三井ホーム 野島新社長が語る事業戦略「木造建築ナンバーワンの会社に」

住宅は高額注文と規格の2本柱で強化

 

4月に就任した三井ホームの野島秀敏新社長が、今後の事業方針について語った。
住宅事業の強化を図るとともに、中大規模木造建築も伸ばし、「木造建築ナンバーワンの会社を目指す」と宣言した。

木材をふんだんに利用した三井ホーム本社内で今後の事業展開について語る野島秀敏社長

野島社長は、1988年に三井不動産に入社し、東京・築地の聖路加レジデンスなどの開発事業に長く従事してきた。同社でシニアの暮らしに関する幅広い相談に対応する「ケアデザイン」事業の立ち上げに関わった後、三井不動産レジデンシャルでの企画経理部長を経て、同社で15年から東京オリンピック・パラリンピック選手村建設の事業部長としてプロジェクトを推進。20年の三井ホーム入社後は、翌21年に就任した池田社長とともに社内改革を進めてきた。

大きな目標は、池田前社長時代から取り組む「注文住宅に特化した会社」から「住宅事業+木造建築会社」への変換だ。

「注文住宅市場は縮小を続けており、注文住宅事業を中心としてきた我々のような会社は非常に厳しい状況に追い込まれてきている。一方、環境問題、脱炭素の流れの中で、建物を木でつくるニーズが高まっており、大きなチャンスが巡ってきた。24年に新宿から新木場に本社を移し、グループ会社も含めた機能を集約させた。三井ホームグループ間の連携意識を高めることに加え、新木場という木に関わる会社が集まる場所に飛び込んだことに意味がある。この場所で様々な会社と一緒に木造建築の価値を高め、その中で『木造建築といえば三井ホーム』と言ってもらえる状況をつくっていきたい。木造建築でナンバーワンの会社を目指す」。

近年は、注文住宅以外の事業が順調に伸びている。賃貸住宅事業では、同社が21年に国内で初めて手がけた木造マンションが市場に浸透し、現在まで累計78棟の受注を得ている。施設系事業ではインターナショナルスクール「Rugby School Japan」食堂棟の設計施工、阿蘇くまもと空港の木造屋根組工事など大型案件が相次ぐ。加えて、これまで手薄だったロードサイド店舗においても顧客ニーズとコストをすり合わせ、三井アウトレットパーク木更津、オートバックス佐賀大和店など全国で実績を重ねている。それでも、現段階の営業利益ベースでは、まだ注文住宅事業が会社に対しての貢献度が高いという。今後は、各事業を成長させ利益の割合を変化させていく考えだ。

「ようやく中大規模建築でしっかり利益が取れるようになってきた。現在、注文住宅、セレクト住宅、賃貸住宅、オーナーサポート・リフォーム、施設系、木材建材、海外の7事業を展開しているが、これらすべてを成長させ、27年までに営業利益ベースでそれぞれ同等の利益が上げられる体制をつくっていきたい」。


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