オープンハウスグループ、「家じまい」にビジネスチャンス 首都圏で買取強化
LIFULLと共同で「家じまいに関する意識調査」を実施
LIFULLと共同で「家じまいに関する意識調査」を実施し、結果を発表した。家じまいができない最も大きな理由は「特に理由はない(面倒)」と判明。首都圏での買取りを強化しており、増加する家じまいニーズをビジネスチャンスと捉えている。
オープンハウスグループが、LIFULLと共同で「家じまいに関する意識調査」を実施した。内閣府の高齢社会調査によれば、2023年10月時点で65歳以上人口は3623万人で、総人口に占める割合は29.1%。さらに団塊世代がすべて後期高齢者となる2025年問題も控えており、家じまいや、実家じまいが大きな社会課題となっている。これから増えるであろう家じまいに関する課題を浮き彫りにする狙いから、実家や生家の売却を経験した、もしくは検討している700人の男女を対象にインターネット調査を行った。
都内で調査結果の説明会を行ったオープンハウス.ディベロップメント開発事業部の須藤光輝部長代理は、まず福島県内の実家の写真を披露。古民家、畑、田んぼ、飼いヤギが映るのどかな風景だが、「実家、ヤギをどうするのか。まさに私も頭を抱えている」と、家じまいが身近な問題であることを強調した。
知識不足が不安の要因
調査のうち、検討者と売却経験者の双方に、売却を検討し始めたきっかけを聞いたところ、いずれも「使う見込みがなく、家の維持・修繕が大変になった」(経験者34.3%、検討者29.1%)の回答が最多となった。売却時に既に空き家となっている例が多くなっているとみられ、実際に同社に家の売却をした顧客のうち4割が相続に関連した売却で、その7割が売却時点で空き家だという。また、割合は経験者1.4%、検討者1.7%と少ないが、「施設の入居のための頭金が必要なため」の回答もあり、今後住み替えのために自ら売却を計画する人も増えると指摘する。売却経験者が苦労したこと、後悔したことの項目では「思うような価格で売れなかった」(39.1%)、「依頼する不動産会社を複数しっかり比較しなかった」(26.7%)、「家の中にある残置物で売れそうなものがあったが、手間と時間で売ることができなかった」(20.8%)、「買い主が見つかるまで何度も内覧があり時間と手間がかかった」(19.3%)、「残置物の整理や取り壊し、修繕の発生など手間とお金がかかった」(16.3%)、「名義変更の手続きがよくわからず、手間取った」(16.3%)と続いた。
また、売却を検討する中で心配や不安なことの質問では、「希望の値段で売れるか」(37.6%)、「売却にかかる手間」(16.1%)、「何もわからないのが不安」(15.2%)、売却や相続に関する税金関連の知識がなく不安」(14.0%)、「売却にどれくらい時間がかかるか」(9.3%)となった。「結局、どのぐらい時間と手間がかかるか、すべて分からないという知識不足が不安になっている」(須藤氏)。
売却に至っていない理由は、「特に理由はない」(21.1%)、「どんな不動産会社を選べば良いかが分からない」(19.4%)、「情報は集めているが、検討をする時間的な余裕がない」(18.3%)、「家の扱いについて家族の意見が決まっていない」(17.4%)、「家の片付けが終わらない」(16.3%)など。検討者が家じまいを考えているにもかかわらず、出来ていない最大の原因は理由がない、という驚きの結果となった。
また、働きながら家じまいについて調べたり、実家が遠方である場合、そこに出向き片づけるという時間、手間のハードルが高いことなども大きな理由になっていると分かった。経験者の売却方法は72.3%が仲介で、2位の不動産会社の買取(17.4%)と大きく差が開いた。
オープンハウスグループは、戸建分譲が好調で23年度には6000棟を供給。特に首都圏の土地の買い取りを強化している。同社は6年ほど前から首都圏の買取を始め、現在は首都圏で年間3500~4000件買取実績があるという。「直接買い取りをしており、仲介手数料が不要になるのでその分高く購入できる。面倒なところを我々がすべて引き受ける」(須藤氏)。24時間以内の査定を実施し、仲介手数料なし、変形や取り壊しが必要な古屋も可、見積りから売却、残置物処理まで引き受けるサービスを構築しており、家じまいの相談も年々増えている。
今回の調査で明らかとなったように、住み替え、実家じまいなどに関わる諸問題は、知識不足と面倒くささが理由となっている。こうした理由から、今後も家じまいが出来ないまま空き家になるケースは増えていきそうだが、逆にそこに商機があると須藤氏は語る。「所有者が明確でかつ資産価値がある物件はもちろん、所有者が分からないが資産価値がある物件も、昨年度の法改正により手続きを踏めば売却手続きができるので、ビジネスチャンスがある。今後は都内の獲得競争も激しくなっていくので、勝ち取っていきたい」。平成30年の住宅・土地統計調査から算出した2040年の空き家率予想では、全国7.88%に対し、東京都が11.29%と上回っている。
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