2024.9.18

(一社)日本木造住宅産業協会 23年度木住協戸建住宅は初の8万戸割れ

性能向上は進展、大型物件開拓の武器になる技術開発に注力

2023年度木住協戸建住宅は7万9459戸で初の8万戸の大台割れとなった。一方、ZEH、長期優良住宅などの性能向上は進展。会員企業の大型物件開拓の武器になる耐火や高耐力壁などの技術開発に注力する。

「令和5年度木住協自主統計調査」報告書をとりまとめた。同報告書は、会員のうち住宅生産事業者を対象に23年4月1日~24年3月31日までの新築住宅着工実績などについてアンケートを実施し、国土交通省が公表している「住宅着工統計」と比較したもの。対象会員479社中418社から回答を得た(回答率87.3%)。23年度の木住協会員による新設住宅着工数は8万5719戸(前年度比4.6%減)だった。そのうち、戸建て住宅は7万9459戸(同7.2%減)、共同住宅は6260戸(同47.5%増)。国土交通省の「住宅着工統計」では、23年度の全国の木造戸建着工戸数は38万7302戸(同7.1%減)となっており、戸建ては、国とほぼ同等の減少率となった。共同住宅は、今年度1000棟以上伸ばした会員企業があったことや、共同住宅を強化する企業の新規加盟があったことが影響し大幅に伸長した。これにより木造戸建住宅着工戸数に占める木住協の会員シェアは増減なしの20.5%となった。

「会員企業が大型物件の分野でも活躍できるように、耐火などの技術開発を進めていく」と話す加藤専務理事

一方、住宅の質の向上についての調査項目では、「平成28年省エネルギー基準適合住宅(平成25年省エネルギー基準適合住宅含む)」については6万4729戸(同3.2%減)。会員の戸建着工戸数に占める割合は81.5%(同3.4ポイント増)だった。

木住協会員におけるZEH適合住宅着工戸数は同0.3%増の2万945戸。会員による戸建着工戸数に占めるシェアも26.5%(同2.1ポイント増)となり、着工戸数、シェア共に4年連続で増加した。「太陽光発電搭載住宅」も2万7089戸(同0.6%増)と伸長、会員の戸建住宅着工戸数に占める割合は34.1%(同2.7ポイント増)となった。

木住協会員における「長期優良住宅」は3万2479戸で、全国統計11万2725戸に占める木住協シェアは28.8%、木住協戸建て住宅に占める長期優良住宅の割合は40.9%を占め、前年度比で2.3ポイント増加した。

加藤永専務理事は、「ZEH、太陽光搭載住宅、長期優良住宅など、住宅性能の向上は着実に進んでいる。協会としてさらに住宅の質の向上に向けて努力していく。一方で、住宅着工統計と同様、新設着工については厳しい局面にある。会員企業が大型物件の分野でも活躍できるように、耐火や高耐力などの技術開発を進めていく」と述べた。
24年3月には、構造柱に木材被覆して被覆部分を現しとした45分準耐火の柱について、国土交通大臣認定を新たに取得。これまでの柱の現しは、一体型の構造柱を燃えしろ設計により大断面化して計画していたが、この大臣認定は構造用必要な断面の柱に木板(製材)を張った仕様としている。入手しやすい柱材(105~240角)の使用が可能で、屋内の独立化粧柱や真壁風のデザイン、屋外の腐朽対策の柱として交換可能な柱カバー材を有する化粧柱などとして幅広い設計提案が可能となる。なお、9月下旬から、木住協が取得した準耐火構造に関するすべての大臣認定を会員・非会員を問わず活用できるように運用方法を改正する。

また、木造軸組工法向けで壁倍率換算が17倍相当となる高強度な耐力壁などを開発し一般公開している。現在、20倍相当の耐力壁の開発に向け技術開発を進めている。