世界初、住宅制振の評価、設計法を示したマニュアルを作成　効く制振、効かない制振をふるいに

（一社）日本免震構造協会は、「住宅制振設計マニュアル」を発行した。
木造戸建住宅向けの制振ダンパー、それを組み込んだ架構（制振壁）、更にそれと通常の架構を併せた住宅構造全体（制振住宅）などの評価、設計方法を示す。
戸建住宅の制振技術に関する試験法、評価法、設計法などが包括的にまとめられた世界で初めてのマニュアルとなる。
マニュアル作成をリードした東京工業大学名誉教授の笠井和彦氏にマニュアル作成の狙い、今後の展開などについて聞いた。

──世界で初となる戸建木造住宅を対象とした「住宅制振設計マニュアル」を作成した背景、狙いについて教えてください。

地震被害が相次ぐ中で、1回の地震に耐える住宅ではなく、繰り返しの地震に耐え、その後も安全に住み続けられる住宅へのニーズが高まっています。通常の住宅構造の耐震性を高めても、巨大地震の被害を受けた後には、接合部やビスなどがダメージを受けて、躯体が変形、損傷し、新築時の耐震性能が維持されるとは言えません。こうしたリスクを回避するために、接合部やビスなどが犠牲になる前に代わりに地震エネルギーを吸収し、建物の変形および損傷を抑制するのが制振という考え方です。躯体へのダメージが少なければ、地震後もそのまま住み続けられます。地震被害が全国で相次ぐなかで、制振へのニーズは高まっていると言えるでしょう。

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