日本でスマートホームを普及させるにはプレーヤーを増やすことが重要 一念発起してX-HEMISTRYを起業
『スマートホーム2.0』の時代がやってくる
Amazon、Apple、Googleなどが参加し策定を進めるスマートホームの国際標準規格Matter(マター)が普及し始め、繋ぎたいものが当たり前に繋がる『スマートホーム2.0』への過渡期にある。日本においても今後、加速度的に普及が進むとみられている。なぜ世界はスマートホームを求めるのか。日本の住宅業界にどのような変革をもたらすのか。スマートホームのプロ集団、X-HEMISTRYのCEOで、Matterを推進するConnectivity Standards Allianceの日本支部代表も務める新貝文将氏に、スマートホーム最前線を伝えてもらう。

新貝文将 氏
東急グループのイッツコムにてスマートホーム事業の立ち上げを牽引し、Connected Design 代表取締役、株式会社アクセルラボ 取締役/COO兼CPOを経て、2019年にスマートホームのプロ集団X-HEMISTRYを設立。日本企業のスマートホーム事業における検討・企画・開発・サービスローンチまでを一貫して支援している。スマートホームのグローバル標準規格「Matter」を策定するConnectivity Standards Alliance(CSA)日本支部の代表も務め、国内外でスマートホームの普及推進に取り組んでいる。
私がスマートホームに始めて関わったのは2013年。当時、所属企業のトップダウンで手探りの業務として取り組んでいたが、次第にその可能性に魅了され、40歳半ばで起業するに至った。以来、生活課題を解決するツールとしてのスマートホームの普及に全力を注いでいる。
「スマートホーム」という言葉を聞くと、どのような印象を持たれるだろう。「やっています!」という方は近年で増加している一方で、同時に「聞いたことがない」「知らない」という方に出会うことはほとんどなくなった。例えば、アメリカでは2024年時点で約45%の家庭がスマートホーム製品を導入し、住宅の標準設備としても定着しつつある。一方、日本では普及がまだ遅れている。
「スマートホーム」とは、単なる便利なガジェット以上に、生活のさまざまな課題を解決するためのツールだ。さらに、これからの生活に欠かせない「インフラ」にも進化していく可能性を秘めている。
「自分には不要」「なくても生活できる」と感じる方も一定数いるが、登場当初のスマートフォンに対しても同様の意見があったにも関わらず、今では欠かせない存在になっている。実際に私の説明を聞いて頂くと「印象がガラリと変わった」「やってみたい」と感じて頂けるケースが多い。
この連載を通して、スマートホームがもたらす価値と未来の住宅インフラとしての可能性を、わかりやすくお伝えできればと考えている。
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