二地域居住推進法が地方の空き家再生を後押し 時間を過ごしたくなる地域づくりで新たな機会が生まれる
ローカルファースト研究所 代表取締役 関幸子
―二地域居住促進法(広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律)が昨年施行されました。
二地域居住促進法は、地方創生を促進するうえで出来た法律です。
地方創生では、2014年に安倍内閣が「まち・ひと・しごと創生法」をつくりました。これは、地方創生の4つの柱に沿って地域を活性化し、東京への人口一極集中を解消するためのものでした。4つの柱とは、地方に仕事をつくる、人の流れをつくる、結婚・出産・子育ての希望をかなえる、魅力的な地域をつくる、です。しかし、残念なことに10年間の取り組みを進めるなかで、地方移住者の成果がほとんど得られませんでした。むしろ、東京への移住者はどんどん増えているのが現状です。
住まいを地方に移してもらうのは難しいことが分かり、新しい考え方で出来たのが、二拠点居住促進法です。住む場所はどこでもいいので、地方に行ってもらう回数を増やす。移住・定住から往来型、いわゆる関係人口へと舵を切りなおしました。
具体的には、空き家を活用した二拠点居住者向けのお試し居住施設、コワーキングスペース、地域の人と交流が持てるコミュニティ施設などの整備を支援します。また、二拠点居住者の相談に乗ったり、地域を案内するために協議会などの支援法人をつくるのであれば、その法人の人件費も支援します。地方は、もともと住んでいる人同士のつながりが強く、新しく来た人を受け入れにくい傾向があるので、支援法人は地域住民との橋渡しが大きな役割となります。さらに、地方へ往来するための道路が整っていない場合は、道路整備の費用も政府が支援します。
―政策によって住宅産業界にはどのような影響がありますか。
まず一つは、地方の中心市街地への住宅整備が進むと考えられます。一方で、海や山などの自然に囲まれた景観のいい場所にも住まいの需要が生まれるのではないでしょうか。例えば、職住一体で仕事をしながら宿泊もできる施設を新設してもいいです。リラックスして仕事をできる場所の需要が増えると思います。
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