建物の「健康寿命」とは

 

「住まいのリフォームコンクール」表彰式を取材した。松村秀一 審査委員長(神戸芸術工科大学学長)の講演テーマは「建物の健康寿命を伸ばすリフォーム」。建物は人間が意図的に壊さなければ物理的にかなり長い期間持つ。今後、ストックが増える中で、建物をいかに健康な状態で保っていくかが重要になるという内容だった。

川島宏一郎氏が設計した第42回「住まいのリフォームコンクール」国土交通大臣賞「漆の里焼きサワラの家」

建物にとっての「健康」とはどのような状態なのか。松村氏は「不健康」な建物の例として、現在の軍艦島を例に挙げた。長崎港から船で18㎞の距離に浮かぶ端島(はしま)、通称軍艦島は、明治から昭和期にかけて炭鉱によって栄え、日本初の鉄筋コンクリート高層住宅が建てられた場所である。閉山に伴い、1970年代からは無人島となっており、現在はユネスコ世界遺産に登録されている。島には築100年以上の建築物が多く残っているが、人が住んでいないため徐々に老朽化が進んでいる。松村氏は「建物として持ってはいるが、健康とはいえない。ここまで極端な例ではないにせよ、日本の中にもこういう建物が溢れてくるのでは」と話した。


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