省エネ基準適合義務化が中古市場にインパクト 中古住宅に対するユーザーの目が厳しくなる
LIFULL HOME’S総研 副所長 中山登志朗
―中古住宅流通市場の足元の状況から教えてください。
新築住宅の価格上昇が続くなか、新築住宅が予算的に厳しいと築浅の中古住宅、古くてもリフォームできそうな物件、また、リフォーム済みのリノベ物件に目を向ける人が少なからず出てきています。新築住宅の価格が上昇しているエリアほど中古住宅の価格も上昇しやすく、その状況は今年も継続すると思います。ただ、郊外エリアで価格相場がすでに上限に達しているエリアも見受けられ、そこでは新規の分譲がほとんどなされておらず、もっぱら中古住宅の市場になっています。つまり、新築需要が強く中古住宅価格が上がるエリア、新築の供給がなく中古住宅価格が上がりにくいエリア、さらに中古住宅はあるがニーズがあまりなく価格を下げるエリアと、二極化ないし三極化が進むと考えています。
一方、中古住宅を購入するとリフォーム・リノベーションを行うケースが非常に多い。中古住宅流通の場において、リフォーム・リノベーションのオプションをきちんと用意できるかどうかが重要になると考えています。補助金を活用してうまくコストを削減しながらクオリティをあげた上で高値で販売する、そうしたケースが増えてくるのではないでしょうか。
というのも、今年4月から省エネ基準への適合が義務化されます。新築住宅は断熱等性能等級4、一次エネルギー消費量等級4を満たさなければ引渡しができません。中古住宅はその限りではありませんが、新築住宅で省エネラベルが積極的に活用されるとみられるなか、中古住宅でもラベルを活用するケースがどんどん増えてくると思います。断熱性能が見える化されるなか、中古住宅も安かろう悪かろうではなくクオリティをしっかりと維持している、新築よりは安いが新築と同等の、もしくは価格なりの住宅性能を担保している物件でなければマーケットで流通しにくくなる可能性があります。中古住宅に対するユーザーの目が厳しくなるということです。
ユーザー意識の変化が鍵となる
―中古住宅のリフォーム・リノベーションや、買取再販の市場にも変化が出るのでしょうか。
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