ジェクトワン 空き家の価値を見える化するAI査定サービス
ジェクトワンは生成AIを活用し、空き家の価値を簡単に見える化するサービスを開発した。
これまでにも空き家活用事業を行ってきた同社の持つノウハウを生かして、空き家市場の活発化を後押しする。
空き家を活用するうえで、課題となるのが「資産価値の評価」だ。通常の不動産であれば、周辺の取引データをもとに相場を把握できるが、空き家は流通していないケースが多く、比較対象となるベンチマークが存在しない。空き家の価値が分からないため、売るべきか、持ち続けるべきかを悩む所有者も少なくない。
ジェクトワンが2026年1月にリリースを予定している「空き家のコタエ」は、価値の評価が難しい〝空き家〟という資産の評価額をAI技術によって即時に査定できるサービスだ。WEB上で住所・建物の構造・延べ面積など基本的な情報を入力すると、売却する場合の推定価格、解体する場合の除却費用、貸家にした場合の想定賃料(収益性、改修費用)の3つのシミュレーションを確認できる。それぞれの費用を可視化することで、所有者が空き家をどう扱うべきかを考えるための指針を示す。
同社は、2016年から、空き家所有者の負担ゼロで空き家活用を提案する「アキサポ」という事業を継続してきた。これは、建物の特徴や立地などの条件を踏まえて、シェアハウスや店舗、宿泊施設などに活用し、収益の一部を同社が受け取ることで改修費用などを賄う仕組みだ。「売らずに活用したい」所有者のニーズとマッチし実績を増やす一方で、「空き家の価値の調査には時間も労力もかかる。依頼件数が増えるなかで、時間のかかる空き家の価値の算定をデジタルで行えないか」(大河幹男 代表取締役)と考え、「空き家のコタエ」の開発に乗り出した。

また、元々は「アキサポ」を通じた空き家活用を重点事業として展開していた同社だが、2年ほど前からは買取再販にも注力している。「東京では、空き家を手放さずに活用したいというニーズが高かったが、全国的に見ると、より深刻な〝売りたくても売れない〟という悩みを持っている方が多かった」(大河代表)。特に地方では空き家を取り扱っている不動産事業者が少なく、遠い場所まで内見へ行って、手間をかけて契約資料をつくっても不動産事業者に入る手数料は少ないことから取引が滞りやすい。この状況を打開するため、同社は自社で空き家を買い取り、全国の投資家へ直接販売する仕組みを構築。相談件数は年間数千件にのぼるまでに拡大している。こうした買取再販の依頼増加も「空き家のコタエ」を開発する後押しになった。
「空き家のコタエ」のサービス需要について、大河代表は「かなり大きい」とみる。例えば、23年4月には、相続によって取得した土地の所有権を国に引き渡せる「相続土地国庫帰属制度」が開始した。制度を利用して国に所有権を引き渡すには、土地を更地にして、隣地所有者などが立ち会い土地の境界を正式に確定させる確定測量を行い、20万円の負担が必要になるなどハードルが高いが、開始直後から、問い合わせが殺到したという。こうしたことから「高く売りたいというよりも、リフォーム費用をかけてまで空き家を活用しようと思えない人が、処分にも相当の費用が掛かるため二の足を踏んでいる」(大河代表)状況が伺える。
現場を見てきたプロだからできる精度の高い査定サービス
空き家の価値査定は簡単なものではない。通常の不動産は過去の取引データが豊富にあるため価格の相場感を掴むことができるが、現状、空き家の市場流通量は少ない。明確な基準が存在しないため、実際の取引データを積み上げていく以外に方法がないのだ。「本来不動産は1円以上の価値が付くものだが、実際には費用をかけてリフォームしないと流通できない、所有者からするとマイナスになる物件が一定数ある。そのため空き家マーケットは非常に独特で、他の不動産マーケットと異なる」(井上雅友 執行役員 テクノロジー戦略部担当役員)。
ジェクトワンは、「アキサポ」での活用実績と「買取再販」での売買実績という、他社にはないデータの蓄積がある。これにより、「どの価格帯なら市場で流通できるか」「どんな条件であれば買い手がつくか」といった実績に基づいた精度の高い査定が可能となる。さらに、AIが査定した物件については、同社社員による現場査定も行い、都度アップデートしていく。そのため、「空き家のコタエ」の査定精度は、査定件数に比例して向上していく。
出口の裾野を広げて空き家市場の活性化を図る
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