特別企画 専門紙誌が見た大阪・関西万博
ハウジング・トリビューン、観光経済新聞、東京交通新聞、塗料報知、農村ニュースの専門5紙誌は、5社連携による企画を展開している。
2025年度共同企画の第1回目は、特別企画として「専門紙誌が見た大阪・関西万博」を掲載する。
「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げる「大阪・関西万博」は、「未来社会の実験場」がコンセプト。人類共通の課題解決に向けた展示・取組みが会場内はもとより周辺でも展開されている。
専門5紙誌の記者は、この万博をどのように見たのか―。
「未来社会の実験場」にみる建築の未来
ハウジング・トリビューン

「未来社会の実験場」のコンセプトを掲げた大阪・関西万博。その数々の展示の受け皿となるパビリオンなどの建築も万博の大きな見どころの一つだ。
その万博のシンボルが「大屋根(リング)」である。万博会場メインプロデューサーで建築家の藤本壮介氏によるデザイン、建築面積(水平投影面積)は約6万㎡、リングの幅30m、高さ12m(外側は20m)、内径約615mの世界最大級の木造建築物で、全長は2km。寺社仏閣などで使用される日本の伝統構法「貫構法」を採用したことが特長で、「貫」と呼ばれる横架材で柱どうしを連結させている。
柱材の5割は四国産のヒノキ、残り5割がフィンランド産の欧州アカマツ、梁材は福島県産のスギで、これらを集成材に加工して使用する。また、「スカイウォーク」の床の役割も兼ねる屋根は愛媛県産のヒノキを原材料とするCLTだ。
今、夢洲の会場跡地活用の「マスタープラン」を策定中で、「リング」の北東側約200mを原型に近い形で活用、また、南側の約600mの当面保存の案が示されている。一方、保存部以外の部分について、解体後の木材再利用の取組みも始まっている。日本国際博覧会協会が譲渡先の公募を始めており、来年2月以降の引き渡しを計画している。世界最大級の木造建築物は、その技術を示すだけでなく、環境対策、循環型社会の形成などの姿勢を世界にアピールするもの。閉幕後の保存・活用までも含めた万博であってほしい。
そうした視点からも注目されるのが、日建設計が設計した「日本館」。「入口と出口」、「表と裏」、「内と外」といった協会を設けない円形状のデザインにより同館のテーマ「循環」を表現する。
280組、560枚のCLTを内壁材、外壁材として利用し、全体で、熊本県、岡山県、高知県産のスギ木材によるCLT約1600㎡を使用する。このCLTは、閉幕後に日本各地でリユースされることを前提とし、解体のしやすさに配慮している。
このほかにも注目される建築物は多い。「大阪ヘルスケアパビリオン」は、複数の局面で構成する透明膜屋根を採用。膜材に高機能フッ素樹脂をフィルム状にした透明な「ETFE膜」を使用し、1万もの鋼管を丸いジョイント2500個でつなぎ、複雑なトラス構造の屋根を形成する。「Dialogue Theater-いのちのあかし-」では、奈良県と京都府から3つの廃校舎を移築、3つのパビリオン建築として再生した。いずれも昭和前半に建築された木造校舎で、丁寧に分解し一つひとつの部材をチェック、さらに一つひとつの部材を組み立てて新たな形に作り上げた。
「
未来社会」の建築を見て歩くのも、万博の楽しみ方の一つであろう。
この記事はプレミアム会員限定記事です
プレミアム会員になると続きをお読みいただけます。
料金・詳細はこちら
新規会員登録
無料会員登録後にプレミアム会員へのアップグレードが可能になります
アカウントをお持ちの方
ご登録いただいた文字列と異なったパスワードが連続で入力された場合、一定時間ログインやご登録の操作ができなくなります。時間をおいて再度お試しください。
住まいの最新ニュース
リンク先は各社のサイトです。内容・URLは掲載時のものであり、変更されている場合があります。
イベント
内容・URLは掲載時のものであり、変更されている場合があります。
-
一般社団法人工務店フォーラム 災害に強い家づくりセミナー 第3回「いつまでもケガをしづらい家づくり」
2025.06.18
-
【住宅業界関係者向け】フォーリンラブ・ハジメの釣り教室
2025.06.09
-
アキレス・シネジック 熱中症・水害・台風から身を守る防災術
2025.06.09