怒涛の制度改正で住宅高断熱化が加速
次世代スタンダードの普及へ 対応急ぐ断熱材メーカー
発泡プラ系、有機繊維系断熱材
上位等級移行でさらなる伸びに期待
発泡プラスチックボード系断熱材も上位等級移行に伴い注目度が増している。
グラスウール、発泡プラ系断熱材に比べこれまでシェアが小さかった有機繊維系断熱材も、断熱性能+αの価値を訴求し存在感を増してきている。
床断熱、基礎断熱で存在感
発泡プラスチックボード系断熱材、いわゆる板ものの断熱材は、一般的に繊維系断熱材よりも熱伝導率の数値が低いものが多く、板状のため外張り断熱に適しているといった強みがある。断熱等級6・7の達成に向けての動きが加速する中で、その存在感をさらに増していきそうだ。
特に剛性が求められる床では、先のフラット35仕様実態調査で、床においては「ポリスチレンフォーム又はポリエチレンフォーム」が5割超のシェアを占めていたように、圧倒的な強さを誇る。
JSPが販売する押出法ポリスチレンフォーム断熱材は、床の断熱施工で使われることが多く、10年以上前から床に施工する断熱材のプレカット加工を行ってきた。
職人の減少や工期の遅延問題などが浮上する中で、プレカット加工への注目度が高まっている。販売用途の約9割が床向けで、残りが壁、屋根向けとなっている。
断熱材全体の出荷は、新築住宅着工減の影響を受けたが、住宅高性能化の波を受けて伸長、中でも高性能品「ミラフォームΛ(ラムダ)」は前年度比で約10%増となった。一昨年も前年比10%増と好調で、さらにその実績を上回り販売を伸ばした。その理由の一つは性能の高い断熱材への置き換えが進んだこと。4~7地域の床断熱で省エネ基準をクリアするためには「ミラフォーム」なら65㎜が必要だが、熱伝導率0・022の「ミラフォームΛ」であれば50㎜で済み、根太からはみ出ることなくしっかりと施工することができる。
また、他素材の断熱材の代替需要として同社の高性能品Λの引き合いが増え、新規需要の獲得につながった影響も大きかった。
「現場の省力化のニーズが高まり、床の断熱材のプレカットは必須になってきている。近年は職人不足、また現場のゴミ問題の解消にもつながることから需要が増えている。セミプレカット(約7割は工場でプレカット、残りは現場でカット)から、フルプレカット(100%工場でプレカット)へ切り替えも進む。『ミラフォームΛ』と床のプレカットは、市場のニーズにはまっていて、今年も好調に推移している」(建築土木資材事業部 東日本建材営業統括部 木村竜也部長)。
同社は、「ミラフォームΛ」を注力商品として位置づけ、供給安定性を非常に重視している。「お客さまからの要望に対して、北海道江別市、栃木県鹿沼市、兵庫県竜野市、熊本県熊本市の4工場から迅速に供給できる体制を整えている」ことが強みとなっている。
さらに、床のプレカットは、すべて自社で内製化しており、対応が早いことも支持を集めている理由の一つだ。依頼を受けてから2日で図面を作成、最短で1週間後には出荷することができる。
今後、上位等級への移行、付加断熱の採用を模索する住宅事業者が増える中で、壁においても「ミラフォームΛ」を使用することで付加断熱の厚みをできるだけ薄くできる点を訴求し、販売拡大につなげていく考えだ。「床ほど爆発的な伸びは期待できないが、等級6・7へ移行が進み、付加断熱が増えていくニーズにもしっかり対応していきたい」(木村部長)考えだ。
カネカ/カネカケンテックは、等級6・7の住まいづくりに取り組む住宅事業者に対して床断熱材フルプレカットを推奨する。同社の主力商品「カネライトフォーム」は独立した気泡構造により、吸水・吸湿性が低く、断熱の大敵である水を含みにくいことから、断熱性能の劣化を防ぐことができる。そのため床下など高湿箇所への施工に適している。「カネライトフォーム」シリーズとして、「カネライトフォームFX(熱伝導率:0.022以下)」、「カネライトフォームスーパーEX(同:0.024以下)」、「カネライトフォームスーパーE‐Ⅲ(同:0.028以下)」の3種類の高性能グレードを用意。要求性能、用途に合わせて選択することができる。
断熱等級6・7の住宅に要求される床の断熱性能は高く、高性能グレードの断熱材を使用しても材料厚さが増す。地域区分、家全体の断熱性能にもよるが、床用断熱材は厚さ65㎜以上が必須となる。断熱材が厚くなると、現場でのカット加工をすることが難しくなり、現場でのカット加工後の厚い断熱材の端材も大幅に増える。
そこで、同社では床用断熱材のフルプレカットを推奨、拡販活動を行っている。
断熱材をフルプレカットにすることで、人手不足の解消に貢献。端材発生を大幅に減らすことで産廃費用削減、環境に貢献する。断熱材のフルプレカットにより施工手間の約50%削減、端材の約25%削減が可能となる。
また、25年省エネ基準義務化がスタートし、断熱等級6・7への移行が進むことで、床においても断熱性向上のニーズはさらに高まっていくことを見据えて、新発想の新たなサイズ構成の床断熱材新シリーズ【ハチサンマル】も開発した。時代に合わせ、より施工現場目線で”基本サイズ”を変えるという新提案だ。
床断熱施工の際に基準になる、土台、大引、横架材、それぞれの内々の寸法に近づけた(断熱材の縦横正味寸法)製品サイズを新たに提案。もう一段進んだ現場での端材、残材の大幅削減を実現する。
910㎜モジュールの軸組で、土台105㎜、大引90㎜の場合、その内々寸法は約812㎜。同様に、大引90㎜、大引90㎜の場合、その内々寸法は820㎜となる。従来は910㎜の3×6板から現場で820㎜にカットするため、90㎜巾の端材が発生していた。対して【ハチサンマル】では、製品の幅830㎜にすることで、端材は約10㎜巾に減らすことができ、現場での端材発生量を約80%削減することが可能となる。
デュポン・スタイロは、住宅高性能化に伴い、注目度が一段と高まっているとして、「基礎断熱工法」の提案に注力する。技術・開発本部 製品技術部の三原典正 部長は、「基礎断熱は、外側からすっぽりと断熱材で住宅を覆うことで、気密性を高くしたい、床下空間を使いたい、といったニーズに合致して、北海道など寒冷地から広がってきた。ここにきて本州の方でも徐々に広まってきている。等級6以上は基礎断熱で検討したいという引き合いが増えている」と説明する。
同社の「スタイロフォームAT」は、防蟻剤をスタイロフォームに混入した断熱材で、基礎コンクリートと同時打ち込み施工ができ、基礎外側断熱工法に適している。断熱材自体にシロアリの食害を防ぐ機能を持たせることで、断熱材が蟻道やコロニーになる可能性がほとんどない。
また、防蟻剤の現場塗布や土壌改良に比べて防蟻剤の流出・拡散がほとんど生じない。
「スタイロフォームAT」の拡販に向け、等級6・7をクリアしやすくするための技術サポートの一環として、基礎の線熱貫流率の任意評定を取得し、今夏より運用を開始した。基礎の断熱性能を評価するための代表的な仕様の計算例において、計算例(以下、早見表)から外れた場合、基礎の線熱貫流率は0.99W/(ⅿ・K)などの数値を使用しなくてはならず、外皮平均熱貫流率UA値は高くなり不利な仕様となる。
今回、同社が取得した任意評定を使用することで、本来の性能値を適正に評価できるようになり、等級6・7をクリアしやすくなる。「早見表を使用し等級5と評価される仕様も、任意評定を活用することで等級6を達成しやすくなる」(技術・開発本部 製品技術部松本崇 主任技術員)。
例えば、早見表では、ベタ基礎において基礎内側断熱しか選択できないが、評定を活用することで外皮平均熱貫流率の計算結果に不利な影響を与えることなく、基礎外側断熱を採用することができる。また、早見表では、布基礎において基礎外側断熱しか選択できず、ユニットバスや玄関土間は部分的に基礎外側断熱にするしか選択肢がなかった。対して、評定を活用することで基礎内側断熱も選択することができるようになり、凸凹がないスッキリとした基礎をつくることができる。さらに、基礎の根入の深さを3段階で選択可能であり、基礎断熱を計画するうえで、自由度が増す。
「スタイロフォームAT」については、特にシロアリ侵入のリスクが高いユニットバス、玄関だけでも使用したいというニーズも高まっている。打ち継ぎ部に防蟻性能を有する専用の接着剤を塗布し、さらに、「スタイロフォームAT」を貼ることで、基礎の打ち継ぎ目地などからのシロアリの侵入防ぐ。
発泡スチロール協会は、剛床工法(根太レス工法)にEPS断熱建材を使用する際の住宅型式認定も取得済みだ。この型式認定を利用すれば、根太の厚さを超える部分も含めて省エネ性能を計算することが可能。結果としてコストダウンや耐力アップ設計が可能になる。
付加断熱のバリエーションが拡大
上位等級へチャレンジしようとする住宅事業者が増える中で、付加断熱への注目度も急上昇している。各社は、新商品の開発、より使いやすい工法の開発などで市場拡大を狙う。
アキレスは、高性能硬質ウレタンフォーム断熱材「キューワンボード」を主軸に、等級6以上に向けての提案を積極化している。キューワンボードの出荷量、販売金額とも24年度は微増で推移している。着工減の影響を受けるが、高断熱住宅へのニーズが高まるなかで、付加断熱への採用が徐々に増えている。また、断熱リフォームでの採用増も大きな要因となっている。
断熱資材販売部 戸建特販課 藤本幹人 課長は、「住宅事業者の間で特に等級6・7に対するニーズの高まりを感じている。これまでアポイントすらもらえなかった住宅事業者へ訪問できるようになっており、住宅事業者の意識が変わってきていると感じている。断熱仕様の変更を検討している住宅事業者も増えてきている」と話す。
キューワンボードは熱伝導率0.021という高い性能が大きな特長。等級6であれば同社製品の外張断熱だけでもクリアすることが可能だが、4~7地域であれば充填断熱+付加断熱というW断熱の提案をするケースが多いという。
慣れている充填断熱から外張断熱へと断熱工法を変えてしまうのではなく、これまで通りの充填断熱に付加断熱を加えるという方法を取ることで住宅事業者が等級6に取り組むハードルが低くなるとともに、原価計算がしやすいというメリットもある。
「東京ゼロエミ住宅の認定条件となる省エネ基準が10月1日か見直され、強化される。最も高い水準AのUA値0.35は5地域以南の等級6と7の間の水準。このレベルになると、付加断熱が必要となる。付加断熱もひと昔前に比べ、住宅事業者の認知度が高まっており、抵抗感も少なくなっているのではないか」とみる。
フクビ化学工業は、熱伝導率0.019と優れた断熱性能を持つフェノールフォーム断熱材「フェノバボード」を展開する。高性能住宅において、薄くても十分な断熱性能を持っているフェノバボードは、厚みの制限がある部位などでも施工しやすいと注目が集まっている。
着工減の影響はあるものの、上位等級対応のニーズなどの取り込みが功を奏し、23年度の販売実績は前年度比32%増と急増した。競合他社商品が一時的に入手困難な時期もあり、その代替需要の受け皿となった影響もあるが、24年度4月~8月の実績も前年同期比4%増と好調を維持する。
高断熱住宅へ取り組む住宅事業者が増えるなか、同社ではフェノバボードのみを使った外張断熱のほか、フェノバボードを使った屋根や壁への付加断熱と、繊維系断熱材や現場発泡などの充填断熱との組み合わせなど、様々な提案ができるように準備を進めている。建材事業本部 建材事業企画部 建材企画推進課の大玉道夫 担当部長は、「住宅会社の規模にもよるが、住宅高断熱化で先行する大手ハウスメーカーなどの動きに対抗して、等級7をフラッグシップとして建て、対応できる体制をつくるところも出てきている。高断熱にウエートを置き、上位等級の松竹梅の住宅商品を開発して、主力商品として販売する事業者も増えてきている」と話す。
温暖地の5~7地域の断熱等級6までは充填断熱でクリアできるが、やはり屋根、壁に相当な厚みで断熱材を充填する必要があり、施工、性能確保の面で課題はある。そこで同社は、既存の仕様を生かしながら付加断熱を組み合わせベストなバランスを検討することをすすめる。「効率よく上位等級をクリアしやすくなる。熱橋を補完できるので、結露発生を抑制し、住まい心地の向上にもつながる。省エネ性能の向上で光熱費の抑制にも効く」と、様々な角度から付加断熱の優位性、メリットを訴求する。
加えて、上位等級への対応として、モデルハウスの活用にも注力する。23年7月、同社の業務提携先であるフォワードハウジングソリューションズ(井上賢治代表取締役)がフェノバボードを使った等級7の体感モデルハウス「小美玉S‐ZEHⅢモデルハウス」(茨城県小美玉市小川1691)をオープンした。フォワードハウジングソリューションズは、省エネ住宅の申請サポート業務などを手がけるほか、フクビ化学工業をはじめとするメーカーと連携し、モデルハウスへの誘致・体感を推進している。
また、優れた省エネ性能と耐震・制震を備え、ZEHを超える性能を持つ住宅を、独自のブランド名「S‐ZEH」として提案している。
小美玉モデルは兵庫県淡路市に建設したモデルに次ぐ3棟目の新築モデルで関東エリアでは初となる。「やはり実際に体感してもらうことが一番響く」と、等級7のモデルプランを通じて高性能住宅の普及を訴求する。小美玉モデルハウスの体感見学会を随時開催しており、申し込みはフクビ化学工業のホームページで申し込むことができる。
デュポン・スタイロは、上位等級への取り組みとして、新商品、新工法の開発を進める。最高断熱材の熱伝導率0.022以下の「スタイロフォームFG」に、従来の40㎜、50㎜、75㎜、に加えて、新たに100㎜を追加、受注生産での対応を開始した。厚みのバリエーションを増やし上位等級対応へのニーズに応えていく。
また、「スタイロフォーム」と「スタイロスプレーフォームR(現場発泡ウレタン)」の付加断熱仕様で30分防火構造認定を取得し提案を開始した。普及品の水発泡(100倍発泡)品は、法令上、防湿材の施工が必要であるのに対して、「スタイロスプレーフォームR」は、高性能な30倍発泡の現場吹付断熱材で、防湿材の施工を省略することができる。より薄い厚みの吹付で高い断熱性能を確保でき、工期短縮の効果も発揮する。
同社はこれまで、付加断熱用に「スタイロフォーム」、充填断熱用として「スタイロスプレーフォームR」をそれぞれ展開してきた。「等級6レベルになると一方だけの商品では断熱性能が足りないケースもあるため、付加断熱工法を新たに開発した」(三原部長)。
発泡スチロール協会は、住宅高性能化の動きに対応して、地域、部位別のEPS断熱建材の各製品仕様基準(製品名と厚みの一覧)を同協会HPに掲載。断熱等級4・5に続き、新たに断熱等級6・7のEPS断熱建材の仕様例を掲載している。
断熱等性能等級7を実現するために、繊維系断熱などによる充填断熱に発泡系断熱による付加断熱を施した仕様を採用する住宅会社も増えてきている。そこで発泡スチロール協会では、付加断熱にEPS断熱建材を使用する際の防火構造30分の大臣認定取得を進めている。例えば、繊維系断熱にEPS断熱建材で付加断熱を施し、木製外装材で仕上げた仕様で認定を取得。軸組だけでなく、枠組み壁工法でも認定を取得している。
さらに、窯業系外装材で仕上げたものでも認定を取得した。こちらも軸組だけでなく、枠組み壁工法でも認定を取得している。これによって、付加断熱を採用している様々な建物でEPS断熱建材を使いやすくなったというわけだ。湿式仕上げでの認定取得も検討しているという。
断熱と気密はセット
気密をフックにシェアを伸ばす
断熱性能だけを高めても気密が取れていなければ十分な効果は期待できない。住宅に高い省エネ性能が求められる中、改めて気密への関心も高まっている。この気密確保をフックの一つとして、着実に断熱材市場で存在感を増しているのが現場で吹き付けるウレタンフォーム断熱材だ。
一般的に、住宅の性能が上がるほど、少しでも隙間があれば、結露を引き起こすリスクが高まると言われている。気密施工に対する厳しい品質管理が求められる。その点、現場発泡断熱材は、優れた柔軟性、接着性を備えており、吹き付けるだけの一工程で、断熱・気密化を図ることができるという強みがある。高性能化が求められるほど、簡単に断熱性能の向上とともに気密性も確保できる現場発泡断熱材の強みを生かすことができる。
日本アクアは、「アクアフォーム」のブランドで現場発泡断熱材を展開。23年の戸建て向けの販売実績は、着工減の影響を受けた一方で、住宅高性能化のニーズを取り込み、前年度並みとなった。
管理本部の小室昌彦 経営企画部長は、「ここ1、2年で断熱性能もさることながら、特にエンドユーザー、施主からの気密性能への関心が非常に高くなってきている。等級6以上はウレタンを検討したいという動き、繊維系断熱材からウレタンに切り替えるといった動きが広がってきている」と説明する。施主から工務店への「しっかり気密性能の確保を」という要望を受けて、オプションでウレタンを用意するといった動きも出てきているという。
大手ビルダーが気密測定を標準化する動きがある中で、同社も気密測定体制を構築しており、気密測定サービスの引き合いも増加している。戸建部門の全施工棟数に対する気密測定サービスの導入割合は、23年が4.4%、これを24年に10%超、25年に20%超にまで引き上げる計画だ。「等級6以上はウレタンで吹き、気密測定をセットで行うという動きが広がっている。去年から今年にかけて気密測定サービスの導入実績は大きく伸びている」。
そのほか、2024年問題を見越して、23年に施工体制の強化を図ったことも支持を集める理由の一つとなっている。同社は、自社施工に加えて、認定施工店に断熱施工を委託して行う独自の施工体制を整備している。自社の工務社員(技能実習生を含む)は、22年末156人から23年末に222人に増加、24年6月時点で277人まで増えている。材工セットでの提供であるため、職人不足問題が深刻化するなかで、施工現場の省力化を図りたいと考える工務店や住宅事業者からの採用が伸びている。
また、ウレタンの現場発泡断熱材の料金は、グラスウール断熱材など他の断熱材に比べて高いと言われてきたが、近年、輸送コストが上昇の一途をたどる中で、ウレタンの現場発泡断熱材は材工セットの提供で輸送費の影響を受けにくく、価格差が縮まってきていることも切り替えが進む要因となっている。
さらに、環境省が廃棄物処理法の特例として定める「広域認定」を取得していることも強みだ。通常、事業者が廃棄物の運搬や処分を行うためには処理業の許可が必要で、日本全国から産業廃棄物を回収するためには、都道府県、市町村などから許可を受ける必要があるのに対して、広域認定では、広域なエリアを一括してカバーできるというメリットがる。「産業廃棄物の処理に関するコンプライアンス厳守、コスト削減の観点から、工務店などの社長、役員クラスの方に評価いただき、採用が広がりつつある」(小室経営企画部長)。
等級6への対応としては、高性能品の30倍発泡の「アクアフォームNEO」に、一般品の「アクアフォームLITE」などを組み合わせることで、価格を抑えた競争力のある仕様を用意。上位等級への移行のニーズに応えていく。
気密への関心の高まり、上位等級への移行などの追い風を受けて24年の販売は前年比5%増を計画する。
住宅の高断熱化に伴い、隙間処理、気密施工の重要性の認知度が高まる中で、エービーシー商会が展開する1液型の発泡ウレタンフォーム「インサルパック」の販売も好調に推移している。インサル事業部 東日本営業課 佐藤佳信エリアマネージャーは、「昔は木造住宅の中で、配管周りの1カ所のみ使用するということが多かったが、断熱等級が上がり、住宅の建て方が変わり、基礎から、上棟後は、柱と合板床の取り合い部、また、窓のサッシ周りなど、使う箇所が増えている」と話す。
使う箇所が増えるとともに、日をまたいで使用することも増えている。そこで近年、ニーズが高まっているのがガンタイプだ。ノズルタイプの場合、手軽に使える一方、基本的に1日で使い切る必要があるが、ガンタイプは繰り返しの使用ができ、簡単に吐出量を調整できる。「プロ向けのホームセンターなどでもインサルパックを置いてもらっているが、ノズルタイプは横ばいで推移する一方、ガンタイプが顕著に伸びている。専用ガン単体でも販売しており、価格は1万円前後する高価なもので、メンテナンスも必要なため使い始めるのに少しハードルがあるが、プロ仕様のガンタイプの必要アイテムがすべてそろったスターターキットも用意しており、これも非常に売れている」という。
こうしたなか差別化を狙いに力を入れているのが防蟻効果を持つ「防蟻フォーム」と低発泡の「エラスティックフォーム」だ。
「防蟻フォーム」は、全館空調を採用し床下に空調設備を置くなど床下活用が進むなかで、基礎断熱が増えており、防蟻性能を持つ同商品への関心は高く、出荷量も増加している。「寒冷地だけでなく、温暖地でも、等級4から等級5に切り替えるタイミングなどで基礎断熱を採用するケースが増えている。そこで防蟻フォームの出番となる。効率よく無駄なくしっかり基礎の隙間をふさぐことができる」。
一方、「エラスティックフォーム」は、低発泡でふくらみが少ないためカットの手間を軽減できるなど、サッシ周りや柱と床の取り合いに無駄なく効率よく使うことができる。カットしなくてよいため、現場でごみが発生せず、表面のスキン層を生かすことができウレタン発泡断熱材としてベストの状態で施工できる。吹き付け後、すぐに固まるため、養生の時間が不要で工期短縮にもつながる。
そのほか、付加断熱の普及により、壁と屋根の取り合い部も隙間が生じやすくなる。ここを埋めるのにもインサルパックは最適だ。また、外気と接する箇所の柱などを固定する金属製の金物は、熱を伝えやすく、熱橋(ヒートブリッジ)となるリスクが高まるが、インサルパックで断熱補強することで、そのリスクを抑制できる。
「最近は補修材でも熱伝導率を気にするなど住宅事業者の意識も変わってきている。使用される部位が増えるなか、さまざまな問い合わせをいただいている」と、市場ニーズに応えるラインナップ強化にさらに力を入れる考えだ。
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