スタートラインの700号/輝き再びのネクストステージへ
スタートラインの700号
700号の記念号である。700という数字をどう見るかの論議は別にして、創刊からほぼ40年間の歳月を要した。今年は戦後80年、小誌としては住宅産業の急成長期、バブル崩壊後の冬の時代、さらにはリーマンショック等々、100号、300号、500号―と節目の号それぞれで住宅産業の今とこれからを見つめ、報じてきたつもりだ。そして前回の600号はコロナウイルスのパンデミックという未曽有の災禍のなかでの発行となった。降りかかる未知のコロナ禍のなかで、世界中がおののき、正・偽の判断を迷わせた。外出自粛、休業要請、3密回避―と、今では懐しささえ覚える言葉、施策が大手を振るっていた。当然ながら産業、経済への打撃も大きく、休業・廃業・倒産の報も続々。世界中が鎖国状態となり、グローバル経済のもろさも露呈した。
その一方で、巣ごもり化が叫けばれ、家の大事さが唱えられ、リモートワークでの在宅勤務が大きなうねりとなり、住まいのかたち、あり方にも注目が集まった。小誌としてはこの前代未聞ともいうべき厄災のなか、メディアとして住宅産業界がウイズ・コロナ、そしてアフター・コロナでの住産業像をどう描き、実現していくのかの証人として目をこらした。
そして号をさらに重ねて今、700号。まだ5年ほどしか経っていないが、国内外の社会構造、経済・産業構造は大きく変わった。政治情勢も様変わりだ。時代の転換点を思い知る。世界ではロシアのウクライナ侵攻、イスラエル・パレスチナ(ガザ地区)紛争、米国での第2次トランプ政権誕生、そして国内では安倍元首相の暗殺、少数与党の薄氷の上の石破内閣の誕生、揺れる為替変動、不確実な安全保障―等々、トピックを数え上げていくとキリがない。地球温暖化に伴う気候変動、集中豪雨など自然災害の多発、特殊犯罪の増加も。カケ声はかかるが一歩前への手・足が出ない少子化、高齢化、人口減少など社会課題も山積している。
住産業界はどんな舞台で、どんな演目を、どう演じ、社会のなかで拍手をもらい、存在価値を高めていくのか。住産業メディアとしても五官のすべてをフル稼働させ、これまでに注いできた700号分のエネルギーを次の800号までの100号に投入しなければならないのかもしれない。それほどまでに“大変な5年間”になると覚悟を決めなくては―。
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