(一財)日本建築センター、省エネ適判事業が順調に拡大
人材確保、ワンストップ対応など体制整備を進める
事業収益は前年度比2.0%減少したものの、省エネ判定等事業などが好調。省エネ基準の適合義務を背景にニーズが高まるとみられ、体制整備を急ぐ。
(一財)日本建築センターの令和5年度の事業収益は28億8893万円、前年度比2.0%減となった。全体の42%を占める「技術評価事業」が同4.7%減と減少したのをはじめ、「建築確認検査等事業収益」の同5.3%減などが響いた。
一方で、「省エネ判定等事業」が1億9565万円、同13.2%増と大幅に増加、「情報提供事業」が1億5501万円、同15.7%増、「システム認証登録事業」も1億2644万円、同7.7%と増加した。橋本公博理事長は「省エネ適判と出版は順調だったが、その他の事業が伸び悩んだ」と総括した。
好調だった「省エネ適合性判定事業」を詳しくみると、2000㎡以上の物件では162棟(同1棟減)を判定、全国的に棟数が減ったこともありシェアを0.4ポイント増の6.0%に伸ばした。300㎡以上2000㎡未満の物件は70棟(同11棟増)で、シェアは0.8%(同0.2ポイント増)だ。「省エネ基準への適合義務化を踏まえて増加した。来年度以降の業務量の増加を見据え人材確保が課題であり、体制を整えていきたい」という状況となっている。
令和7年度から原則、すべての住宅・非住宅建築物の新築・増改築に省エネ基準への適合が義務化される。この適合確認は、エネルギー消費性能適合性判定(省エネ適判)を受ける必要があるが、住宅用途については仕様基準に基づいて外皮性能及び一次エネルギー消費性能を評価する場合には省エネ適判は不要となる予定で、その場合は建築確認の審査と一体的に適合性の確認を行う。
このため、同センターでは、建築確認を行う確認検査部と省エネ適判を行う住宅・環境審査部が連携・協力し、ワンストップで対応できるような体制づくりを進める考えだ。
木材利用促進に新たな評価事業もスタート
技術審査・評価ニーズへの対応として、新たに「木材利用促進のための防火関係基準の合理化等に伴う性能評価業務」を開始する。具体的には2つの性能評価を実施する考えで、業務開始に向けて準備を進めている。
一つは「特定主要構造部の区画構成材の性能評価」。高い耐火性能の壁、床で構成される「特定区画」で区画される木造などの防火上及び避難上支障がない部分を持つ建築物の耐火性能を評価する。
もう一つが「火熱遮断壁(壁等)の延焼防止性能の性能評価」で、主要構造部に木造等の可燃材料を用いた建築物は火熱遮断壁等を設置することで防火上別棟として扱うことができるようになったことに対応するものだ。
令和6年度は、物流の2024年問題、資材不足、職人不足などさまざまな要因で着工が遅れ、新設着工が伸び悩み、その影響が事業に影響している。「一気に好転することは望めないなか、さまざまなニーズへの対応、サービスの向上に取り組んでいく」考えだ。
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