DAIKEN、木造アパート向け遮音床構造の提案を開始
将来的には非住宅への展開も視野に
木造アパート向けに新たな遮音床構造「MUTECT(ミューテクト)」の提案を開始した。
従来から課題とされてきた上下階の騒音問題に対応し、木造住宅でもRC造に近い遮音性能を実現することを狙う。
新設住宅着工戸数が減少するなか、建設コストや工期面で有利な木造アパートの供給が増加している。一方で、木造アパートは床衝撃音が下階に伝わりやすく、入居者間トラブルなどに課題があった。こうした課題に対して、同社の防音建材を組み合わせることでRCマンションに近い床衝撃音遮断性能を実現した、遮音床構造「MUTECT」の提案を開始する。
MUTECTは、「SYSTEM-A」と「SYSTEM-B」の2タイプで展開。SYSTEM-Aは、直張り防音床材「イエリアオトユカ45」の下地に「遮音マットS18」を組み合わせることで軽量床衝撃音LL-50、重量床衝撃音LH-50(インパクトボール)、SYSTEM-Bは、同じく「イエリアオトユカ45」に「遮音マットS09」、「防振ゴム天井M」を組み合わせ、軽量床衝撃音LL-45、重量床衝撃音LH-50(インパクトボール)の性能が(一財)建材試験センターにて得られた。なお、軽量床衝撃音(LL値)とは食器を落としたときやスリッパで歩くときに発生する軽くてかたい音で、重量床衝撃音(LH値)は子どもが飛び跳ねた時などに発生する重くて鈍い音のことである。これらは、数字が小さいほど遮音性能が高い。必要に応じて、より簡単に施工したい場合はSYSTEM-A、より高い遮音性能を確保したい場合はSYSTEM-Bを選択できる。
MUTECTの大きな特徴は、複層的な遮音対策を一括して提案できる点にある。住宅の騒音には、空気を介して伝わる音と振動による音の2種類があるが、防音建材を組み合わせたことで様々な角度から騒音にアプローチできる。具体的には、「イエリアオトユカ45」が表面のクッション性、「遮音マットS09/S18」が材料の重さと制振、「防振ゴム天井M」が振動の伝達を防ぐ防振の役割を担う。
同社はこれまでも遮音マットなど建築音響製品を単体で木造アパート向けに供給してきたが、近年は大手アパート事業者を中心に、RC造に匹敵する遮音性能を求める動きが強まっている。こうした市場動向に対応するため、複数の自社製品を組み合わせた床構造「MUTECT」として体系化し、提案を開始した。
また、新築戸建住宅市場が振るわないなか、これまでアパートに携わってこなかった地場の戸建ビルダーなどが木造アパート市場に参入するケースも多く、防音についての問い合わせも増えているという。こうしたアパート設計に慣れていない住宅事業者であっても簡単に防音設計を取り入れられる点が訴求ポイントとなる。
加えて、ほとんどの木造アパートで求められる1時間準耐火基準を満足するために必要な構造材を使用しているため、そのまま採用できる。
木造アパート市場では、コストやデザイン性に加え、入居者満足度を左右する音環境の改善が競争力の鍵を握る。今回のMUTECTは、木造でありながら高い遮音性能を確保できる手段として、賃貸住宅市場の差別化要素となる可能性がある。
今後は現場の施工性などのフィードバックを通じて、さらなるバージョンアップも検討されている。
また、現在は木造アパート向けの提案だが、将来的には公共商業施設など大型非住宅物件への導入も目指している。「行政主導で公共建築物の木質化が進められるなか、音に関する困りごとの相談が増えている」(音響製品部 サウンドセンター 松浦龍吾 氏)として、提案の幅を広げていく予定だ。
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