ピークスタジオ一級建築事務所に聞く「まちに開いた場所づくり」

 

武蔵新城のエリアリノベーションなどで高い評価を受けているピークスタジオ一級建築事務所の藤木俊大、佐屋香織 共同代表にまちに開いた場所づくりについて聞いた。

PROFILE
藤木 俊大 共同代表
東北大学工学部建築学科卒業
同大学院工学研究科都市建築学専攻修了
山本理顕設計工場(2008-13)

PROFILE
佐屋 香織 共同代表
日本女子大学家政学部住居学科卒業
同大学院家政学研究科住居学専攻修了
山本理顕設計工場(2008-11)
東海大学 非常勤講師(2017-2022)
日本大学 非常勤講師(2021-)
日本女子大学 非常勤講師(2022-)

ピークスタジオ一級建築士事務所は、藤木俊大 氏、佐屋香織 氏が共同代表として主宰する設計事務所。2016年ごろに、東京から神奈川県川崎市の武蔵新城駅の近くに事務所を移転。駅前のエリアリノベーションを行った。21年には、エリアリノベーションがグッドデザイン賞を受賞。24年にはそのエリアに建てた集合賃貸住宅「まちのはなれ」がグッドデザイン賞のベスト100に選ばれている。そして同年、武蔵新城の事務所があった場所から車で7分ほど、川崎市高津区にある橘公園内に事務所を移した。

「武蔵新城に事務所を構えたのは、そのあたりに土地を持っている地主の方から、エリアを盛り上げたいので一緒にやってくれないかと誘われたことがきっかけ。そこでまちづくり、コミュニティづくりに関わるなかで知り合ったNPO団体の方に川崎市が公園の使い方の公募をしていると教えてもらった」(藤木氏)

藤木代表と佐屋代表は、以前は山本理顕設計工場に所属。山本氏がコミュニティを大切にした集合住宅などを手掛けていたため、そのころからコミュニティを大切にした設計という考え方はもっていたが、実際に自分がコミュニティの中に入って設計をするというのは、やったことがなかったという。

「武蔵新城の中でもいくつかの場所を設計したが、使っている様子やリアクションがダイレクトに見える。大家さんのことを考えると、賃料に関係のない外構改修はコストを抑えたい思いがある。一方で、コミュニティづくりに効果がある場所にしたい、親しみを持てる材料を使いたいという思いもある。また、地域からはかっこよすぎる建物は嫌だという声もあった。こうしたバランスをとることが難しかった」(佐屋氏)

もとは、公園の管理事務所だった「TACHIBANA HUT」。1階部分は壁を壊し、開放感のあるレンタルスペースに

「一昔前は、建築家は作品をつくる、一般の人からしたら関係のない人だったかもしれない。しかし、日常の中に〝いい空間〟の場があることが重要だと考えている。なので、建築に興味のない一般の人にいかに伝わりやすいもの、使ってもらえるものをつくってコミュニティの中に入っていけるかということを約8年かけて取り組んだ」(藤木氏)

外とのつながりがある空間へ
公園の管理事務所をTACHIBANA HUTにリノベーション


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