タツミ、木軸+鋼材の狭小耐力壁を開発
壁倍率6倍で評定を取得次第発売へ
バーリング孔のあいた鋼材を面材に使った狭小耐力壁を開発した。鋼材が持つ特徴を木造に生かし、壁倍率6倍を実現する。
タツミの「TN-WOLSH Burring Wall(ティーエヌウォルシュ バーリングウォール)」が注目を集めている。
同商品は壁面材にバーリング孔付き鋼板(バーリング面材)を用いた狭小耐力壁で、日本製鉄、NSハイパーツと三者で共同開発した。
円筒状突起(バーリング孔)をあけた1㎜の鋼板を面材に使用することで、耐力壁長さ455㎜で壁倍率6倍相当(目標)を実現、大きな変形を受けても安定した耐力性能を発揮する。木造の設計・施工面の汎用性をそのままに、鋼材の強度と靭性を融合させたことが大きなポイントだ。この耐力壁は、壁勝仕様と床勝仕様で使用することができ、横架材内法間1860~3340㎜まで対応。住宅や非住宅などさまざまな建物で使うことができる。
構成は、一般的に使われている枠材に現場裁断も可能な1㎜の薄鋼板の面材を釘接合したシンプルなもの。釘打ちは通常の木造の釘打ち機で可能、現場裁断も通常の電動鋸で切断が可能で、構造用合板と同じように取り扱うことができる。施工は、枠材に面材を留め付けて構造躯体にはめ込み枠材を木工用ビスで留めるだけ。また、片面張りのため電気配線工事がしやすく、壁を収納として使うニッチを設けることができるという特徴も持つ。
「TN-WOLSH Burring Wall」はスチールハウスの技術の応用であり、特殊な計算や施工方法が不用と、「できるだけ木造の施工方法にあわせた仕様とし、違和感なく施工できるようにした」(営業企画開発管理本部 商品企画開発チーム・山田塁史主任)という。同社では、定尺で納品、カッティングして納品、パネル化して納品と現場のニーズに応じて3パターンの納品方法を想定している。
オープン工法で採用のしやすさが評価
「TN-WOLSH」とは、Tec-One NEXT–Wood Lightweight Steel Hybrid methodの略で、同社が展開する梁受金物「Tec-One」シリーズの次のステージを目指す次世代金物・工法のブランド「Tec-one Next」のなかで、「木軸+軽量鋼ハイブリッド工法」を指す。鋼材が持つ強度や靭性を木造に生かし、その合理化を提案する工法だ。大空間の形成のさまざまな課題を合理的に解決し、大断面集成材やトラスに代わる第3の選択肢として「TN-WOLSH Beam」を展開している。非住宅木造建築物において、無柱で最大12mのスパンを実現、大空間を形成することができる。
この「TN-WOLSH」シリーズに、新たに狭小壁が加わることになる。現在、評定を取得中で、年内~来年早々には発売の予定だ。正式発売に先立ち、展示会などに出展を始めており、その独特なデザインもあって注目を集める。オープン工法で誰でも使えることから「採用にあたってのハードルが低そう」との評価の声が寄せられているという。「価格設定も安価にし、価格競争力の面でも強みを発揮したい」(山田主任)と、正式発売に向けてアピールを強めていく。
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