深刻化する野生鳥獣被害 林業にも暮らしにも大脅威

 

シカの食害で植林が台無しに

林業経営にとって大きな脅威であり、山間地の暮らしをも脅かしていること。それは野生鳥獣よる被害である。

利用可能な大きさに育ったスギやヒノキの人工林を伐採し、跡地に苗木を植える。林業経営を持続させるための重要な行為だ。ところが、植えられた苗木がシカやネズミ、ウサギによって食い荒らされて枯れてしまったり、頂部をかじられたためにまともな形に育たなくなったりということが全国の植林地で頻発している。

シカに樹皮を食べられて枯れてしまったヒノキの幼木

特に多いのがシカによる被害だ(本州以西はニホンジカ、北海道はエゾシカ)。林野庁の調査によると、野生鳥獣による森林被害面積は2023年度に全国で約5200haに及び、その6割に当たる3200haがシカによる被害だ。

シカが生息していないか、まばらにしかいない地域を除けば、現在、植林作業を行う際には、シカが入らないように植林地を柵で囲ったり、1本1本の苗木を筒状のカバーで覆ったりといった対策が必須になっている。

その手間とコストは半端ではないが、シカが生息している地域で何も対策を講じなければ、植えた苗木が全滅してしまう恐れがあるので、やらないわけにはいかない。もっとも、対策を講じたとしても柵を破られたりして被害を受けるケースもあり、現在、植林地でのシカの食害は林業経営上の大問題になっている。

ネズミやウサギの被害も増加

シカよりも被害面積は少ないが、ネズミやウサギの被害も深刻だ。


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