アルミデバイスが繰り返し安定した減衰性能を発揮 「住宅制振設計マニュアル」で健全な市場環境整備に期待
日軽金アクト「ブレースリー®K型 KⅡ型」
新幹線にも使われている日軽金グループのアルミを独自の形状に加工したアルミデバイスが内蔵されており、中小地震時には剛性の高い部材として、大地震時には剛性を保持しながら変形し、地震エネルギーを熱エネルギーに変換し吸収することにより、繰り返し安定した減衰性能を発揮する。サビなどに強い耐久性のあるアルミであるため、点検のできない壁内でも安心して使用することができる。また、アルミは温度の影響をほとんど受けないため、突然発生する地震に対して、1年中安定した制震性能を発揮。さらに、早い揺れ、ゆっくりとした揺れ、強い揺れ、弱い揺れ(耐震)のいずれの揺れに対しても性能を発揮する。振動台実験では、JMA神戸波×125%の揺れで7回連続加振した結果、7回目の加振後も初期性能を保持していることを確認。加えて、公的機関による「木造軸組み耐力壁の面内せん断試験」により、耐力壁として性能評価を受け、壁倍率の国土交通大臣認定を取得。耐力壁として構造設計に組み込みつつ、繰り返しの地震に対して制震性能を発揮し躯体へのダメージを軽減し、長期にわたり安心して住み続けられる住宅づくりに寄与する。工法、モジュールを問わず、全方位対応の製品ラインアップを揃えていることも他社の制震装置にはない強みだ。2021年に販売を開始した「ブレースリー®K型」は、木造軸組工法のメーターモジュール(1000㎜)と尺モジュール(900~910㎜)のほか、2×4工法の910モジュールに対応する。
さらに、在来金物工法の尺モジュールに対応した「ブレースリー®KⅡ型」を新たに開発し、2024年2月に壁倍率の国土交通大臣認定を取得。金物との取り合いの課題などを解消し、設計性、施工性の向上を図りながら、従来品と同等の価格で販売を開始した。「ブレースリー®K型」(在来工法・尺モジュール)では、横架材内法寸法2800㎜超えの3000㎜以下で、壁倍率2.7倍、接合部検討用壁倍率4.9倍、偏心検討用壁倍率3.1倍と、それぞれ違う数値を用いる必要があった。対して「ブレースリー®KⅡ型」では横架材内法寸法2800㎜超えの2850㎜以下で壁倍率、接合部検討用壁倍率、偏心検討用壁倍率それぞれで3.0倍の1つの数値を用いることが可能になり、設計業務の効率化に寄与する。壁の内、外両方からの施工が可能で、ビスの長さを従来の85㎜から65㎜に短くし施工時の負荷を軽減。1人で施工可能な軽量設計であることも強みの一つだ。また、「ブレースリー®K型」「ブレースリー®KⅡ型」は従来と同等の制震性能を保持しつつ、高さ調整新機構(特許申請中)により、採寸・切断・加工なしの簡単施工を実現している。
東京工業大学名誉教授の笠井和彦氏などがリードし、住宅制振の評価、設計法を示した世界初の「住宅制振設計マニュアル」が2024年7月に発刊されたことについても健全な市場環境整備のきっかけになると期待を寄せる。戸建住宅制振技術を健全に発展させるため、「住宅制振普及協議会」を設立し今後、マニュアルで示した試験法で、各制振デバイスの性能試験を行うことで、少ない設置数で制振効果が期待できる「区分3」、多めの設置数で制振効果が期待できる「区分2」、「効かない制振」に該当する「区分1」とふるいにかけ、構造力学の知識の少ない住宅購入者が「効く制振」を判断できるように環境整備を進めていく計画だ。日軽金アクトの社会インフラビジネスユニットの鈴木一利氏は、「『住宅制振設計マニュアル』の認知度が高まっていくことで、『効く制振』がしっかり評価される市場環境が整備されていくきっかけになれば」と話す。
日軽金アクト
03-6810-7297
https://group.nikkeikin.co.jp/act/
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