Z世代の賃貸居住者 3人に1人が「寒い」と不満
(一財)住宅改良開発公社が調査
Z世代の賃貸居住者のうち、約3人の1人が「冬寒い」という不満を抱いていることが、(一財)住宅改良開発公社が実施した調査で明らかになった。賃貸住宅の断熱性能の低さが露呈したと言っていいだろう。
この調査は、(一財)住宅改良開発公社が、千葉大学大学院国際学術研究院の鈴木雅之教授に委託し実施したもの。全国41市の賃貸住宅に入居しているZ世代(1997年~2012年生まれ)1500人に、住生活の実態、意識、要望などを聞いた。
回答者のうち、51.6%が賃貸マンション(RC造)に、48.4%が賃貸アパート(木造、軽量鉄骨造)に入居している。
音問題よりも冬の寒さが問題
賃貸住宅への不満点を聞いた結果では、冬寒いが32.9%で最も多い。約3人に1人が冬の寒さを感じていることになる。
次いで「隣の音が聞こえる」(24.5%)、「収納が狭い」(24.0%)、「料理がしにくい」(23.7%)、「家賃が高い」(22.3%)と続く。
賃貸住宅の不安の代表格とも言える音問題よりも、「冬寒い」という回答の方が多い。この点について、(一財)住宅改良開発公社の住まい.まち研究所の松本眞理所長は、「実家の住宅性能が高くなったことで、賃貸住宅の寒さをより実感する入居者が増えているのではないか。その意味では、戸建住宅や分譲マンションなどと比較して、賃貸住宅の住宅性能がいまだに改善されていないことを象徴した結果だとも言える」と指摘する。
ちなみに、RC造の賃貸マンションの入居者では30.2%、木造や軽量鉄骨造の賃貸アパートでは35.8%が「冬寒い」と回答しており、いずれも最も多い不満点である。
ここにきてZEH化を図った賃貸住宅なども増えてきているが、戸建住宅と比較すると、その割合は少ない。それだけに、今後、Z世代の支持を得るためには、最新の戸建住宅並みに断熱性能を備えていることを訴求する必要がありそうだ。
現代の学生は堅実!?
料理のしにくさの不満も
不満点の上位に「料理のしにくさ」が入っている点も特筆すべき点だろう。「家賃が高い」よりも回答者の割合が多くなっている。
不満に思っていることを、有職(フルタイム)、有職(パートタイム)、学生に分けて見ていくと、学生では「料理がしにくい」が32.6%で、「冬寒い」の32.4%よりも多くなっている。
賃貸住宅に求める設備では、「風呂.トイレ別」が63.7%で最も多く、「独立した洗面台」(53.5%)、「モニタ付インターホン」(53.3%)、「オートロック」(46.3%)と続く。また、「2口以上コンロ」が43.9%で、4割以上が求めている。
賃貸住宅での生活の様子を聞いた結果では、「料理を毎日する」という回答が34.5%という結果になっている。「週に2~3回する」も合わせると、62.1%に達している。
この結果から、Z世代、とくに学生の賃貸入居者が頻繁に自炊をしていることが分かる。
物価高なども影響しているのか、予想以上に堅実な生活をしているとも言えそうだ。
Z世代もいつかは持家を
戸建の潜在的な人気は高い
所有している家電については、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジは1割程度が所有していないことが分かった。また、掃除機、テレビは4人に1人が持っていないという結果になっており、かつての賃貸生活像とは少し様子が変わってきているようだ。
調査では、Z世代の今後の住まいと暮らしに関する考え方についても聞いている。その結果によると、「賃貸は仮の住まいでいつかは住宅を所有したい」と回答したZ世代(「かなり当てはまる」+「ある程度当てはまる」)は、47.5%であった。
今後希望する住まいとしては、「戸建て」が37.5%で最も多く、希望する住まいの面積は「30㎡~60㎡未満」が34.4%で最多となっている。やはり戸建住宅に人気は根強いものの、広さはそれほど欲していないようだ。
寒さを感じながらも、自炊をしながら落ち着いた暮らしを営み、「いつかはコンパクトな戸建」という淡い想いを抱きながら日々を過ごす―。今回の調査結果から、そういったZ世代の暮らしを垣間見ることができそうだ。
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