インフラとしてのスマートホームとは?「再配達」問題を解決 AIによる高度化も
大手テック企業などが参加し策定を進めるスマートホームの国際標準規格Matter(マター)が普及し始め、繋ぎたいものが当たり前に繋がる『スマートホーム2.0』への過渡期にある。
なぜ世界はスマートホームを求めるのか。日本の住宅業界にどのような変革をもたらすのか。
スマートホームのプロ集団、X‐HEMISTRYのCEO、新貝文将氏に、スマートホーム最前線を10回の連載で伝えてもらう。
日本でも年々オンラインショッピングの需要が高まり、それに伴い宅配便の取り扱い件数も増加の一途をたどっている。特に新型コロナ以降は非対面での荷物受け取りが増え、EC市場の拡大と相まって「物流2024年問題(働き方改革関連法によるドライバーの時間制限)」がクローズアップされている。
こうした中、深刻化しているのが「再配達」の問題だ。宅配便の再配達問題は顕在化しており、時間・人手・燃料といった社会的コストの負担が大きい。ドライバーの負担軽減とカーボンニュートラル実現の観点からも、再配達率の低下は喫緊の課題である。
その解決策の一つとして期待されているのが、スマートホーム機器の活用である。中でも注目すべきは、スマートビデオドアベル、スマートカメラ、スマートロックといったデバイスが連携し、荷物の受け取りを遠隔から可能にする仕組みである。

たとえば、スマートビデオドアベルはスマホで応答することを前提として作られており、アメリカをはじめとして海外では急速に普及が進んでいる。人・動物・車両を判別できるAIを搭載しているものが増えているが「置き配」がわかるAIも人気を博しており、カメラが玄関前に置かれた荷物を自動認識して記録をしつつスマートフォンに通知してくれる。さらに、荷物が取り除かれたときにも記録と通知をしてくれる優れものだ。また、宅配業者がスマートビデオドアベルのボタンを押せば、外出先でもスマホから映像と音声で応答ができるので、遠隔から「荷物を玄関に置いてください」と依頼することも、「今からドアを開けるので玄関内に入れておいてください」と指示することもできる。
アメリカではスマートガレージドアも普及が進んでいるため、不在時でも荷物の受け取りのために一時的に車庫を開け、荷物を安全に置いてもらうといった運用も行われている。こちらも、荷物が置かれたことをカメラが認識し、スマホに通知され、荷物を確認した後、自動でスマートロックを施錠することでセキュリティも確保できる。
先進事例と日本での可能性
アメリカではすでにAmazonが「Amazon Key」というサービスを提供しており、スマートロックやスマートガレージを活用した「不在宅配」をサービスとして実現している。ドライバーは一時的な認証を得て玄関や車庫を開錠し、荷物を置いた後にドアをロック。すべての操作はアプリでリアルタイムに可視化されており、利用者も安心して不在時の配達を許可できる仕組みだ。
まだ限定的ではあるが、日本でも集合住宅を中心にAmazon Keyの導入が始まっており、スマートホーム機器の普及とともに徐々に市民権を得ていく可能性がある。
他にも例えば、スマートホームが普及すると宅内に設置されたスマート機器からの情報収集によって在不在の自動判定ができるようになるため、荷物の配達がある当日に限り「オプトイン型」(サービス提供者が顧客に情報提供やサービス利用を提案する際に、顧客が事前に「同意」することを求める方式)で宅配業者に情報を共有することで、より効率的な配達が可能になるかもしれない。
AIが宅配事業者と自動連携
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