木材生産は皆伐一択ではない ケースバイケースで健全経営を目指す
伐りっ放しの木は使いたくない
いわゆる都市木造と呼ばれる木造建築をいくつも手掛けている知人ふたりに、使用する木材について、それぞれ別の機会に尋ねたところ、ひとりはできれば国産材を使いたいと答えてくれたが、もうひとりからは、もちろん国産材が使えるのなら使ってもいいが、特に強くこだわっているわけではないという答えが返ってきた。彼の場合は、国産材か外材かよりも、強度や品質、価格、入手しやすさなどの基準で判断するという。なるほど、技術者らしい現実的な考え方だなと、うなずかされた。
そんな風に材料選択に関する価値観が若干異なる二人だったが、共通していることもあった。それは「伐採した後に木を植えない、伐りっ放しで生産された木材は使いたくない」という考えだ。ふたりは、「はげ山を作りたくない」、「森林破壊に加担したくない」と表現は異なるものの、同じ価値観を明確に示してみせた。
大型木造建築は戸建て住宅に比べて木材の使用量がかなり多くなる。当然、それだけの材料を確保するためには伐採面積も大きくなる。その伐採現場がはげ山では気分がいいはずがない。
ふたりの考え方にはもちろん同意するほかはなく、林業という営みの健全性を確保するうえで頼もしいとも感じた。ただ、このような考えを持っているということは、「木材生産イコール皆伐」という認識があるからだとも思われ、そのことが少し引っかかった。
育林経費がかさむ山を増やしていいのか
国の調査によると、現在、皆伐跡地に植林が行われているのは全体の3割ほどだという。中には人工林として育てていくのには適さない現場もあるだろうから、植林しないことのすべてを間違いだと決めつけるわけにはいかない。だが、林業適地で皆伐したのにその後の経営を放棄するというのは残念な話で、再造林率が3割というのはショッキングなデータだ。国は危機感を露わにし、再造林の必要性をさまざまな機会に訴えている。ふたりにもこうした話が伝わっていて、「伐りっ放しの木は使いたくない」と考えるようになったのだろう。
だが、そもそも皆伐を選択したこと自体に問題はなかったのか。
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