New   2025.6.17

今、和室を考える

これからの日本の住宅が日本らしくあるために

 

近年、急速に減少している「和室」を、日本の生活文化、建築文化として今後ずっと継承していく、あるいは発展させるために、どのような取り組みが必要なのか。和室は日本人にとってどのような意味、価値を持つものなのか。和室の減少によりどのようなことが危惧されるのか。これからの日本の住宅が日本らしくあるために、より魅力のある住宅として世代を超えて愛され、住み継がれていくために、和室や和について振り返るべき時期が来ているのではないか。そこで大手ハウスメーカーの商品開発・設計・営業部門、研究所などの担当者に集まっていただき、それぞれの生産、供給している住宅における「和室」と「和」の現状と、これからについて意見交換をする座談会を開催した。司会は、「現代・和室の会」の幹事で、神戸芸術工科大学の松村秀一学長に務めていただいた。

司 会 神戸芸術工科大学 学長 松村 秀一 氏
話し手 住友林業 住宅事業本部 設計統括部兼技術商品開発部マネージャー 満田 憲司 氏
住宅事業本部 設計統括部リーダー 矢作 真一郎 氏(※リモート参加)
積水化学工業 住環境研究所 暮らし住まい研究室 室長 佐藤 しのぶ 氏
東京セキスイハイム営業統括部 営業企画部 ハイムデザインオフィスグループ 加崎 悟志 氏
大和ハウス工業 ハウジングソリューション本部技術統括部設計推進部ZIZAIデザイン室 室長 櫻井 恵三 氏
ハウジングソリューション本部技術統括部設計推進部ZIZAIデザイン室 チーフデザイナー 吉川 慶 氏
ミサワホーム 商品・技術開発本部 商品開発部 部長 石井 かおる 氏
商品・技術開発本部 商品開発部 担当部長 稲村 勝章 氏


松村 まず「現代・和室の会」のことについて説明させてください。

神戸芸術工科大学
松村 秀一 氏

今から約10年前、ちょうどその頃、和食がユネスコ文化遺産に登録され、盛り上がった時期だったということもあり、建築計画・居住学などが専門の、千葉大学名誉教授の服部岑生先生、放送大学名誉教授の本間博文先生のお二人が、「このままだと和室はなくなるのではないか。これはまずいことではないか。和食のように和室もユネスコ文化無形文化遺産にならないだろうか」ということを話し合われたことがありました。

その後、「日本でこれから生きた形で和室を残していくのにはどうすればいいかを考えよう」と、日本建築学会の中に「日本建築和室の世界遺産的価値特別調査委員会」を立ち上げて、40人ほどのさまざまな研究者の方にお集まりいただいて、7年ほど活動を行いました。

その成果は、和室に関する歴史的な背景や、現在の状況、和室に関連する建材などについて関係者に話を聞いて2冊の本にまとめています。(※注釈参照)

とはいえ、この特別調査委員会は、学術界の人だけの集まりなので、やはり住宅産業の方や、あるいは和室に関わる生産者の方などにも参加していただきながら、啓発活動の拠点となるような場も必要だろうと、神奈川大学の内田青蔵特任教授に会長になっていただいて、服部先生や私など、日本建築学会で長く和室に関する活動を行ってきたメンバーが幹事となり、2024年3月に立ち上げたのが「現代・和室の会」(https://gen-washi.jp/)です。


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