(一社)東京都建築士事務所協会、建築士事務所同士のマッチングサービス
案件の失注を防止
建築士事務所同士をマッチングする新サービス「アーキ・パートナー」を9月にリリースする。人手不足などにより業務の一部を委託したい事務所と受託を希望する事務所をマッチングし、案件の失注を防ぐ。
(一社)東京都建築士事務所協会(TAAF)は、建築士法によって定められた東京都知事登録の建築士事務所を会員とする法定団体。会員向けに研修やセミナー、一般向けに建築相談会などを実施している。2024年7月時点で会員数は1628社、意匠系を中心に積算以外の中小規模事務所が会員の8割を占める。
しかし、中小規模事務所は複数の案件を抱えた場合に人手不足に陥る可能性がある。25年4月から省エネ基準の適合義務化や4号特例の縮小が適用開始されるが、同協会の一部会員からは業務量の増加によって人手不足に拍車が掛かることを懸念する声もある。
人手が足りない場合は他事務所に一部業務を委託することが一般的だ。また、案件によって専業以外の分野については他事務所に協力を依頼する必要がある。例えば、意匠設計事務所であれば、構造設計事務所や設備設計事務所に協力を仰ぐことで初めて受注できる案件もある。
だが、これまで協力先を探すためには個社間のつながりや個人の人脈を活用することが多く、中小規模事務所では探すことが困難なことから案件を受注し損ねる可能性も少なくなかった。
こうした事態を解消しようと、同協会はこの9月から「アーキ・パートナー」の提供を開始する。アーキ・パートナーは、設計業務の一部を委託したい建築士事務所と、仕事を受託したい建築士事務所同士をマッチングするウェブサービスだ。「協力事務所を探す」と「仕事を探す」の2つの機能を備えている。
「協力事務所を探す」では、協力先を探している事務所が具体的な案件情報を登録し、受託を希望する事務所を募集する。一方、「仕事を探す」では、仕事を探している事務所が自社で受託可能な業務や実績、使用可能なCAD、BIMソフトなどの情報を登録し、協力先を探している事務所向けに発信することができる。
建築業は、時期などによって業務量に波があるため、必要なタイミングで建築士事務所同士を結び付けることで、安定した仕事の受注と遂行を実現する。
まずは同協会の会員限定でサービスを展開する。今後は、建築設計関連事務所の業務課題を協議する会議であるTARC(東京建築設計関連事務所協会協議会)の構成団体((一社)東京構造設計事務所協会、(一社)東京都設備設計事務所協会、(一社)日本建築積算事務所協会関東支部)などにも展開していきたい考えだ。TARCには、TAAFも参画している。
千鳥義典会長は、「『アーキ・パートナー』の提供を通じて、建築設計業界全体の業務の安定化と活性化に貢献したい」と意気込みを述べた。
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