踏み切れなかったかもしれない。品確法やその他の法制度の内容を考えると、新築の質誘導の環境整備については、一つの到達点に達したものと考えてもよいかもしれない」と話す。

一方で、省エネ基準の適合義務化と4号特例の縮小は、業界全体でみると、審査体制に大きな負荷がかかり、省エネ適判、構造審査など確認申請の業務が追い付かず、着工がずれ込んでいくことなどが懸念されていた。ふたを開けてみれば、3月は、4月からの法改正が適用される前に着工を前倒す駆け込み需要が発生。その結果、着工戸数が前年同月比39.1%増の8万9432戸と大幅な増加をみせた。しかし、4月は前年同月比26.6%減の5万6188戸と反転、急減となり、駆け込み需要の反動が如実に表れた。3月比では42.0%もの減少となった。その後も審査業務の長期化などが影響して、新築着工戸数の前年同月比割れ、大幅減が続いた。10月は、主に分譲マンションの伸びが影響し、7万1871戸と前年同期比3.2%増で7カ月ぶりの増加に転じたが、戸建て住宅に限れば、審査業務の長期化の影響はしばらく続きそうだ。

マンション管理・再生の円滑化を図る法改正も

住宅行政をめぐる2025年の動き

その他、25年は、時代や社会環境の変化に対応する法改正が相次いだ、5月には改正マンション再生円滑化法が公布された。居住者と建物の「2つの老い」が深刻化するマンションについて、新築から再生までのライフサイクル全体を見通して、管理・再生の円滑化などを図る。具体的には、新築時から適切な管理や修繕が行われるよう、分譲事業者が管理計画を作成し、管理組合に引き継ぐ仕組み(分譲事業者と管理組合で共同変更)を導入。また、集会の決議の円滑化を図るため、従来は「全区分所有者の過半数(絶対多数)」が必要だったところを、一定の事項(修繕等)については「集会出席者の多数決」でよいとする。また、所在が分からない区分所有者がいる場合は、そのものを集会決議の母数から除外できる制度を創設。さらに、従来の「建て替え決議」だけでなく、敷地売却や一棟リノベーションなど、複数の再生手法を可能とする制度なども整備する。加えて、外壁剥落等の危険な状態にあるマンションに対して、地方自治体が、報告徴収、助言指導・勧告、あっせんなどを行えるようにする。施行は内容により段階的で、主な部分は26年4月に施行される。

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