ひとりの住まい ふたりの住まい
動き出す単身・小世帯向け戸建住宅市場
日本の一世帯あたりの構成人数は徐々に減っており、今や最も割合の多い世帯構成は「単身」である。
加えて、単身および小世帯(夫婦のみ、片親と子、単身+親、単身+ペットなど)でも賃貸や分譲マンションではなく、戸建住宅を選ぶケースが増加しており、彼らをターゲットにした新たな戸建商品や提案が次々と出てきている。
住宅産業のメインターゲットは、もはやファミリー世帯ではない。
各社の事例を挙げ、単身・小世帯向け戸建市場の可能性を探る。

ファミリー層の減少と家族形態の多様化進む
少子高齢化が進む中で、ファミリー層はもう多数派ではなくなっている。2020年の国勢調査によれば、「単身世帯」が38%と最も多く、次いでファミリー層にあたる「夫婦と子の世帯」が25.2%、「夫婦のみの世帯」が20.1%、「高齢者(65歳以上)単身世帯」が13.2%、「ひとり親世帯」が9.0%と続く。国立社会保障・人口問題研究所が2024年に発表した「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」によれば、「単身世帯」は50年に44.3%へと約半数にまで増加する見込みだ。さらに未婚で近親者のいない高齢単独世帯も急増するとみられている。
「夫婦と子の世帯」は、団塊の世代(昭和22~24年生まれ)が30歳代前半であった1980年には、一般世帯総数の42.1%を占める主要な類型であったが、そこから2割へと割合が急激に低下した。「夫婦のみの世帯」は30年前と変わらずほぼ横ばいの全体の20%程度で今後もそのまま推移すると予測されている。「ひとり親と子世帯」は、現在まで一貫して増加を続けており、1980年には205万世帯だったが、2020年には503万世帯へとほぼ倍増している。
こうした世帯の形の変化は、戸建住宅市場にどう影響を与えているのか。大和ハウス工業住宅事業本部 マーケティング統括部分譲住宅推進グループ石井順一グループ長は顧客層について「地方ではまだファミリー層が大半だが、都市部を中心に単身、同性カップルなど多様な家族形態の方々に注文、分譲問わず購入していただいている。具体的な数字は出していないが、近年のファミリー層以外の需要の増加は肌で感じている」と話す。
注文住宅に限ったデータではあるが、(一社)住宅生産団体連合会が同団体会員企業や中小企業を対象に2846件の有効回答から調査した「2023年度戸建注文住宅の顧客実態調査」では、親と子が53.1%と多数派だが、夫婦のみが31.3%、二世帯が8.8%、単身3.4%と、単身および2人世帯の新築戸建購入者が一定数いることが伺える。
新築より低価格物件の多い中古市場では、さらに顕著に影響が出ているようだ。空き家買取再販の国内トップ企業であるカチタスの事業戦略本部長 森川晶氏によれば「当社の顧客は昔から単身やひとり親世帯が多く、平屋を含めた狭小住宅のニーズが一定量ある」という。同社の2024年10月以降の成約データでは、「夫婦と子供」世帯が38%、「夫婦のみ」が22%、「ひとり親と子供」が16%、「単身」が13%、「その他」が10%。その他を除いた2人以下の世帯を合わせると51%と、半数を超えている。
こうした変化を捉え、単身や2人世帯に特化した規格住宅や提案が出始めている。その事例を見ていきたい。
増え続ける単身世帯 戸建求めるニーズに対応
2020年時点で単身世帯は日本全体の38%と最も多く、50年には4割を超す見込みだ。
単身世帯向けの戸建住宅はどれほどニーズがあるのか。
戸建住宅商品として成立するのか。
将来を見越して、単身者向けの住宅新商品を開発する動きが活発化している。
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