女子学生がツーバイフォーで茶室「待庵」づくり
建築業界女性進出へ キャリアにつながる一助を期待
昭和女子大学環境デザイン学科学生によるツーバイフォー工法実習授業が行われた。日本ツーバイフォー建築協会が「ツーバイフォー50周年事業」の一環で協力。学生らは3日間で茶室「待庵(たいあん)」の構造躯体を完成させた。
2024年はツーバイフォー工法のオープン化からちょうど50年にあたる。この節目に日本ツーバイフォー建築協会が実施している「ツーバイフォー50周年事業」の一環として、17年以来2度目となる昭和女子大学での建築実習が実現した。前回の課題は3畳の簡素な屋根付き住宅だったが、今回の課題は、千利休作といわれる日本最古の茶室建築「待庵」を想定した3畳の茶室づくり。環境デザイン学科1~4年の18人が、3日間かけて茶室の構造躯体を完成させた。
建物は約5㎡で切妻屋根に一部勾配天井、躙り口を備えるなど「待庵」の図面に近づけた作り。資材調達は三井ホームが担い、講師として三井ホームエンジニアリングのフレーマー(大工)3人が実習指導した。1日目は床を組み、2日目は床の上に4面の壁を組み立て、3日目に出来上がった壁の上に屋根をかけて、完成した。環境デザイン学科は建築に特化した学科ではなく、今回参加した学生らも普段建築実習をする機会はないという。学生らはハンマーなど慣れない道具使いに苦戦しながらも、真剣な眼差しで実習に取り組んだ。
3日間で初めてツーバイフォーの建物を完成させた学生らは、「参加する前までは簡単に早く作業が進むと思っていたが、実際は全く違い大変さを実感した。自分で(釘を)打ってみないとわからない強さを感じた」「想像よりも複雑な構造をしていると知り、だからこそ耐震性があって、安心して過ごせる家ができると感じた。思っていた以上に釘を打つのが大変で、打ち方やいろいろな種類があるということを初めて知り興味がわいた。これからも勉強していきたい」「こんなに強いツーバイフォーの家が、日本でもっと広まれば良いと思った。設計図から自分で組み立ててみたい」「建築の工程を初めて間近で見ることができ、自分で釘を打ちながら体験できたのが大変有意義だった」など、充実感を口にした。
大学、協会ともに今回の実習には女性の建築業界進出の一助となる期待も込めていた。14年には国土交通省ほか建設関連5団体が、「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」を策定。以降、建築業界での女性比率は少しずつ上昇している。昭和女子大環境デザイン学科でも、設計やインテリア・設備系だけでなく、最近では施工・管理部門にも進出する卒業生が出てきているという。業界の人材不足が深刻となるなか、女性進出のハードルを下げ、活躍できる環境を整えられるかが業界の課題にもなってきている。
同大環境デザイン学部中山榮子教授は「17年の実習でも学生の満足度は高かったが、単なる6面体の箱だったので印象が薄かったようだった。今回は『茶室』という明確なテーマを立て、学生の心に残るようにしたかった。この実習を機に、建築に興味を持つ学生が1人でも多く出てくればうれしい」と狙いを語った。
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